万が一の事態に備え、事実婚・内縁関係のパートナーに生命保険の死亡保険金をのこしたいと考える人は少なくありません。
しかし、戸籍上の夫婦ではないため、受取人指定を断られるのではないかと不安に思うかもしれません。
一定の条件を満たしていれば、事実婚のパートナーを受取人に指定することが可能です。
受取人に指定するための具体的な条件や、保険に加入する際の注意点を紹介します。
この記事を読んでわかること
一定期間以上の同居と生計同一の事実があれば受取人に設定できるケースが増えている
戸籍謄本や住民票、パートナーシップ証明書などの公的書類が必要
事実婚の場合死亡保険金には非課税枠が適用されないため要注意
目次
6.まとめ
原則として生命保険の受取人は「配偶者か2親等以内の血族」
保険法や各保険会社の規定で、死亡保険金受取人は、戸籍上の配偶者または2親等以内の血族に限定されるのが一般的です。
親等は、自身と血のつながった「血族」と、結婚によってつながった「姻族」に適用されます。
1親等:自身から1世代上、または下
例:父母、子ども、配偶者の父母
2親等:自身から2世代上、または下
例:祖父母、孫、兄弟姉妹、配偶者の祖父母、配偶者の兄弟姉妹
姻族はあくまでも「法律上の婚姻関係」にあることが条件です。
では、事実婚の場合、パートナーやパートナーの親族を生命保険の受取人にすることはできないのでしょうか。
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事実婚・内縁関係でも条件を満たせば受取人に指定できる
時代の変化に伴い、一定の要件を満たす事実婚・内縁関係のパートナーを受取人として認める保険会社が増えています。
ただし、受取人に指定するためにはいくつかの条件を満たしている必要があります。
条件1:お互いに戸籍上の配偶者がいない(独身である)
事実婚のパートナーを受取人に指定するには、双方に戸籍上の配偶者がおらず、法的に結婚可能な独身状態である必要があります。
これは、重婚を避けるための必須条件です。
保険金は受取人の生活保障を目的としており、戸籍上の配偶者が存在する場合、保険金支払い時にトラブルが起こるリスクがあります。
別居状態であっても、戸籍上の婚姻関係が継続している相手がいる場合は、事実婚のパートナーを受取人には指定できません。
過去に婚姻歴がある場合、戸籍謄本などの公的書類を取得し、現在の婚姻状況を正確に知っておくことが大切です。
条件2:一定期間以上の同居状態にある
事実婚関係を証明する基準として、住民票上の同一世帯での同居期間が重視されます。
多くの保険会社は、受取人に指定するための同居期間の要件を設けています。
単なる交際関係ではなく、夫婦と同等の共同生活を営んでいる事実が必要です。
保険会社によって基準は異なりますが、数年間の同居実績を必須とするケースが一般的となっています。
住民票を取得し、同一住所での居住期間を確認してみましょう。
もし住民票を移していない場合は、公共料金の領収書など、同居を証明できる別の書類が認められる場合もあります。
事前に各保険会社の条件を確認し、必要な証明書類を揃える準備を進めてください。
条件3:生計を共にしている
生命保険の受取人に指定するためには、生計を共にしており、家族同然の生活実態である必要があります。
死亡保険金は、のこされた家族の生活保障が本来の目的です。
そのため、経済的に結びつきがない第三者へ保険金を支払う事態にならないよう、保険会社は生計同一の確認を重視します。
健康保険の被扶養者となっている事実や、生活費を共有する口座の存在などが判断材料になるケースもあります。
また、共働きの場合でも、生活費を分担して共同生活を営んでいる事実を示すことができれば、受取人として認められる可能性があります。
家計の状況を客観的に説明できる資料を日頃から整理しておくとスムーズです。
自治体の「パートナーシップ証明書」が有効な場合も
近年では、自治体が発行する「パートナーシップ証明書」を提出することで、受取人指定を認める保険会社が増えています。
多様な家族のあり方が尊重されるようになった今、保険会社も柔軟な対応を取ることができるよう、仕組みを整備しつつあります。
居住する自治体にパートナーシップ宣誓制度が存在する場合、証明書の取得を検討してみてください。
証明書を提出すれば、長期間の同居証明などの書類が一部免除されるケースもあります。
代HS-24-275-430(2024.11)
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当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年6月1日―2026年6月30日)
事実婚のパートナーを受取人にするための必要書類
事実婚のパートナーを受取人に指定する際、双方の独身証明と生計同一の証明が求められることが一般的です。
そのため、戸籍謄本や住民票などの公的書類を準備する必要があります。
保険会社によって必要な書類は異なりますが、一般的には次の書類を求められます。
- 戸籍謄本(双方):双方が独身であり、戸籍上の配偶者がいない事実を証明するため。
- 住民票(世帯全員分):同一住所で同居している事実と、同居期間を確認するため。続柄に「未届の妻(または夫)」と記載されていると、より関係性の証明がスムーズになります。
- 生計同一を証明する書類:健康保険証(被扶養者となっている場合)のコピーなどが該当。
- パートナーシップ証明書:関係証明の強力な材料。その他の書類が不要になる可能性がある。
書類の有効期限は「発行から3カ月以内」と定められているケースもあります。
保険会社への申込手続きを進める前に、あらかじめ必要な書類の種類を確認しておきましょう。
事実婚のパートナーを受取人にできなかった場合の対処法
事実婚のパートナーを生命保険の受取人に指定できなかった場合でも、保険会社を変更したり、法的手続きを活用したりする代替策があります。
ここからは、パートナーの受取人指定を断られた場合の対処法を紹介します。
他の保険会社で再検討する
事実婚のパートナーを受取人に指定できる条件は、生命保険会社によって異なります。
1社で断られた場合でも、他社で引き受け可能なケースは珍しくありません。
保険会社各社は独自の審査基準を設けており、事実婚に対する柔軟性には違いがあります。
複数の保険会社を取り扱う乗合代理店に相談し、事実婚のパートナーを受取人に指定できる保険商品を探してもらう方法が最も効率的です。
忙しくて相談時間が取れない人は、複数の保険会社に事実婚の取り扱いを問い合わせたうえで、WEB申込を活用するのも良いでしょう。
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遺言書を作成して受取人を変更する
保険法第44条の規定により、遺言書を活用して生命保険の受取人を変更することが可能です。
生前に手続きが完了していなくても、遺言によって受取人を変更する旨を記載しておくことで、パートナーへ保険金をのこせる可能性があります。
ただし、ここで注意しなければならないのが、受取人を法定相続人以外の第三者(事実婚のパートナーなど)に変更できるかどうかは、各保険会社の「保険約款」などの規定の範囲内に限られることです。
遺言書で指定しても、保険会社側の規定で第三者への変更が制限されていれば、変更が無効となりトラブルになる恐れがあります。
そのため、事実婚のパートナーへの受取人変更が可能かどうか、その指定範囲や条件については、遺言書を作成する前にあらかじめ保険会社に問い合わせておくことが重要です。
実際に遺言書で受取人を変更する場合、万が一の発生後に、相続人が保険会社へ速やかに「受取人変更の通知」を行う必要があります。
遺言書を作成する際は、内容の確実性が高まる「公正証書遺言」を選択すると良いでしょう。
保険会社の規定確認から、発生後の確実な通知手続きまで、トラブルを防ぐためにも弁護士などの専門家に相談しながら準備を進めることをおすすめします。
一時的に入籍する・養子縁組をする
パートナーとの法的関係を構築するため、婚姻届を提出して戸籍上の夫婦になる方法や、養子縁組を行って法定相続人にする方法も選択肢のひとつです。
法律上の配偶者や血族となれば、生命保険の受取人指定に関する制限はありません。
ただし、一時的な入籍や養子縁組は、戸籍に記載がのこるため、家族や親族に影響を及ぼす可能性があります。
手続きを進める前に、双方の親族を含めて慎重に話し合いを行いましょう。
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事実婚で生命保険金を受け取る際の「税金」の注意点
事実婚のパートナーが死亡保険金を受け取る際、法定相続人とは異なる税制が適用されます。
非課税枠が適用されなかったり、相続税が割増されるなど、いくつかの注意点があります。
「生命保険金の非課税枠」が適用されない
事実婚のパートナーは法定相続人に該当しないため、「500万円×法定相続人の数」の生命保険金非課税枠を利用できません。
全額が課税対象となるため注意が必要です。
税法上、非課税枠の適用対象は民法上の法定相続人に限定されており、内縁関係は対象外と規定されています。
そのため、保険金額を決める際は非課税枠が使えない事実を前提に、手取り額がいくらになるかを計算しておくことが大切です。
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相続税が「2割加算」になる
事実婚のパートナーが死亡保険金を受け取る場合、「みなし相続財産」として扱われ、算出された相続税額に2割を加算した金額を納付する義務があります。
相続税法では、被相続人の一親等の血族および配偶者以外の人が財産を取得した場合、相続税額を2割加算するルールが存在します。
事実婚のパートナーも「一親等の血族および配偶者以外」に該当するため、相続税が割増されます。
保険金額を設定する際は、2割加算後の税引き後金額をシミュレーションし、手元にのこる金額が必要額に達するよう保障額を手厚く設定しておく必要があります。
【重要】契約形態によっては「所得税」「贈与税」がかかる
生命保険の契約者・被保険者・受取人の関係性により、死亡保険金にかかる税金の種類が異なります。
| 契約者(保険料を支払う人) | 被保険者(保険の対象者) | 保険金受取人 | 税金の種類 |
| A(自身) | A(自身) | B(パートナー) | 相続税 |
| A(自身) | B(パートナー) | A(自身) | 所得税 |
| A(自身) | B(パートナー) | その他(子など) | 贈与税 |
税金の種類によって基礎控除額や税率が大きく異なり、手取り金額に多大な影響を及ぼすため、契約形態の確認は必須です。
たとえば、契約者と被保険者が自分、受取人がパートナーの場合は「相続税」となります。
税負担を最小限に抑えるため、契約前に税理士やFPなどの専門家に相談し、最適な契約形態を選択しましょう。
生命保険料控除の対象外になるケースが多い
年末調整や確定申告で適用される「生命保険料控除」ですが、事実婚のパートナーを受取人とする生命保険契約は対象外になることが一般的です。
国税庁の規定により、生命保険料控除の対象となる受取人は、契約者本人、配偶者、またはその他の親族(6親等以内の血族・3親等以内の姻族)に限定されています。
年末調整や確定申告で税金の還付を受けられないことを想定したうえで、家計の支出計画を立てることが大切です。
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大切なパートナーを守るための保険選びのポイント
事実婚のパートナーに十分な保障をのこすためには、公的制度の不足分を正確に把握し、必要な保障額と期間を見極めたうえで保険商品を選ぶ必要があります。
ここからは、大切なパートナーを守るための死亡保険選びの手順を紹介します。
公的制度(遺族年金)の受給要件を確認する
死亡保険を選ぶ際は、まず公的制度で万が一の際どのくらいのお金を受け取ることができるかを把握しましょう。
受け取れるお金を知ったうえで、不足分を保険で補う考え方が大切です。
事実婚であっても、厚生労働省の基準を満たす事実婚関係であれば、遺族年金を受給できる可能性があります。
【遺族基礎年金】
亡くなった人によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」が対象。
【遺族厚生年金】
厚生年金保険の被保険者だった人によって生計を維持されていた遺族が対象。
子どものいない事実婚世帯の場合、条件を満たせば遺族厚生年金の受給対象になるケースがあります。
最寄りの年金事務所に相談し、自分たちの関係性が遺族年金の受給要件に当てはまるか、また受給額がいくらになるかを確認しておくと良いでしょう。
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万一の際に必要なお金を把握する
次に、パートナーに万一の出来事が起こった際、のこされた側が生活を維持するために必要となる資金額を具体的に算出します。
現在の生活費、住居費、将来のライフイベント費用から、遺族年金や貯蓄などの準備済み資金を差し引いた金額が、生命保険で備えるべき必要保障額となります。
毎月の生活費をリストアップし、パートナーが1人で生活する場合の支出額をシミュレーションしたうえで、必要な保険金額を計算してみましょう。
「葬儀費用だけでものこしておきたい」と考える場合は、200~500万円程度の少額の死亡保険を準備しておくと良いでしょう。
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「いくら」「いつまで」保障が必要かを判断する
必要保障額を算出したら、該当する保障が「いつまで」必要なのかを検討します。
葬儀費用など一生涯の保障が必要であれば「終身保険」、一定期間のみ生活保障目的で保険に加入する場合は「定期保険」や「収入保障保険」が適しています。
保障の必要期間は、パートナーの年齢や働き方によっても変わるため、ライフステージに合わせた保険期間の設定が大切です。
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死亡リスク以外の「病気やケガ」「介護」への備えも忘れずに
死亡保障だけでなく、生きている間のリスクである「病気やケガ」「介護」にかかる費用に対する備えも同時に検討しましょう。
事実婚の場合、パートナーの入院時に家族としての面会や同意手続きに制限があったり、手続きなどに時間を要することもあったりと、経済的負担に加えて精神的負担も大きくなります。
医療保険やがん保険、介護保険への加入状況を見直し、双方の医療費負担をカバーできる体制が整っているかをあらためて確認しておきましょう。
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まとめ
事実婚や内縁のパートナーを生命保険の受取人に指定するためのポイントは次のとおりです。
- お互いに独身であり、一定期間以上の同居と生計同一の事実が必要
- 戸籍謄本や住民票、パートナーシップ証明書などの公的書類を準備する
- 指定できない場合は他社を検討するか、遺言書による受取人変更を活用する
- 死亡保険金には非課税枠が適用されず、相続税の2割加算対象となる
確実にパートナーへ財産をのこすため、複数の保険会社を比較して、受取人に設定するための規定を確認しておきましょう。
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