不整脈や心不全などの心臓病を抱えていると、保険に入れないのではないかと不安に感じている人もいるでしょう。
心臓病の種類や治療歴によっても異なりますが、比較的加入しやすい保険もあります。
今回は、病気ごとの保険加入目安や、心臓病があっても入りやすい保険についてプロが解説していきます。
この記事を読んでわかること
心臓病による治療歴が過去5年以内にあると、通常の保険に入れないケースが多い
入院・手術から1~2年経過していれば引受基準緩和型保険を検討できる可能性がある
心臓病は再発リスクがある病気。今のうちから保険で備えておくことが大切です
目次
心臓病だと生命保険に入れない?
慢性的な心臓病を抱えていても、病名や治療歴、検討する保険種類によっては加入できるケースもあります。
心臓病の種類ごとに、保険に入れるかどうかの目安を見ていきましょう。
不整脈で生命保険には入れる?
不整脈の場合、健康診断の指摘のみで治療を受けていなければ、比較的保険の検討がしやすくなります。
健康診断で不整脈の要再検査指摘等を受け、再検査の結果問題ないことがわかれば、保険種類にかかわらず加入できる可能性があります。
再検査を受けていない人は、これを機に再検査を受診するようにしましょう。
一方、不整脈で定期的な治療を受けていたり、ペースメーカーが入っていると保険加入を断られる可能性があります。
その場合は、引受基準緩和型保険など、持病があっても入りやすい保険を検討するのがおすすめです。
不整脈の治療歴にかかわらず、がん保険は比較的検討しやすい保険です。
心不全で生命保険には入れる?
心不全で治療をしていると、通常タイプの保険への加入は難しくなります。
引受基準緩和型保険など、持病があっても入りやすい保険を検討するのがおすすめです。
引受基準緩和型保険であれば、退院後1~2年経過していれば検討できる商品があるので、一度告知項目を確認してみましょう。
また、心不全でも比較的がん保険は検討しやすい保険です。
保険会社によっても診査基準は異なります。
がん保険の診査に落ちてしまっても、他社で再度検討してみると良いでしょう。
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心筋梗塞で生命保険には入れる?
心筋梗塞による治療歴が過去5年以内にあると、通常タイプの保険への加入は難しくなります。
持病がある方向けの引受基準緩和型保険を検討するのがおすすめです。
引受基準緩和型保険であれば、心筋梗塞による入院・手術から1~2年経過していれば検討できる商品があります。
また、心筋梗塞の罹患歴があってもがん保険には比較的加入しやすくなっています。
狭心症で生命保険には入れる?
狭心症に罹患していると、通常タイプの保険への加入は難しいケースが多くなります。
しかし、保険会社によっては45歳以上で発症から半年以上経過していること、また症状が安定していることなどを条件に死亡保険へは加入できる場合もあります。
保険会社によって診査基準は異なるため、複数の保険会社で検討してみるのが良いでしょう。
また、狭心症があってもがんの罹患リスクが直接的に高まるわけではないため、比較的がん保険には入りやすくなっています。
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心臓弁膜症・大動脈弁狭窄症で生命保険には入れる?
心臓弁膜症は、心臓にある弁の機能が何らかの原因で低下する病気のことです。
大動脈弁狭窄症は心臓弁膜症のひとつで、心臓の大動脈弁が硬くなる病気です。
血液の流れが早くなり、心臓に負担がかかってしまうため、カテーテル手術や人工弁を取り付ける手術が必要になることもあります。
心臓弁膜症を抱えていると、通常タイプの保険には加入が難しくなります。
入院・手術から1~2年経過していれば、持病がある方向けの引受基準緩和型保険に入れる可能性があります。
医療保険や死亡保険に入りたい人は引受基準緩和型を検討するのが良いでしょう。
また、その他の心臓病と同様、心臓弁膜症でもがん保険には入れるケースが多いでしょう。
引受基準緩和型の医療保険を探す

心臓病でも入りやすい保険
慢性的な心臓病を抱えていても入りやすい保険種類は存在します。
ここからは、心臓病でも比較的入りやすい保険についてご紹介します。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険とは
引受基準緩和型保険とは、加入に際しての告知事項が通常の保険と比べて緩やかになっており、持病があっても入りやすいタイプの保険です。
医療保険、死亡保険、三大疾病保険などで緩和型の商品を取り扱っている保険会社が多く、ニーズに合わせて選択することが可能です。
保険会社によって告知項目は異なりますが、代表的な引受基準緩和型保険の告知項目は次の通りです。
引受基準緩和型保険にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
病名や治療経過によりますが、慢性的な心臓病を抱えていると通常タイプの保険には加入できないことが多くなります。
メリットとデメリットを理解したうえで、引受基準緩和型保険を検討するのがおすすめです。
特に、今後の持病の悪化に備えておきたい人は引受基準緩和型医療保険で備えておくと安心です。
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無選択型保険
無選択型保険とは
無選択型保険とは、加入時に健康状態を問われない保険のことです。
無選択型保険は、どんな健康状態の人でも加入できるメリットはありますが、その分毎月の保険料は引受基準緩和型保険よりも割高に設定されています。
また、加入後すぐに保障が開始しない「免責期間」を設けている商品も多くなっています。
まずは引受基準緩和型保険で検討できるものがないかを探してみるのが良いでしょう。
がん保険
がん保険は、心臓病を抱えていても比較的検討しやすい保険です。
がん保険の告知項目は、がんの発症に関連する症状や疾病についてが中心となっています。
そのため、心臓病の罹患歴が告知対象とならないこともあります。
もし告知対象となった場合でも、治療歴等を詳細に申告したうえで問題なく加入できるケースが多いでしょう。
がんは生涯で2人に1人が罹患するといわれている身近な病気です。
長引く治療で経済的負担が大きくなるリスクもあるため、保険で備えておくと良いでしょう。
あなたの年齢でがん保険の保険料はいくら?

心臓病になると何日くらい入院する?治療費はどれくらい?
厚生労働省の2023年度の調査によると、心疾患の推定患者数は約196万人となっています。
心臓病は一度罹患すると、治療が長引いたり再発するリスクのある病気です。
ここからは、心臓病の治療について詳しく見ていきましょう。
(参考:令和5年(2023)患者調査の概況|厚生労働省)
心臓病の平均在院日数
2023年度の厚生労働省の調査によると、「心疾患」の平均在院日数は18.3日となっています。
平均在院日数は、年齢が上がるほど長くなる傾向にあります。
15歳~64歳では平均8日前後の在院日数ですが、65歳を超えると平均20日以上の在院日数になります。
また、高血圧が原因の疾患の場合、平均在院日数が41日以上と非常に長くなっています。
(参考:令和5年(2023)患者調査の概況|厚生労働省)
心臓病の治療にかかる費用
心臓病の治療にはどれくらいの費用がかかるのか見ていきましょう。
2023年度の厚生労働省の調査では、「虚血性心疾患」の平均診療報酬点数は次の通りになっています。
入院1日あたり
診療報酬点数:14558.7点
医療費:14万5587円
自己負担額(3割):約4万3676円
入院外(外来治療)1日あたり
診療報酬点数:1468.6点
医療費:1万4686円
自己負担額(3割):約4406円
特に入院時の医療費が高く、入院が長引くとそれだけ負担額も大きくなることがわかります。
実際には高額療養費制度を利用することで自己負担額は軽減できますが、入院中の食費や差額ベッド代など保険対象外の費用もかかるため注意が必要です。
(参考:令和5(2023)年社会医療診療行為別統計の概況|厚生労働省)
参考)入院1日あたりの自己負担費用と逸失収入の総額
生命保険文化センターの調査によると、入院1日あたりの自己負担費用の平均は2万700円となっています。
入院1回あたりの自己負担平均額は19.8万円で、10~20万円の負担があったと回答した人が最も多くなっています。
また、入院時に逸失収入(入院することで得られなかった収入)があったと答えた人が17.4%いることがわかります。
入院1回あたりの逸失収入は平均30.2万円となっています。
自営業やフリーランスの場合、仕事ができなくなることですぐに収入が途絶える可能性があります。
傷病手当を受け取ることもできないため、治療費の負担だけでなく逸失収入にも備えておく必要があるでしょう。
(参考:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査|生命保険文化センター)
参考)高額療養費制度
入院や手術で医療費が高額になったとき、高額療養費制度で自己負担額を軽減させることができます。
高額療養費制度
公的医療保険制度のひとつで、1カ月で負担する医療費を一定額以内にとどめる給付制度のこと
高額療養費制度では、年齢や収入に応じて1カ月に負担する医療費の上限額が定められています。
上限額を超えて医療費負担が発生した場合、その差額は返還される仕組みになっています。
高額療養費の自己負担上限額は次の通りです。
近年では、マイナ保険証を使うことで窓口で高額療養費制度の上限額以上の医療費を負担しなくて良いよう、制度が整えられています。
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心臓病の人が備えておきたいリスク
慢性的な心臓病を抱えていると、さまざまな心配事があるかもしれません。
ここからは、心臓病の人が備えておきたいリスクと、おすすめの保険についてご紹介していきます。
入院や手術のリスク
心臓病は治療が長引いたり、再発のリスクがある病気です。
今後のために、入院や手術にかかる費用負担に備えておきたいと考える人も多いかもしれません。
入院や手術に備えるには、医療保険がおすすめです。
心臓病を抱えていて持病の悪化にも備えたい人は、引受基準緩和型医療保険を検討するのが良いでしょう。
引受基準緩和型医療保険であれば、最終の入院・手術から1~2年経過していれば、検討できる保険が出てきます。
緩和型保険であれば持病の悪化にも備えられるため、今後の再発や症状の悪化に備えておきたい人におすすめです。
持病の悪化に備える医療保険を探す

三大疾病のリスク
三大疾病は、日本人の死因上位を占める病気です。
特に心臓病には再発のリスクがあるため、注意が必要です。
三大疾病に備えるには、医療保険と併せて三大疾病保険の検討がおすすめです。
三大疾病保険は、がん・心疾患・脳血管疾患のいずれかに罹患して保険会社が定める要件に該当した場合に、まとまったお金を受け取ることができるタイプの保険です。
ただし、心臓病の治療歴があると通常の三大疾病保険への加入は断られる可能性があります。
治療が終了して2年以上経過していれば、引受基準緩和型の三大疾病保険を検討できる可能性が出てきます。
現在の健康状態で検討できるものがあるか、一度確認してみるようにしましょう。
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万が一のリスク
万が一のことがあったとき家族に経済的な負担をかけたくない人は、死亡保険を検討しておくのが良いでしょう。
年齢や家族構成によっても必要な保障額は異なります。
自分に万が一のことがあったとき、誰にどれだけお金をのこせば安心かを考えておくようにしましょう。
通常の死亡保険への加入を断られてしまったら、引受基準緩和型死亡保険を検討してみましょう。
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参考)日本人の死因構成割合
2023年の日本人の死因順位は、第1位が悪性新生物(がん)、第2位が心疾患、第3位が老衰です。
2023年に心疾患で亡くなった人は23万1056人にのぼり、全死亡者に占める割合は14.7%となっています。
心臓病の人が保険を選ぶときのポイント
心臓病の人が保険を選ぶときには、押さえておきたいポイントがあります。
ここからは、後悔しない保険選びのコツについて、保険のプロが解説していきます。
自分にとって必要な保障を整理する
保険を検討するときは、まず「目的」を整理することが大切です。
主な保険種類と加入目的は次のとおりです。
自分や家族が経済的に困る状況を洗い出し、そのリスクをカバーできる保険を検討するようにしましょう。
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告知項目を確認する
心臓病を抱えている場合、保険に申込む際に告知項目を確認しておくのが良いでしょう。
心臓病の完治から5年以上経過していて通院もしていなければ告知対象外となりますが、それ以外の場合は告知に該当する可能性があります。
告知項目を確認して、手続きに必要な情報を集めておくとスムーズです。
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通常の保険に入れない場合は、引受基準緩和型保険を検討する
心臓病の種類や治療歴によっては、通常の保険に入れない可能性があります。
保険の加入診査に落ちてしまってもすぐに諦めず、検討できる緩和型の保険がないかを探してみるのがおすすめです。
緩和型の保険も、保険会社によって告知項目が異なります。
いくつかの保険会社で比較をしてみるのが良いでしょう。
複数の保険会社で比較する
引受基準緩和型保険で検討できるものが見つかったら、いくつかの保険会社の緩和型保険で比較するようにしましょう。
同じような保障内容でも、保険会社によって毎月の保険料は異なります。
1社だけでなく複数の保険で比較検討をすることで、保険料を抑えられる可能性があります。
緩和型の医療保険を比較してみる

心臓病で受け取れる保険金・給付金
心臓病で治療を受けた場合、加入中の保険で給付金が受け取れる可能性があります。
詳しく見ていきましょう。
入院・手術給付金
医療保険に加入していれば、入院日数に応じて「入院日額給付金」を、手術をすれば「手術給付金」を受け取れる可能性があります。
医療保険で受け取れる可能性がある給付金
- 入院日額給付金
- 入院一時金(特約を付加している場合など)
- 手術給付金
加入している保険の内容によっては、手術給付金の対象となる手術の種類が定められていることもあります。
事前に保障内容について確認しておくことをおすすめします。
三大疾病給付金
三大疾病や生活習慣病に備える保険に加入していれば、一時金を受け取れる可能性があります。
ただし、保険会社によって保障範囲を「心疾患」と定めている場合と「急性心筋梗塞」と定めている場合があります。
それぞれ保障範囲が異なるため、事前に加入中の保険の保障内容を確認しておくようにしましょう。
参考)「心疾患」と「急性心筋梗塞」の違いは?
「心疾患」は、急性心筋梗塞も含む心臓の病気の総称です。
心疾患の中には、狭心症や心臓弁膜症なども含みます。
三大疾病に備える保険を検討する際、より幅広い保障を求めるのであれば保障範囲を「心疾患」と定めているものを選ぶのが良いでしょう。
心臓病の人の保険選びについてよくある質問
ここからは、心臓病の人の保険選びについてのよくある質問に、プロがわかりやすく回答していきます。
Q.心臓病でも共済には入れますか?
A.治療歴によりますが、基本的に加入は難しくなります。
共済に申込む際は、民間の保険と同様に健康状態の告知が必要です。
民間の保険の場合、告知項目に該当しても治療歴を詳細に申告することで加入できるケースもあります。
しかし共済の場合、告知項目に該当する時点で加入できないと定めている組合が多くなっています。
検討中の商品の告知項目を確認したうえで、該当するようであれば民間の保険や引受基準緩和型の保険を検討するのがおすすめです。
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Q.心臓病でも団信には入れますか?
A.診断名や治療歴によりますが、加入できないケースが多いでしょう。
住宅ローンを組む際に併せて検討する団信(団体信用生命保険)ですが、心臓病の罹患歴があると加入を断られる可能性があります。
団信の審査基準は公表されていませんが、一般的な団信の告知書には心臓病による治療歴の申告が必要と定められています。
団信の審査に落ちてしまったら、ワイド団信とよばれる引受基準緩和型の団信を検討するか、民間の死亡保険を団信代わりに利用する方法もあります。
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Q.心臓病でも学資保険には入れますか?
A.一般的な学資保険は契約者(両親など)の告知が必要です。契約者に心臓病などの持病があると加入できない可能性があります。
学資保険には、契約者に万が一のことがあったときにその後の保険料支払が免除されるという保障機能があります。
そのため、加入時に契約者の健康状態を申告する必要があります。
心臓病などの持病を抱えていると学資保険の加入審査に落ちてしまう可能性があるため、持病がない他の親族を契約者にするなどの工夫をすると良いでしょう。
学資保険に子どもの医療保障を付加する場合は、子どもの健康状態の告知も必要になります。
子どもが先天的な心疾患を抱えていると加入が難しいケースもあるので、注意しましょう。
Q.子どもが先天性心疾患を抱えています。保険に入れますか?
A.基本的に加入は難しくなります。
先天性心疾患を抱えていると、医療保険等への加入は難しい可能性が高くなります。
保険会社によっては、先天性心疾患を抱えている子どもでも手術等で完治してから一定期間経過すれば、検討できるケースもあります。
保険会社に問い合わせるなどして、加入できる可能性がないかを確認してみるのもおすすめです。
まとめ
今回は、心臓病でも入りやすい保険や、保険選びのポイントについて解説してきました。
診断名や治療歴によっても異なりますが、慢性的な心臓病を抱えていると通常タイプの保険には加入できないケースもあります。
必要に応じて引受基準緩和型保険を検討するのがおすすめです。
ほけんのコスパでは、複数の保険会社の引受基準緩和型保険を掲載しています。
年齢と性別を入力するだけで簡単に保険料を知ることもできるので、ぜひ保険選びの参考にしてください。
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