「生命保険」や「死亡保険」は日常でも使用する言葉ですが、両者の違いはよくわかっていない人も多いのではないでしょうか。
生命保険は、人の身体にかける保険全般を指すのに対し、死亡保険は死亡時に保険金が支払われる保険のみを指します。
今回は、生命保険と死亡保険の違いや、それぞれの特徴をふまえた上での保険選びのポイントを、プロが詳しく解説していきます。
ぜひ、保険選びに迷っている人は参考にしてください。
この記事を読んでわかること
生命保険は人の身体にかける保険全般を指す。死亡保険は生命保険の一種
保険を選ぶ際は、備えたいリスクを整理し適切な保険種類を選ぶことが大切
ライフステージによって必要な保険種類は異なる
目次
生命保険と死亡保険の違いとは?
生命保険と死亡保険は似た言葉に思えますが、明確に定義づけすることができます。
両者の違いについて詳しく見ていきましょう。
生命保険は人の体にかける保険の総称
「生命保険」は、人の生命や健康にかかわるリスクに備える保険の総称です。
具体的には、入院・手術時に保障される医療保険、がんの治療費に備えるがん保険、また死亡時に保険金が支払われる死亡保険も生命保険の一種になります。
生命保険は保障内容によってさまざまな種類があるため、自分のニーズに合ったものを選ぶことが大切です。
死亡保険は「生命保険の一種で、死亡時に保険金が支払われる」保険
死亡保険とは、生命保険の一種で、被保険者が亡くなった際遺族に保険金が支払われる保険を指します。
葬儀費用や、遺族の生活保障、こどもの教育費の確保などを目的として活用する保険です。
特に小さな子どもがいる家庭では、世帯主に万が一のことがあった場合の経済的なリスクが非常に大きくなります。
子どもが独立するまでは、ある程度の死亡保険に加入しておくと良いでしょう。一方、独身の人や夫婦共働きで子どもがいない家庭の場合、死亡保険の必要性はそこまで高くありません。
生命保険と死亡保険の違いを知ったうえで、自分にはどんな保険が必要なのかを見極めることで、効率的に保険選びを進められます。
あなたの年齢で死亡保険の保険料はいくら?
死亡保険の種類と特徴:知っておきたい3つのタイプ
死亡保険には、保険期間の違いや貯蓄性の有無などによって、3つのタイプに大別できます。
死亡保険の種類とそれぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
定期保険
定期保険
定期保険とは、保険期間があらかじめ決まっている死亡保険のこと
保険期間中に被保険者が死亡した場合に保険金が支払われますが、保険期間終了後は保障がなくなります。
プランによっては保険期間満了後も更新することで保障を確保できますが、更新時には保険料が高くなることが一般的です。
定期保険は「掛け捨て型」とよばれ、解約時や保険期間満了時に受け取れるお金がない分、毎月の保険料を比較的抑えることができます。
子どもが小さい期間だけ、定年を迎える間だけなど、一定期間手厚い死亡保障が必要な人には定期保険がおすすめです。
一方、生涯にわたって葬儀費用を死亡保険で準備しておきたい人や、掛け捨ての保険に抵抗がある人には、定期保険は適していません。
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定期保険の一種「収入保障保険」とは
収入保障保険
収入保障保険とは、万が一のことがあったとき遺族に毎月一定額が支払われる保険で、定期保険の一種のこと
一般的な定期保険の場合、保険期間中いつ亡くなっても遺族が受け取る保険金額は同一です。
収入保障保険は、亡くなった時点から保険期間まで毎月保険金が支払われる仕組みのため、年数経過に伴って保険金額は減少していきます。
一般的に、子どもの成長や貯蓄の増加に伴って、必要な死亡保険金額は減少します。
収入保障保険であれば、必要額の減少に合わせて保障も減少していくため、効率よくリスクに備えておくことができます。
また、余分な保障がカットされている分、一般的な定期保険と加入時の保険金額を同一にした場合、毎月の保険料も半分程度に抑えられるケースもあります。
家族の生活保障のために死亡保険を検討している人は、収入保障保険の検討もおすすめです。
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養老保険
養老保険
養老保険とは、死亡保険と貯蓄の両方の特徴を兼ね備えた保険のこと
契約期間中に被保険者が死亡した場合は死亡保険金が支払われますが、契約満期まで生存していた場合には「満期保険金」が支払われます。
定期保険は完全な掛け捨てになることが多いため、養老保険に魅力を感じる人もいるかもしれません。
しかし、養老保険は貯蓄性がある分、保険料も割高になる点には注意が必要です。
数千万円単位の死亡保障を必要としている場合、保険料の観点から養老保険は現実的でない可能性があります。
定期保険など掛け捨てタイプの保険を上手に活用することがおすすめです。一方、手元にまとまった資金がある人は、資産形成目的として一時払の養老保険も選択肢のひとつになるでしょう。
終身保険
終身保険
終身保険とは、被保険者が亡くなるまで一生涯にわたって保障が続く死亡保険のこと
契約時に決めた保険金額が確実に遺族に支払われるため、保険を生涯継続すれば、基本的には支払った保険料累計よりも大きな保障をのこすことができます。
また、終身保険は、途中で解約した場合に解約返戻金を受け取れる点も特徴です。
死亡保険金として家族にのこすか、解約返戻金として生きている間にお金を使うか、将来の状況に応じて選ぶことができるのはメリットといえるでしょう。
ただし、貯蓄性があり保障が一生涯続く分、毎月の保険料は定期保険と比べて割高になります。
子どもが小さい間の必要保障額はある程度定期保険で確保しながら、一部を終身保険で保障しておくなどの組み合わせも検討しましょう。
独身で大きな死亡保険が必要ない場合は、終身保険で最低限の葬儀費用を準備しながら、いざというときは解約して自分のためにお金を使えるようにしても良いでしょう。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年10月1日―2025年10月31日))
医療保険と死亡保険の違い
医療保険と死亡保険は、保障の目的が異なります。
死亡保険は、死亡または高度障害状態になった際に保険金が支払われる保険です。
一方医療保険は、病気やケガによって入院や手術が必要になった際に給付金が支払われる保険で、「生存保障」とも呼ばれます。
医療保険の中には、特約として死亡保障を付加できる商品もありますが、基本的には突然の医療費負担に備えるための保険です。
目的の違いを知ったうえで、自分に合った保険選びをすることが大切です。
医療保険と死亡保険はセットで契約したほうが良い?
大手生命保険会社が取り扱っているパッケージプランの商品では、死亡保険と医療保険がセットになっているものも多くあります。
セットで契約することで、加入時の手続きが1度で済んだり、住所変更や口座変更などの手続きもまとめて行うことができます。
一方で、セット割のような割引制度はないため、セットで契約したからといって保険料が安くなるわけではありません。
医療保険と死亡保険をそれぞれ複数社で比較することにより、保険料を抑えられる組み合わせが見つかる場合もあります。
また、分けて契約しておくことで、その後の見直しも柔軟にできるメリットがあります。
メリットとデメリットをふまえて、どのような契約体系が良いかを検討しましょう。
あなたの年齢で死亡保険の保険料はいくら?
死亡保険を比較するときのポイント
多くの保険会社が死亡保険を販売していますが、亡くなったら保険金を受け取れるシンプルな保障内容のため、比較が難しいと感じる人も多いでしょう。
ここからは死亡保険を比較するときのポイントについて、解説していきます。
付加できる特約
死亡保険には、基本の保障内容に加えて特約を付加することで、保障内容を充実させられるものもあります。
主な死亡保障に付加できる特約は次のとおりです。
- 傷害特約:不慮の事故によって障害状態になった場合、障害の程度に応じて給付金が受け取れる。
- 災害割増特約:不慮の事故によって亡くなった場合に保険金が上乗せされる。
- 三大疾病保険料払込免除特約:三大疾病により保険会社が定める条件に該当した場合、以降の保険料支払いが免除される。
その他、介護特約や就業不能特約などを付加できる死亡保険もあります。
手厚い保障を希望する場合は、付加できる特約の種類を比較したうえで自分のニーズに合ったものを選ぶのも良いでしょう。
保険料
死亡保険の場合、主な保障内容は亡くなったら保険金を受け取れるもので、保障内容だけで比較してもほとんどの場合差がありません。
そのため、希望する保障額と保険期間で複数の商品を横並びで比較し、保険料が最も低廉なものを選ぶのもひとつの方法です。
例えば、定期保険で同じ保険金額、同じ保険期間で見積もりを取ったとしても、保険会社によって毎月の保険料には若干の差があります。
毎月の固定費になる保険料は、できるだけ抑えておきたいと考える人も多いでしょう。
比較の手間を惜しまず、複数社で見積もりを取ってみることをおすすめします。
あなたの年齢で死亡保険の保険料はいくら?
あなたに本当に必要な保険は?ライフステージ別・目的別の選び方
死亡保険や医療保険、がん保険などの生命保険を検討する際は、自分のライフステージや目的にあったものを選ぶことが最も大切です。
ここからは、ライフステージ別の保険選びのポイントについて、保険のプロが詳しく解説します。
独身の場合
優先度が高い保険
- 医療保険
- がん・三大疾病保険
- 就業不能保険
独身の場合、万が一のことがあっても生活を保障するべき家族がいないため、死亡保険の必要性は比較的低いといえるでしょう。
加入したとしても葬儀費用をのこせる程度の死亡保険にとどめ、自身の医療費負担に備えるための保険や将来への貯蓄を優先することがおすすめです。
また、一人暮らしをしていてもしもの時に頼れる家族がいない場合、病気やケガで長期間働けなくなると、収入の減少によって家計のバランスが崩れる恐れがあります。
医療保険やがん・三大疾病保険に加え、就業不能保険の検討もしておくと良いでしょう。ただし、毎月の保険料は継続できる範囲にとどめ、将来のための資産形成に取り組むことも大切なポイントです。
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共働き夫婦の場合
優先度が高い保険
- 医療保険
- がん・三大疾病保険
- 就業不能保険
- 死亡保険(終身保険などの貯蓄性があるタイプ)
共働き夫婦では、夫婦双方に収入があるため、どちらかが死亡した場合でも一定程度の生活費をまかなえるケースも多いでしょう。
お互いの働き方をふまえたうえで高額な死亡保険が必要ないのであれば、葬儀費用程度の終身保険で貯蓄も兼ねておく方法もおすすめです。
突発的な医療費の支払いに不安がある場合は、医療保険の検討もしておきましょう。
ただし十分な貯蓄があり、ある程度の入院費は負担できるのであれば、治療が長引くがんや三大疾病などの大きな病気だけに備える保険のみ加入しておくのもひとつの方法です。
お互いの収入を前提で家計を組んでいる場合、どちらかが病気・ケガで長期間働けなくなると、収入が減少して今の生活水準を保てない可能性もあります。
不安がある人は就業不能保険も併せて検討しておくと良いでしょう。
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子育て世帯の場合
優先度が高い保険
- 死亡保険(定期保険、収入保障保険など)
- 医療保険
- がん・三大疾病保険
- 就業不能保険
小さな子どもがいる世帯では、世帯主に万が一の事があった際の死亡保障を優先して考えましょう。
のこされた家族がその後生活していくための費用や、子どもの教育費などを考えると、遺族年金だけでは不十分なケースが多いです。
子どもが独立するまでの期間、定期保険や収入保障保険など掛け捨てタイプの保険で、保険料を抑えて大きな保障を確保しておくと効率的です。
また、大きな病気に罹患し、医療費支払いのために子どものための貯蓄を取り崩すことは避けなければなりません。
医療保険やがん・三大疾病保険は、健康なうちに加入を済ませておくと安心です。
配偶者が専業主婦(夫)やパートで働いている場合、保険加入を後回しにしがちですが、もしものことがあると家事育児をすべて世帯主が担う必要が出てきます。
最低限の死亡保険や就業不能保険を検討しておくと良いでしょう。
ただし、すべてのリスクに手厚く備えておくと保険料が家計を圧迫する可能性があります。優先順位をつけて、必要な保障の取捨選択を行いましょう。
持ち家がある場合
優先度が高い保険
- 就業不能保険
- 医療保険
- がん・三大疾病保険
- 死亡保険(団信で不足する部分を補う程度)
持ち家でローンを返済中の場合、万が一のことがあると団信で遺族の住居費用負担は免除されます。
そのため、死亡保険は団信をふまえて必要な保障額を検討すると良いでしょう。
一方、亡くならないまでも長期間病気やケガで働けなくなる事態が発生すると、ローンの返済は続いたまま収入が大幅に減少することになってしまいます。
就業不能保険で、働けないリスクに備えておくことがおすすめです。その他、医療費負担でローン返済が滞らないよう、医療保険やがん・三大疾病保険の検討も済ませておきましょう。
特にがんや三大疾病は一度罹患すると完治が難しく、長期間にわたり治療が必要になるケースも珍しくありません。
保険で治療費の負担に備えられていれば、もしものときも家計を守ることができます。
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知っておきたい保険の基本と注意点:専門用語をわかりやすく解説
保険を検討する際、「専門用語が多くてわかりづらい」「言葉の違いがよくわからない」と感じたことがある人も多いでしょう。
ここからは、保険にまつわる専門用語をわかりやすく解説します。
契約者・被保険者・受取人の違い
生命保険に加入する際、契約者・被保険者・受取人をそれぞれ決めることになります。
違いは次のとおりです。
- 契約者:保険を契約し、保険料を負担する人
- 被保険者:保険の対象者。契約者と同一の場合もある
- 受取人:保険金、給付金を受け取る人。死亡保険の場合は配偶者や子どもなどの家族、医療保険やがん保険の場合は被保険者本人となることが一般的
保険金と給付金の違い
保険金と給付金は似たような言葉ですが、使われる場面が異なります。
保険金とは、被保険者が死亡した際に受取人が受け取るお金のことです。
一方、給付金は、病気やケガによる入院・手術などで支払われるお金を指します。
死亡保険では保険金、医療保険やがん保険などの生存保障では給付金が主に使われます。
保険金と給付金の違いを知らないからといって何か不利になることはないかもしれませんが、保険の約款等を確認する際に理解が深まり、保障の違いがわかりやすくなります。
保険期間
保険期間とは、保障が有効となる期間のことです。
定期保険のように一定期間のみを保障するものもあれば、終身保険のように一生涯を保障するものもあります。
また、医療保険やがん保険でも、定期型の保険と一生涯保障が続く終身型の保険があります。
保険期間は、保険を選ぶうえで大切なポイントです。「いつまで」リスクに備えておく必要があるか整理したうえで、自分に適したプランを選ぶよう心がけましょう。
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貯蓄型(積立型)と掛け捨て型
生命保険には大きく分けて貯蓄型と掛け捨て型の2種類があります。
貯蓄型は保険料の一部を積み立てることで、将来的に解約返戻金や満期保険金を受け取ることができます。
最近では、投資信託で運用する変額保険や、外貨で運用する外貨建保険を選択する人も増えています。
一方、掛け捨て型は保険料が保障のためだけに使われ、解約返戻金がほとんど、もしくは全くありません。
その分、保険料を抑えて手軽に保障を準備できるのが特徴です。
それぞれのメリット・デメリットを把握し、生活スタイルや目的に合ったものを選びましょう。
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告知義務
保険契約をする際は、健康状態や職業について申告する告知を行います。
告知は非常に重要で、正確な情報を申告する義務(告知義務)が定められています。
告知義務に違反してしまうと、万が一の時に保険金や給付金を受け取れなかったり、最悪の場合契約を解除されてしまうケースもあります。
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生命保険料控除
生命保険に加入している場合、生命保険料控除という税制上の優遇が受けられます。
1年間に支払った保険料の一部を所得から控除でき、毎年の所得税や住民税を軽減させる効果があります。
会社員の人は年末調整での申告、自営業やフリーランスの人は確定申告時に申請を行います。
毎年10月以降に、保険会社から申請に必要な控除証明書が送られてくるため、紛失しないよう注意しましょう。
生命保険選びでよくある質問
ここからは、生命保険選びでよくある質問に、保険のプロがわかりやすく回答します。
死亡保険金はいくらが妥当?
A.死亡保険の必要保障額は、個々のライフプランや家族構成によって異なります。
一般的には、家族の生活費、教育費、葬儀費用などを基に必要保障額を算出します。
子育て世帯であれば、子どもが独立するまでの生活費や教育費が大きな負担となるため、それらを十分にカバーできる金額が目安となります。
一方、独身の方であれば、葬儀費用や親へ残すべき金額などが目安となるでしょう。
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死亡保険はいくつも入れる?
A.死亡保険を複数加入することは可能ですが、通算制限に注意してください。
死亡保険は複数に分けて契約することも可能です。
しかし、保険会社間では個人の契約状況が共有されており、通算であまりに大きな保険金額になる場合は加入を断られる可能性があります。
また、保障内容が重複するとその分コストも発生します。
家計を圧迫しない範囲で必要な保障を準備しておくことが大切です。
保険証券をなくした場合はどうしたらいい?
A.契約している保険会社へ直接連絡を取り、証券再発行の手続きを行いましょう。
保険証券を紛失してしまった場合でも慌てる必要はありません。
通常、再発行の手続きが可能で、費用もかからないことがほとんどです。
手続きの際には、本人確認書類の提出や所定の申請書類の記入が必要な場合があります。
死亡保険金の受け取り方や必要な手続きについて知りたい
A.まずは保険会社に保険金請求をしたい旨を連絡し、必要書類を準備しましょう。
保険金請求の流れは主に次のとおりです。
- 保険会社に連絡をする
- 保険会社から送られてくる必要書類を記入、その他死亡証明書等を準備する
- 保険会社へ書類を返送する
- 指定口座へ着金
家族に不幸があると、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかります。
スムーズな手続きのためにも、日頃から保険証券や関連書類をきちんと整理しておくことをおすすめします。
あなたの年齢で死亡保険の保険料はいくら?
まとめ
生命保険は人の身体に関する保障全般を指し、死亡保険はその中で特に死亡リスクに備えた保険です。
自分のライフプランや経済状況に合わせて、適切な保障を選ぶことがとても大切です。
ほけんのコスパでは、簡単な質問に答えるだけで自分にとって必要な保険がわかる「ほけん必要度診断」をおすすめしています。
保険選びに迷っている人は、ぜひ参考にしてください。












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