緑内障で治療中の人の中には、いざというときのために保険に加入しておいた方が良いのか迷っている人もいるでしょう。
今回は、緑内障でも生命保険に入れるのか、緑内障の治療で保険金や給付金は受け取れるのかを解説します。
緑内障を患っていても加入しやすい保険について、ぜひ参考にしてください。
この記事を読んでわかること
緑内障の場合、通常の医療保険では部位不担保などの特別条件が付く可能性がある
引受基準緩和型の保険であれば、緑内障の悪化も保障対象となる
緑内障の治療で入院や手術をした場合、医療保険で給付金を受け取れるケースがある
目次
緑内障でも入れる保険はある
緑内障を患っている場合でも加入できる保険は存在します。
ただし、一般的な保険では健康状態や既往症の診査があるため、緑内障の治療歴があると特別条件が付く可能性があります。
まずは、保険種類別に加入基準と審査結果の目安を見ていきましょう。
緑内障でも加入しやすい保険の保険料はいくら?

緑内障でも医療保険は入れる?
過去5年以内に緑内障の治療歴がある場合、通常の医療保険では特別条件が付く可能性が高くなります。
保険会社によって審査結果は異なっており、契約を断られるケースもあれば、眼球および眼球付属器に2年間の不担保という条件になるケースもあります。
不担保の条件が付いた場合、期間中に目の病気で入院や手術を受けたとしても給付金は支払われません。
全期間不担保となった場合は、保険期間中、眼球および眼球付属器が保障対象外となります。
また、通常であれば高度障害状態に該当した場合それ以降の保険料支払が免除されることが一般的ですが、緑内障の場合視力障害で高度障害状態となった場合でも、保険料が免除されない可能性があります。
引受基準緩和型の医療保険であれば持病を含めて保障の対象となるため、緑内障の悪化に備えておきたい人には引受基準緩和型の検討がおすすめです。
保険料は通常の医療保険と比べて割高に設定されていますが、希望する保障を用意したい人にとっては選択肢のひとつになるでしょう。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年5月1日-2025年5月31日)
参考)医療保険の審査結果
医療保険の審査結果は、一般的に次の3つに分類されます。
〇無条件成立:健康状態等に問題がなく、申込時の条件のまま加入できる。
△特別条件付き:緑内障の治療歴等により、眼球・眼球付属器に対する保障が除外される。
×加入不可(謝絶):加入できない。状態が進行している、または重度の場合、加入を断られることがある。
5年以内に緑内障の治療歴がある場合、多くの保険会社で特別条件が付く可能性があります。
また治療歴によっては、加入自体を断られるケースもあります。
通常の医療保険に申込み、納得のできる審査結果ではなかった場合、引受基準緩和型医療保険を検討するのがおすすめです。
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Q.緑内障だとなぜ特別条件がついてしまう?
緑内障は進行性の疾患であり、治療をしなければ症状が悪化し、最悪の場合には失明に至る可能性もあります。
保険会社では、緑内障によるリスクを考慮し、保障の範囲を限定したり、保険料を引き上げたりする特別条件を付加する場合があります。
もし、入院や手術のリスクが高い人が医療保険にそのまま加入してしまうと、その他の健康な契約者との公平性が保たれません。
また、加入後すぐに給付金請求が発生する可能性も高く、保険会社の経営自体に影響を与えるおそれもあります。
緑内障による視力低下は他の健康リスクと重なることも懸念されるため、慎重な審査が行われることが多いとされています。ただし、適切な治療を受けており、症状が安定していることを証明できれば、条件が緩和される場合もあります。
緑内障でも死亡保険は入れる?
緑内障を理由に死亡保険への加入が完全に拒否されることは少ないでしょう。
ただし、高度障害保険金の受取りに制限がかかる場合があります。
死亡保険は一般的に、亡くなったときもしくは高度障害状態のいずれかで保険金を受け取ることができます。
緑内障の場合、視力障害で高度障害状態になったとしても、高度障害保険金は支払われない可能性が高くなります。
しかし亡くなってしまった場合には、飲酒運転等の約款に定められた対象外の原因でない限り、問題なく保険金が支払われます。
死亡時の保障を確保しておきたい目的であれば、緑内障を患っていても通常の死亡保険を検討してみるのが良いでしょう。視力障害も含めて特別条件が付くのを避けたいのであれば、引受基準緩和型死亡保険がおすすめです。
ただし、通常の死亡保険と比べて保険料は割高になるため注意が必要です。
緑内障でもがん保険は入れる?
がん保険は、緑内障を患っていても問題なく加入できることがほとんどです。
がん保険はがんに特化した保障であるため、緑内障だからといって加入に影響が出ることは少ないでしょう。
治療歴等を申告したとしても、無条件で成立する可能性があります。
また、保険会社によってはそもそも告知の対象外となることもあります。
ただし一部の保険会社では、特定の特約を付加できないなどの条件が付くことも稀にあります。
診査基準は保険会社によって異なるため、特別条件が付いてしまった場合は他社のがん保険を再度検討するのがおすすめです。
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緑内障でも就業不能保険は入れる?
就業不能保険は、病気やケガで働けなくなった場合の生活費を保障する保険です。
緑内障でも就業不能保険に入れるかどうかは、治療状況や症状によってケースバイケースです。
一般的には、目の病気や視力障害が原因で働けなくなった場合は保障対象外とする条件がつくことが考えられます。また緑内障が進行し、視野狭窄や視力低下が発生していると、保険会社はリスクを考慮して加入自体を断ることもあります。
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緑内障でも共済には入れる?
都道府県民共済の場合、緑内障による治療を受けていると告知事項に該当し、加入を断られる可能性があります。
共済では、告知事項に該当した時点で加入できない「ノックアウト方式」を採用していることが多く、緑内障患者の場合は加入できないケースが多いでしょう。
都道府県民共済の告知例
- 現在、医師の診察・検査・治療・投薬・指導・経過観察(以下「治療」といいます)を受けています。
- 過去1年以内に、健康診断、人間ドック、がん検診などで異常(要再検査・要精密検査・要治療)を指摘されたことがあります(「要経過観察」は含みません)。※再検査・精密検査の結果が異常なしの場合、または治療が終了し、今後の治療の必要がないと医師より伝えられている場合は含みません。
- 過去1年以内に、連続8日以上の入院(正常分娩による入院を除きます)または同じ病気やケガで14回以上の通院による治療をしたことがあります。
- 過去1年以内に、手術を受けたことがあります。
- 過去5年以内に、同じ病気やケガで治療終了日までの期間が1年以上の入院・通院による治療をしたことがあります。
- 過去5年以内に、医師により「次のいずれかの病気」と診断されたことがあります。※統合失調症、そう病、うつ病、そううつ病、神経症、自律神経失調症、拒食症、適応障害、アルコール依存症、不眠症、薬物依存症、認知症
- 身体の障害や先天性の病気により、常に他人の介護を必要とする状態です。
※参考:かながわ県民共済 告知事項(健康状態)について
共済組合によっては、引受基準緩和型の商品を取り扱っている場合もあります。通常の共済で加入を断られてしまった場合は、引受基準緩和型の共済を検討するか、民間の医療保険や死亡保険を検討するのがおすすめです。
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緑内障でも団信には入れる?
緑内障を患っている場合、団信(団体信用生命保険)の加入を断られる可能性があります。
団信は住宅ローンとセットで検討することが一般的で、契約者が死亡したり高度障害状態になった場合に残債が保険金で返済される仕組みです。
そのため、健康状態に関する告知や診査は必須となります。
緑内障の場合は症状が進行して視野の狭まりや失明の可能性があることで、リスクが高いと判断される可能性が高くなります。
ただし、緑内障で団信に加入できるかどうかは保険会社によっても異なります。
担当者に緑内障の罹患歴があることを相談してみるのが良いでしょう。
場合によっては、ワイド団信とよばれる引受基準緩和型の団信を検討するか、民間の死亡保険を団信の代わりとして検討する必要があります。
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緑内障でも入りやすい保険
緑内障を患っている人でも、検討しやすい保険商品があります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは、通常の保険に比べて加入条件を緩和した保険です。
入院時の保障をメインとした「引受基準緩和型医療保険」や、死亡保障を確保できる「引受基準緩和型死亡保険」などがあります。
緩和型の保険は緑内障の検査や治療を継続している人でも検討しやすく、持病の悪化も保障されるメリットがあります。
一方で、加入しやすい分、通常の保険と比べて保険料が割高に設定されている点には注意が必要です。
保険料は少し割高になりますが、緑内障の悪化に備えておきたい人は引受基準緩和型の保険も選択肢のひとつになります。メリットとデメリットを確認したうえで、検討を進めていきましょう。
あなたの年齢で持病がある方向け医療保険の保険料はいくら?

無選択型保険
無選択型保険は、健康状態に関する告知や医師の診査が不要な保険です。そのため、緑内障の進行度に関わらず、原則誰でも加入できます。
ただし、通常の保険と比べて保険料が非常に割高になる点には注意が必要です。
さらに、無選択型保険には免責期間が設けられていることが多く、加入から一定期間は保障されなかったり、保障額が削減されることがあります。
緑内障により治療を続けている場合、この保険が自分の状況に適しているかどうか、慎重に検討することが必要です。
緑内障で保険金(給付金)はおりる?
緑内障で治療を受けたり、症状が進行した場合、医療保険や生命保険などから保険金(給付金)を受け取れる可能性があります。ただし、受け取れる条件や具体的な金額は加入している保険や契約内容によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。
緑内障で受け取れる保険金(給付金)について、詳しく見ていきましょう。
医療保険の入院・手術給付金
緑内障の治療のために入院や手術を受けた場合、医療保険の保障対象となる可能性があります。
医療保険で受け取れる可能性がある給付金
- 入院日額給付金
- 入院一時金(特約を付加している場合など)
- 手術給付金
ただし、受け取れる条件や具体的な金額は加入している保険や契約内容によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。
また、緑内障に罹患してから保険に加入した場合、特別条件が付いてる可能性が高いため、緑内障で治療を受けても給付金が支払われないことがあります。
すでに緑内障に罹患していて持病の悪化に備えたい人は、引受基準緩和型医療保険の検討がおすすめです。
参考)緑内障で医療保険はいくら受け取れる?
例えば、入院給付金が「日額5000円」、手術給付金が「日額の10倍」と設定されている医療保険に加入していた場合、緑内障による入院・手術を受けると次の通り給付金が支払われます。
7日間入院した場合
【入院給付金】5000円×7日間=3万5000円
【手術給付金】5万円
合計:4万円
上記はあくまでも一例で、手術の種類や治療の内容によっても給付金の額は変動するため、不明点があれば保険会社に確認しておくのが良いでしょう。
高度障害保険金
緑内障が進行し、失明に至るなど日常生活に支障をきたす高度障害状況になった場合、死亡保険の「高度障害保険金」が支払われることがあります。
ただし、高度障害保険金を受け取るためには、保険会社が定める具体的な障害認定基準を満たす必要があります。条件については、事前に保険会社に詳細を確認しておくようにしましょう。
視力が低下しても完全に失明していない場合などでは、高度障害として認定されないケースもあるため注意が必要です。
緑内障で医療保険の請求をするときのポイント
緑内障の治療や検査に関して医療保険の給付金請求を行う際には、いくつかのポイントがあります。スムーズに保険金を受け取れるように、手順や必要な書類について事前に確認しておくことが大切です。具体的な流れをご紹介します。
加入中の保険会社に連絡をする
まずは、加入中の保険会社へ給付金請求したい旨を連絡しましょう。
手術日や術式が具体的に決まっているのであれば、入院前に給付金請求を依頼しておくとスムーズです。
もちろん退院後に手続きを行っても問題ありませんが、3年以上経過すると給付金請求権利を失うため注意してください。
給付金請求の依頼をする際は、「証券番号」「入院日数」「正確な術式」などが分かるようにしておくと良いでしょう。
最近では、給付金依頼を電話だけでなくWEB上でもできる保険会社が増えており、忙しい人には特におすすめです。
必要書類を準備する
医療保険の給付金を請求するためには、治療や検査に関する必要書類を提出する必要があります。
通常は所定の診断書や領収書が求められますが、保険会社によって必要書類が異なる場合があります。手術や特定の薬物療法、レーザー治療が対象となることもあるため、事前に保険会社から指定された書類を確認し、漏れがないように揃えてください。
給付金請求で必要になる書類の例
- 保険会社所定の給付金請求書
- 医療機関発行の領収書
- 診断書
- 身分証明書(改姓手続きなどが済んでいない場合)
保険会社の審査を待つ
保険会社が給付金請求書類を受け取ると、内容の審査が行われます。
審査の期間は保険会社や状況によりますが、1週間~2週間ほどかかる場合があります。
一定期間経過しても着金が無い場合、保険会社に進捗確認の問い合わせをしてみましょう。
着金額を確認する
審査の結果問題が無ければ、給付金が指定の口座に振り込まれます。
併せて、給付金明細が保険会社から送られてくることが一般的です。
着金額が保険の契約内容に基づいて正確に算出されているか、着金額が明細と一致しているかを、念のため確認しておきましょう。
万が一、給付金額に疑問がある場合は、保険会社に問い合わせることでトラブルを未然に防ぐことができます。
緑内障とは?治療にかかる費用は?
緑内障は進行すると失明の恐れもある病気です。
具体的な治療方法や費用について見ていきましょう。
緑内障とは?
緑内障は、日本国内の推計患者数が465万人にのぼるとされている目の病気です。
眼圧のために視神経が障害を受けることで、視野が徐々に狭くなり、最終的には失明に至る可能性があります。
40歳以上で約20人に1人、60歳以上で10人に1人が罹患しているというデータもあり、加齢とともに発症リスクが高まるとされています。
緑内障には、自覚症状が少ないという特徴があります。
進行が進んで初めて症状に気づくことが多く、早期発見のためには定期的な眼科検診が重要です。
緑内障は早期に発見し治療を継続すれば、生涯視力を保てる可能性もある病気です。医師の指示に従い、適切な治療を受けるようにしましょう。
(参考:緑内障診療ガイドライン(第 5 版)|日本緑内障学会緑内障診療ガイドライン改訂委員会)
(参考:緑内障といわれた方へ―日常生活と心構え―|公益社団法人 日本眼科医会)
緑内障の治療
緑内障の治療では、眼圧を下げて進行を遅らせることを目指します。主な治療方法は、薬物療法やレーザー治療、そして手術があります。
一度損傷した視神経は元に戻らないため、早期の治療開始が重要です。
薬物療法では主に点眼薬を使用して眼圧を下げますが、これだけでは十分な効果が得られない場合にはレーザー治療や手術が検討されます。
レーザー治療には「選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT)」や「レーザー虹彩切開術(LI)」といった治療法があります。
さらに進行した場合や、他の方法では効果が不十分な場合には、目に直接メスを入れて房水の流れを改善する手術が行われることもあります。
点眼治療やレーザー治療は基本的に通院で受けることができますが、手術の場合は数日から1週間程度の入院が必要になります。
Q.緑内障の治療は公的医療保険は適用される?
緑内障の治療には公的医療保険が適用されます。点眼薬やレーザー治療、手術費用も保険適用の対象となります。
自己負担額は現役世代であれば3割、高齢者の場合1割~3割負担です。
また、入院や手術で医療費が高額になった場合は高額療養費制度も利用できます。
緑内障の治療にかかる費用
治療にかかる費用は、症状や進行度によってさまざまです。
3割負担の場合の自己負担目安
- 点眼薬による治療:数千円/1回
- 眼圧検査 :246円(診療報酬点数82点 医療費820円の3割負担)+診察費用など
- 選択的レーザー線維柱帯形成術(SLT):2万8980円(診療報酬点数9660点 医療費9万6600円の3割負担)+診察費用など
- 手術(流出路再建術 眼内法):4万3470円(診療報酬点数1万4490点 医療費14万4900円の3割負担)+入院費用など
精密検査や点眼治療にかかる費用は、1回の通院でも数千円程度であるのに対し、レーザー治療や手術では自己負担額が大きくなる可能性があります。
特に手術を受けた場合、入院費用も必要になるため注意が必要です。
早期発見で治療ができれば、費用負担が少なく緑内障の進行を遅らせることも可能です。定期的に通院し適切な治療を受けるよう心がけましょう。
参考)高額療養費制度とは
高額療養費制度とは、1カ月で負担した医療費が一定額を超えた際に、超過分が払い戻される制度です。
緑内障の手術で高額な費用が発生した場合、この制度を活用すれば、自己負担額を軽減させることができます。
収入や年齢に応じて自己負担限度額が設定されており、69歳以下の場合は次の通りです。
年収500万円の人の場合、1カ月の自己負担額の上限は約9万円程度です。
ただし、入院時の差額ベッド代や食費は別途自己負担が必要になります。また、入院が月を跨いだ場合は2カ月分の医療費負担が必要になるため注意が必要です。
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まとめ
緑内障に罹患していると、医療保険や死亡保険で特別条件が付く可能性が高くなります。
緑内障の悪化も保険で保障したい場合は、引受基準緩和型の保険を検討すると良いでしょう。
緑内障は進行すると視野狭窄や失明のリスクがある重大な病気ですが、早期発見と適切な治療により進行を抑えることができます。
病気とうまく付き合いながら、いざというときに備えて保険に加入しておくと安心です。
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ぜひ、保険選びの参考にしてください。
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