健康診断で不整脈の指摘を受けたり、不整脈で定期的に病院に通っている人は、生命保険に入れるのでしょうか?
結論、不整脈の種類や治療歴によっては生命保険に入れるケースもあります。
ただし、薬剤治療をしていたり手術歴がある場合は、通常の生命保険への加入は難しくなります。
今回は、不整脈で保険に入れるケースとそうでないケース、生命保険選びのポイントについてプロが詳しく解説していきます。
この記事を読んでわかること
健康診断の指摘のみで治療不要と判断された場合、保険を検討できる可能性がある
不整脈で通院していたり治療を受けていると、通常の保険へは加入しづらくなる
引受基準緩和型保険やがん保険は不整脈でも入りやすい保険
目次
不整脈でも生命保険に入りやすいケース
不整脈でも、場合によっては生命保険に入れる可能性があります。
具体的に見ていきましょう。
健康診断の指摘のみの場合
健康診断の心電図検査で指摘を受けたものの、その後治療不要と診断を受けたケースでは、比較的保険に入りやすくなります。
健康診断で要再検査以上の指摘を受けたら、必ず再検査を受診するようにしましょう。
再検査の結果問題がなければ、通常の医療保険や死亡保険などに加入できる可能性があります。
ただし、診査の基準は保険会社によって異なります。
加入を断られてしまったら、他の保険会社で再度検討してみましょう。
申し込み時には、健康診断書や再検査の結果などを合わせて提出しておくと良いでしょう。
「頻脈」や「徐脈」の場合
不整脈には、「頻脈」「徐脈」「期外収縮」の3つがあります。
そのなかでも、「頻脈」や「徐脈」と診断されていれば、比較的保険の検討はしやすくなります。
保険会社によっては、「不整脈」と告知しただけでは不十分とされ、詳しい診断名を求められることもあります。
検査で指摘を受けただけで詳しいことが分からない人は、再検査を受診して診断名を聞いておくのが良いでしょう。
完治している場合
保険会社によっては、不整脈が完治して一定期間経過していれば加入を検討できる場合もあります。
ただしどれくらいの期間が経過していれば良いかは保険会社によって異なります。
最終の通院から5年以上経過している場合は、そもそも告知の対象とならない可能性があるため、より保険を検討しやすくなるでしょう。
通常の医療保険で保険を探す

不整脈で生命保険に入れないケース
不整脈で生命保険を検討する場合、医療保険・三大疾病保険・死亡保険などで加入が難しくなる可能性があります。
具体的なケースを見ていきましょう。
ペースメーカーを入れている場合
ペースメーカーは基本的に「徐脈性不整脈」の治療に用いられます。
脈が遅くなり、息切れやめまい、意識喪失などの症状があると、ペースメーカー治療が必要とされることがあります。
ペースメーカーを入れている場合、不整脈の症状が重いと判断され、通常の保険への加入が難しくなります。
必要に応じて引受基準緩和型保険を検討するのが良いでしょう。
定期的な検査をしていたり、投薬治療をしている場合
不整脈で定期的に通院して検査を受けていたり、投薬治療をしている場合も、保険加入に制限がかかる可能性があります。
保険に申し込む際は、現在の治療状況について申告する必要があります。
治療や検査が不要と診断されていれば比較的加入しやすくなりますが、定期的な検査が必要とされていたり投薬治療をしている場合は、加入を断られることが多いでしょう。
その他の心疾患を抱えている場合
不整脈だけでなくその他の心臓の病気がある場合、保険に加入できない可能性があります。
特に、狭心症や心筋梗塞が原因の不整脈や、心臓弁膜症、心不全を抱えているケースでは通常の保険への加入が難しくなります。
関連記事
不整脈でも入りやすい生命保険
不整脈を抱えていると、保険加入に制限がかかることもあります。
しかし、すべての保険に加入できないわけではありません。
ここからは、不整脈でも入りやすい生命保険をご紹介します。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険は、通常の保険と比べて加入時の告知項目が緩和されているタイプの保険です。
主に医療保険や死亡保険、三大疾病保険で引受基準緩和型の商品が販売されています。
通常の保険と比べて加入しやすい分、保険料も割高に設定されているデメリットはあります。
一方で、持病の悪化も保障されるなど健康に不安を抱えている人にはおすすめできるポイントもあります。
特に、不整脈で治療中の人や、定期的な検査をしていて今後も経過観察が必要な人など、通常の医療保険や三大疾病保険、死亡保険に加入しづらい人にはおすすめです。
保険料と保障内容のバランスを見て、検討を進めていきましょう。
参考)引受基準緩和型保険の告知項目
引受基準緩和型の一般的な告知項目は、次の通りです。
告知項目は保険会社によっても少しずつ異なりますが、主に直近の入院・手術歴や5年以内の罹患歴について尋ねられます。
不整脈の場合、1~2年以内に入院・手術歴がなければ検討できる可能性があります。
関連記事
無選択型保険
無選択型保険とは、加入に際して健康状態を問われない保険種類のことです。
一部の保険会社で、医療保険や死亡保険の無選択型保険が販売されています。
健康状態に関係なく加入できるのは大きなメリットですが、その分引受基準緩和型保険よりも保険料は割高に設定されています。
また、加入してすぐには保障が開始されず、一定期間の免責期間が設けられているケースが一般的です。
そのため、まずは通常の保険や引受基準緩和型保険から検討し、どうしても加入できるものが見つからないときに無選択型保険を検討するのが良いでしょう。
がん保険
がん保険は、不整脈を抱えていても比較的入りやすい保険のひとつです。
がん保険は文字通りがんのみを保障対象としているため、加入時の告知項目もがんの発症に直接関係のある症状や病気についての質問が中心になっています。
そのため、不整脈の場合は告知の対象にならないことも多く、告知が必要であっても治療状況等を申告することで問題なく加入できるケースが一般的です。
投薬治療やペースメーカーを入れているようなケースでも、がん保険であれば加入できる可能性があります。
関連記事
Q.不整脈で共済に入れる?
A.告知項目に該当し、加入できない可能性があります。
共済も民間の保険会社と同様に、加入時には健康状態に関する診査があります。
共済の場合、告知項目に該当した時点で加入できないと定めていることも多く、民間の保険会社と比較しても厳しい判断になる可能性があります。
検討中の共済組合の告知項目を確認した上で、該当するようであれば民間の保険会社の商品から検討するか、共済の中でも引受基準緩和型の商品を選択するのがおすすめです。
関連記事
Q.不整脈で団信に入れる?
A.治療歴によっては加入できないケースもあります。
住宅ローンを組むときに検討する団信(団体信用生命保険)ですが、加入時には健康状態の診査が必要です。
団信の診査基準は公表されていませんが、不整脈で通院や治療歴があると、内容によっては加入を断られる可能性があります。
団信に加入できなかった場合は、ワイド団信とよばれる引受基準緩和型団信を検討するか、民間の生命保険を団信代わりに利用することも可能です。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年4月1日-2025年4月30日)
不整脈で生命保険に申し込む際の告知ポイント
不整脈で、通常の医療保険や三大疾病、死亡保険を申し込む場合、押さえておきたい告知のポイントがあります。
保険会社の診査基準もふまえてご紹介していきます。
診断時期(指摘を受けた時期)がいつか
告知の際は、不整脈と診断を受けた時期、もしくは健康診断等で指摘を受けた時期がいつかを記入する必要があります。
時期が曖昧な場合は、申し込み前に確認しておくようにしましょう。
正確な診断名は何か
不整脈には、「頻脈」「徐脈」「期外収縮」の3つの種類があります。
再検査などを受けて診断名が分かっている場合は、必ず正確な診断名を告知しましょう。
保険会社によっては、「不整脈」という告知だけでは引き受けてもらえなかったり、追加で診断書等の提出を求められる可能性があります。
健康診断での指摘を告知する場合も、どのような指摘を受けているかを正しく告知するように心がけましょう。
治療や通院の有無
通常の医療保険や死亡保険などの診査では、不整脈の指摘があった後、定期的な通院や治療が必要と判断されたのかどうかがポイントになります。
治療や通院が必要ないと医師から言われたのであれば、必ずその旨を告知書に記入するようにしましょう。
服薬歴がある場合、どのような薬を服用していたのかを告知しましょう。
現在の治療状況はどうなっているか
告知の際は、現在の治療状況がどうなっているかも大きなポイントになります。
- 完治:完治の診断を受け、現在は病院に通っていない
- 治療中:服薬等を行っている
- 経過観察中:服薬等の治療はしていないが、現在も定期的に病院に通っている
現在の状態が上記のどれに該当するか、確認したうえで告知を行うようにしましょう。
緩和型の医療保険で保険を探す

不整脈の人が生命保険を選ぶときのポイント
不整脈の指摘を受けていたり、不整脈で治療中の人が生命保険を選ぶときには、押さえておきたいポイントがあります。
ここからは、後悔しない保険選びのためのポイントを、プロが解説していきます。
備えておきたいリスクを整理する
まずは、自分や家族が経済的に困る状況を洗い出し、そのリスクをカバーできる保険種類を選びましょう。
いざというときの入院や手術に備えたいのであれば、医療保険がおすすめです。
ただし、不整脈の治療歴によっては通常の医療保険には入れない可能性もあります。
持病の悪化にも備えておきたい人は、引受基準緩和型保険を検討しましょう。
不整脈の治療歴を把握しておく
加入したい保険種類を整理したら、手続きをする前に不整脈の治療歴を把握しておきましょう。
一般的な保険の告知では、過去5年以内の健康状態を尋ねられます。
不整脈と診断された時期が何年も前であれば、正確な時期やその後の治療について記憶が曖昧になってしまっているかもしれません。
告知の際は、診断時期や治療の経過を正確に記入する必要があります。
また、場合によっては診断を受けた医療機関名や正式な診断名が求められることもあります。
スムーズな手続きのために、事前に治療歴については整理しておくようにしましょう。
関連記事
加入審査に落ちたら、引受基準緩和型保険を検討する
もし加入審査に落ちてしまったら、持病がある方向けの引受基準緩和型保険を検討しましょう。
医療保険や三大疾病保険、死亡保険の引受基準緩和型商品を取り扱っている保険会社が多く、告知項目はそれぞれ少しずつ異なります。
付加できる特約や毎月の保険料も異なるので、いくつかの保険会社で比較検討するのがおすすめです。
複数の保険会社で保険料を比較

不整脈とは
不整脈とは、脈拍が乱れた状態を指します。
不整脈には、「徐脈」「頻脈」「期外収縮」の3種類あります。
脈拍が40以下になったり、120以上になったりすると、めまいや動機、息切れなどの身体症状が現れる可能性があります。
健康診断の心電図検査で何らかの所見があり、再検査が必要になるケースもあります。
不整脈の検査・治療にかかる費用
健康診断等で不整脈の指摘を受けたら、その後再検査が必要になります。
再検査には、超音波検査や心電図などがあり、主にかかる費用は次の通りです。
心臓超音波検査 経胸壁心エコー法
診療報酬点数:880点
医療費:8800円
自己負担(3割):2640円
ホルター型心電図検査(24時間分の心電図記録)
8時間を超えた場合
診療報酬点数:1750点
医療費:1万7500円
自己負担(3割):5250円
四肢単極誘導及び胸部誘導を含む最低12誘導(心電図検査)
診療報酬点数:130点
医療費:1300円
自己負担(3割):390円
また、実施した検査の費用に加え、初診料や診察料などが必要になります。
不整脈の治療で入院や手術が必要になると、医療費だけで100万円以上になることもあります。
実際の自己負担額は、現役世代の場合3割負担で、高額療養費制度を利用することでさらに負担を軽減させることもできます。
(参考:別表第一医科診療報酬点数表|厚生労働省)
参考)高額療養費制度とは
高額療養費制度は公的医療保険のひとつです。
1カ月の医療費負担額が上限額を超えたとき、差額が返還される仕組みになっており、医療費の実質負担を軽減させることができます。
医療費負担の上限額は年齢や収入によって異なります。
現役世代の場合は次の通りです。
年収500万円の人が、入院等で仮に医療費が100万円かかったとします。
1カ月の実質的な負担額は次の通りです。
8万100円+(100万円ー26万7000円)×1%=8万7430円
ただし、高額療養費は1カ月ごとに再計算されるため、入院が複数月にわたるとその分自己負担額も大きくなっていきます。
また、差額ベッド代や入院時の食費などは別途負担が必要な点にも注意してください。
関連記事
不整脈で受け取れる保険金(給付金)はある?
基本的に、不整脈の指摘を受けただけでは受け取れる保険金や給付金はありませんが、その後の治療経過によっては医療保険や三大疾病保険で保障対象になることもあります。
詳しく見ていきましょう。
医療保険の入院・手術給付金
不整脈の治療で入院や手術が必要になった場合、医療保険で給付金を受け取れる可能性があります。
医療保険で受け取れる可能性がある給付金の例
- 入院日額給付金
- 入院一時金(特約を付加している場合など)
- 手術給付金
手術給付金に関しては、保険会社によって対象外手術が定められていることがあります。
不整脈の治療ではカテーテルの手術を行うこともありますが、保障の対象になるかどうかは事前に確認しておくようにしましょう。
三大疾病(特定疾病)給付金
三大疾病保険の中には、不整脈で入院や手術をしたときにまとまった一時金を受け取れるものもあります。
三大疾病保険の保障範囲は保険会社によって異なっており、「心疾患」を幅広く保障しているタイプであれば保障対象になる可能性があります。
保障範囲を「急性心筋梗塞」と定めている場合は不整脈は保障されないため注意しましょう。
三大疾病や生活習慣病に備える保険に加入している人は、保障範囲を改めて確認しておくのがおすすめです。
関連記事
まとめ
今回は、不整脈でも入りやすい保険や、保険選びのポイントについてご紹介してきました。
不整脈で定期的に通院をしていたり、治療を受けている場合、通常の保険には加入しづらくなります。
必要に応じて引受基準緩和型保険を検討するのがおすすめです。
ほけんのコスパでは、さまざまな保険会社の緩和型保険を掲載しています。
人気ランキングも参考に、ぜひ自分にぴったりの保険を見つけてください。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2025年4月1日-2025年4月30日)