指定代理請求人とは、病気やケガにより自分自身で保険の請求ができない状態になったとき、代わりに給付金請求ができる人のことです。
あらかじめ代理人を指定しておくことで、家族がスムーズに給付金を受け取れます。
本記事では、代理人の指定ルールや、誰を指定しておくのが良いのかを分かりやすく解説します。
この記事を読んでわかること
指定代理請求人は「配偶者」または「3親等以内の親族」から指定できる
いざというときに事務対応が可能な家族を選び、本人にも代理人に指定したことを伝えることが大切
事実婚や同性のパートナーも指定できる保険会社が増えている
目次
6.まとめ
指定代理請求制度とは?なぜ必要なのか
指定代理請求制度は、被保険者が自分で給付金などを請求できない特別な事情がある場合に、あらかじめ指定した代理人が代わりに請求できる仕組みです。
指定代理請求人の指定に費用はかからないため、事前に必ず指定しておきましょう。
この制度を利用すれば、万一の事態でもスムーズに保障を受けられます。
被保険者に代わって給付金を請求できる制度
指定代理請求制度とは、被保険者が保険金や給付金を請求できない特別な事情がある場合に、契約者があらかじめ指定した代理人が被保険者に代わって請求手続きを行える制度です。
代理人には配偶者や両親など、最も身近な親族を指定するのが一般的です。
「被保険者が請求手続きできない特別な事情」とは、主に次のようなケースを指します。
・病気やケガにより、保険金等を請求する意思表示ができないとき
・被保険者死亡後に入院給付金を請求するとき
・治療上の都合により、傷病名(がんなど)や余命の告知を受けていないとき
指定代理請求制度は、多くの場合、特約保険料が不要な「指定代理請求特約」を付加することで利用できます。
契約の途中からでも特約の付加や代理人の変更が可能です。
(参考:指定代理請求制度って、どんな制度なの?|生命保険文化センター)
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「死亡保険金受取人」や「家族登録制度」との違い
指定代理請求人制度は、「受取人」や「家族登録制度」とは異なります。
混同しないように違いを理解しておくことが重要です。
| 制度 | 役割 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 指定代理請求人 | 手続きの代理人 | 被保険者本人の代わりに給付金などを請求する |
| 死亡保険金受取人 | 金銭の権利者 | 被保険者が死亡した際に、死亡保険金を受け取る |
| 家族登録制度 | 連絡・照会者 | 災害時などに契約者と連絡が取れない場合や被保険者が高齢の場合に、保険会社が連絡を取ったり、登録家族が契約内容を照会したりする |
死亡保険金受取人は、死亡保険金を受け取る権利を持つ人です。
一方、指定代理請求人はあくまで入院給付金などの請求手続きを代行するだけで、死亡保険金を受け取る権利はありません。
ただし、指定代理請求人と死亡保険金受取人を同一人物に指定することは可能です。
家族登録制度は、契約内容の確認や請求書類の取り寄せはできますが、指定代理請求人のように保険金や給付金を代理で請求することはできません。
一般的な保険会社では、登録家族ができるのはあくまで「内容の照会」などに限られます。
しかし、最近では一部の外資系保険会社などを中心に、「契約者が意思表示できない特別な事情がある場合に限り、登録家族が保険契約の解約や支払口座の変更などを代理で行える」と制度を拡大しているケースも出てきています。
保険会社によって家族登録制度で「できること・できないこと」の範囲が大きく異なるため、事前にご自身の保険会社のルールを確認しておくことが大切です。
指定しないまま「万が一」が起きるとどうなる?
指定代理請求人を指定していない状態で、被保険者が認知症や意識不明の状態になり、自分で給付金を請求できなくなった場合、家族がすぐに代わりの手続きをすることはできません。
この場合、家庭裁判所に申し立てを行い、「成年後見人」を選任してもらう必要があります。成年後見人が法的な代理人として、本人に代わって給付金の請求手続きを行います。
しかし、成年後見制度の利用には申し立てから後見人が選任されるまでに数カ月かかることがあります。また、弁護士や司法書士などの専門家が後見人になった場合は、報酬の支払いも発生します。
治療費などがすぐに必要な状況でも、手続きに時間がかかり、経済的な負担が増える可能性があるため、万一の事態に備えて指定代理請求人をあらかじめ指定しておくことが重要です。
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指定代理請求人に指定できる親族の範囲
指定代理請求人になれるのは、被保険者との関係性が近い親族に限られます。
保険会社によって範囲は多少異なりますが、一般的には配偶者や3親等内の親族が対象です。
基本ルールは「配偶者」か「3親等内の親族」
指定代理請求人として指定できる人の範囲は、保険会社の約款で定められています。
一般的には、次の範囲内で指定できます。
- 被保険者の戸籍上の配偶者
- 被保険者の直系血族(祖父母、親、子、孫など)
- 被保険者の兄弟姉妹
- 被保険者と同居または生計を同一にしている、被保険者の3親等内の親族
3親等内の親族とは次のような関係の人を指します。
- 1親等: 親、子
- 2親等: 祖父母、兄弟姉妹、孫
- 3親等: 曽祖父母、おじ・おば、甥・姪、ひ孫
重要なのは、「指定する時点」と「請求する時点」の両方でこの範囲内にいる必要があることです。例えば、指定時は配偶者でも、請求時に離婚していると代理請求はできません。
(参考:指定代理請求制度って、どんな制度なの?|生命保険文化センター)
事実婚・同性パートナーでも指定できる?
近年、社会の変化に合わせて、法律上の婚姻関係に無いパートナー(事実婚)や、同性のパートナーを指定代理請求人に指定できる保険会社も増えています。
ただし、事実婚や同性のパートナーを指定する場合は、次のような条件を満たしている必要があります。
- 被保険者と同居している、または生計を同一にしている
- 保険会社所定の書類で関係性が確認できる
また、保険会社によっては「被保険者のために保険金等を請求すべき相当な関係があると当社が認めた方」といった規定を設け、より柔軟に対応している場合もあります。
戸籍上の婚姻関係でなくとも、一定期間生活を共にして、財産管理を行っている事実があれば指定代理請求人として認められるケースもあります。
ただし、取り扱いは保険会社や契約時期によって異なります。
自分の契約で誰が指定できるかについては、必ず保険会社の「ご契約のしおり・約款」を確認するか、問い合わせ窓口に確認しましょう。
(参考:指定代理請求人として指定できる範囲を教えてください。|ライフネット生命)

Q1
入院時の費用は?
【ケース別】指定代理請求人は誰にするべき?失敗例と最適解
指定代理請求人を誰にするべきかは、家族構成やライフステージによって異なります。
いざというときにスムーズに手続きを進められるよう、信頼でき、かつ給付金請求などの事務的な対応ができる人を選ぶことが重要です。
既婚者の場合:まずは「配偶者」を第一候補に
既婚者の場合、最も身近で健康状態や生活状況を把握している配偶者が指定代理請求人の第一候補です。
しかし、配偶者も同年代で高齢である場合、将来的に配偶者自身が手続きを行えなくなる可能性があります。
また万が一離婚した場合は、元配偶者は指定代理請求人の範囲から外れるため、請求権がなくなります。
そのため配偶者を指定する場合でも、もしもの時に備えて、次に候補となる子どもや兄弟姉妹にも保険の内容や指定代理請求制度について情報を共有しておくことが望ましいでしょう。
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独身・おひとりさまの場合:「親」より「兄弟・甥姪」も検討
独身やおひとりさまの場合、親を指定することが一般的です。
ただし注意点もあります。
親が高齢の場合、自分より先に認知症になったり、手続きが困難になったりする可能性があります。
そのため親だけでなく、同世代の兄弟姉妹や、より若い甥・姪を指定することも検討しましょう。
特に、日頃から連絡を取り合っており、信頼関係がある人を選ぶと良いでしょう。
頼れる親族がいない場合は成年後見制度の利用も視野に入れる必要がありますが、まずは信頼できる親族の中から、いざというときに迅速に動いてくれる人を選んでおくことが大切です。
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離婚・再婚を経験している場合:速やかな変更を
離婚や再婚によって家族構成が変わった場合は、指定代理請求人の見直しが必要です。
離婚した場合、元配偶者は法律上の親族ではなくなるため、指定代理請求人の資格を失います。
指定したままにしておくと、いざというときに請求手続きができずトラブルの原因となります。
再婚した場合は、新しい配偶者を指定代理請求人に変更する手続きを行いましょう。
また連れ子がいる場合など、家族関係が複雑な場合は、誰が最も手続きをしやすいかを考慮して指定することが重要です。
指定代理請求人と戸籍上の関係性が変わった際は、速やかに保険会社に連絡し、変更手続きを行ってください。
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未成年の子どもは指定できる?
未成年の子どもを指定代理請求人に指定すること自体は、多くの保険会社で可能です。
しかし、実際に代理請求手続きを行う時点でその子どもが未成年である場合、単独では手続きができず、親権者や後見人が実際の手続きを行うことになります。
手続きが複雑になる可能性があるため、子どもが成人するまでは他の成人した親族を指定しておく方が現実的です。
(参考:Q未成年の子供を受取人に指定できますか?|三井住友海上あいおい生命)
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指定代理請求人を指定する際の実務的な疑問と注意点
指定代理請求人を指定・変更する際には、いくつかのポイントがあります。
手続きをスムーズに進めるために、事前に確認しておきましょう。
指定する相手の「同意」や「印鑑・書類」は必要?
指定代理請求人を指定する際、指定される代理人本人の同意や署名・捺印は不要です。
手続きは契約者が、被保険者の同意を得たうえで行います。
しかし代理人に指定された人がその事実を知らなければ、いざというときに制度を活用できません。
そのため、指定した相手には次の点を必ず伝えておきましょう。
- 指定代理請求人に指定したこと
- どの保険会社のどの契約か
- 保険証券の保管場所
- どのような場合に代理請求できるか
事前に情報を共有しておくことで、万一の事態が発生した際に、代理人が迷わずスムーズに手続きできます。
途中で誰かに変更することはできる?
指定代理請求人は、契約の途中でも変更が可能です。
離婚や死別など家族関係に変化があった場合や、指定した人が遠方に引っ越した場合など、状況に応じて見直しを行いましょう。
変更手続きは、保険会社のコールセンターに連絡するか、ウェブサイトの契約者専用ページ(マイページ)などから行えます。
一般的には、保険会社から変更用の書類を取り寄せ、必要事項を記入して返送するだけで手続きが完了します。
ただし、契約者と被保険者が異なる契約の場合、変更手続きには被保険者の同意(署名)が必要になります。
変更手続きの際も、新たに指定する代理人本人の署名等は不要ですが、必ず代理人に指定したことを伝えておきましょう。
(参考:指定代理請求制度って、どんな制度なの?|生命保険文化センター)
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年4月1日―2026年4月30日)
指定代理請求制度に関するよくある質問
ここからは、指定代理請求制度に関するよくある質問に、保険のプロがわかりやすく回答します。
Q. 複数人を指定代理請求人に指定できる?
A. 指定代理請求人は、1つの保険契約につき1人を指定するのが一般的です。
複数人を同時に指定することはできません。
もし指定した代理人が先に亡くなったり、手続きができない状態になったりした場合は、速やかに別の人に変更する手続きを行いましょう。
Q. 指定代理請求人が受け取ったお金に税金(贈与税)はかかる?
A. 指定代理請求人が請求して受け取ったお金に、どのような税金がかかるかは、保険の種類や契約者・被保険者の関係によって異なります。
- 入院給付金や手術給付金など:被保険者本人が受け取るべきものであり原則として非課税です。指定代理請求人が手続きを代行して受け取った場合でも、贈与税などの課税対象にはなりません。
- 死亡保険金:死亡保険金は指定代理請求の対象外ですが、保険金の課税関係は「保険料を誰が負担したか」と「誰が受け取るか」によって決まります。
| 保険料負担者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 |
|---|---|---|---|
| 夫 | 妻 | 夫 | 所得税 |
| 夫 | 夫 | 妻 | 相続税 |
| 夫 | 妻 | 子 | 贈与税 |
指定代理請求人が手続きをすること自体で税金が発生するわけではありません。
あくまで、その給付金や保険金の種類と、契約関係(契約者・被保険者・受取人)によって税金の有無や種類が決まります。
(参考:No.1750 死亡保険金を受け取ったとき|国税庁)
まとめ
指定代理請求人は、被保険者が自分で給付金を請求できなくなった場合に備える重要な制度です。
いざというときに家族が困らないよう、信頼でき、かつ実務的な対応が可能な人をあらかじめ指定しておきましょう。
自身の保険契約を確認し、最適な指定代理請求人を指定・変更する手続きを進めましょう。
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