不妊治療をしている女性の中には、「医療保険に入れない?」「妊娠・出産に備えて医療保険は必要?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
不妊治療をしていると保険の加入に制限がかかるケースもあります。
すべての保険に加入できないわけではないので、まずは現在の自分自身の状況でも加入できる保険を探してみましょう。
本記事では、不妊治療をしていても加入しやすい保険や保険選びのポイントについて、プロがわかりやすく解説していきます。
この記事を読んでわかること
不妊治療をしていると、医療保険の加入に制限がかかるケースもある
引受基準緩和型医療保険など、不妊治療中でも異常妊娠・異常分娩に備えられる保険はある
何かとお金がかかる不妊治療。妊娠・出産時のトラブルにも保険で備えておくと安心
目次
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不妊治療をしていると医療保険に加入できないって本当?
不妊治療をしていることが原因で、医療保険への加入が全くできないわけではありません。
しかし、不妊治療で通院中の場合、妊娠・出産で異常があっても数年間は保障対象外とする「特別条件」が付くケースがほとんどです。
その他の病気やケガに備えるために医療保険を検討しているのであれば問題ありませんが、異常分娩等には備えられない可能性が高くなります。
妊娠・出産に向けて医療保険で備えておきたいと考えている人は、引受基準緩和型医療保険や一部の少額短期保険などの商品を検討するのも選択肢のひとつです。
また、不妊治療に伴ってその他の女性疾病の治療をしている場合は、通常の医療保険へ加入するハードルがさらに高くなります。
持病を抱えている人は、加入しやすい引受基準緩和型医療保険がおすすめです。
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不妊治療中の医療保険加入に制限がかかる理由
なぜ、不妊治療をしていると医療保険に加入するときに特別条件が付いてしまうのでしょうか。
詳しく見ていきましょう。
異常妊娠・異常分娩のリスクが高い
不妊治療をしていた女性が出産する場合、帝王切開となるケースが多いとされています。
また、体外受精などの不妊治療を受けての妊娠は、異常妊娠などのリスクが高くなる可能性があることが、近年の研究によって分かっています。
もちろん、異常なく妊娠し、自然分娩で出産する女性もいますが、傾向として異常妊娠・異常分娩となる可能性が高いといわれています。
保険会社は、不妊治療を受けている女性に対して、妊娠・出産に関する保障を2~5年間適用しない特別条件を付けるのが一般的です。
不妊の原因となる疾病を抱えている可能性がある
不妊治療をしている女性の中には、子宮筋腫や子宮内膜ポリープ、多嚢胞性卵巣症候群など、不妊の原因となる疾病を抱えている人もいます。
場合によってはそのような疾病で入院・手術が必要になるケースもあるため、保険会社はリスクが高いと判断する可能性があります。
女性疾病を抱えている場合、通常の医療保険では妊娠・出産への不担保や、子宮への部位不担保といった特別条件が付く可能性があります。
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Q.不妊治療をする前であれば医療保険に加入できる?
今現在まだ不妊治療をしておらず、医師の診察も受けていない段階であれば、医療保険の加入に問題はありません。
しかし、すでに検査等の目的で医師の診察を受けていると、実際の不妊治療はまだ受けていなかったとしても、通院歴を保険会社へ申告する必要があります。
不妊治療をしておらず妊活を検討している段階であれば、事前に医療保険などで備えておくと安心できるでしょう。
不妊治療中でも、妊娠・出産に備えられる保険はある?
不妊治療をしていると、通常の医療保険では特別条件が付いてしまう可能性が高くなります。
しかし、すべての商品で特別条件が付くわけではありません。
ここからは、不妊治療をしていても異常妊娠・異常分娩に備えられる保険商品について、詳しくご紹介します。
引受基準緩和型医療保険
引受基準緩和型医療保険とは、通常の医療保険と比べて加入しやすい保険のことで、次の告知項目に該当しなければ、特別条件などが付くこともなく医療保障を準備することができます。
通常の医療保険と比較し保険料は少し割高に設定されていますが、不妊治療をしていても妊娠・出産に伴うトラブルに備えることができるメリットがあります。
健診等で女性疾病の指摘を受けていたり、その他に持病を抱えており通常の医療保険が検討できない人にも、引受基準緩和型医療保険はおすすめです。
不妊治療中でも妊娠・出産に伴うトラブルに備える医療保険を探す

少額短期保険
少額短期保険とは、少額の保険金額を短い保険期間で引受けする保険商品のことで、別名「ミニ保険」ともよばれています。
少額短期保険の中には、不妊治療中でも加入でき、妊娠・出産に備えることができる商品もあります。
少額短期保険は短期的な保障のみを検討するのであれば一つの選択肢になりますが、将来の病気やケガのリスクもふまえて考えると、民間の医療保険も併せて検討しておくのが良いでしょう。
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Q.共済には加入できる?
共済の医療保障の場合、不妊治療で通院をしていると特別条件が付いたり加入を断られてしまう可能性もあります。
特に、子宮筋腫や卵巣腫瘍などの女性疾患を抱えていると、加入できない可能性が高くなります。
それぞれの共済組合によって加入できるかどうかの目安は異なるため、一度お住まいの地域の共済組合に問い合わせしてみるのも良いでしょう。
加入が難しい場合、民間の医療保険や引受基準緩和型医療保険を検討しましょう。
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出産にかかる費用はどれくらい?
不妊治療は何かとお金がかかるものです。
そのうえ、妊娠・出産となると、費用負担を心配する人も多いかもしれません。
統計データから出産にかかる費用を知り、医療保険の必要性について考えていきましょう。
正常分娩の場合
妊娠に伴う異常等が無く自然分娩になった場合、公的健康保険は適用外となるため全額自己負担が必要になります。
厚生労働省の調査によると、2022年度の正常分娩にかかる出産費用の全国平均は48万2294円です。
ただし、健康保険から出産育児一時金を1児につき50万円受け取ることができるため、そのお金で出産費用をまかなう人が多いでしょう。
民間の医療保険では正常分娩は保障対象外となります。
異常分娩の場合
妊娠中に異常があったり、帝王切開で出産した場合、公的医療保険が適用されて自己負担額は3割になります。
また、健康保険からの出産育児一時金に加え、民間の医療保険も保障対象となる可能性があります。
そのため、妊婦自身の負担額は正常分娩よりも低くなる傾向にありますが、負担費用の個人差は大きく、入院が長引いた場合にはそれだけ医療費負担も大きくなるリスクがあります。
妊娠高血圧症候群や重度の悪阻(つわり)などで入院期間が数カ月に及ぶ場合、医療費負担は毎月発生します。
妊娠時の異常や帝王切開をカバーできる民間の医療保険もあるので、必要に応じて加入を検討するのがおすすめです。
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参考)高額療養費制度
異常妊娠・異常分娩などで入院が必要になった場合、高額療養費制度を利用することで自己負担額を軽減させることができます。
高額療養費制度とは、1カ月の医療費負担が限度額を超えた場合、その差額が返還される制度です。
年齢や収入によって限度額は異なっており、現役世代の場合は、次の通り限度額が算出されます。
仮に入院等で医療費が100万円かかった場合、3割負担で30万円の自己負担額が発生することになりますが、高額療養費を利用すると自己負担額は次のようになります。
ただし、高額療養費制度は1カ月ごとに再計算されるため、入院が複数月にまたがると毎月上記の自己負担額が発生することになります。
個室料金(差額ベッド代)や食費は適用外となるため、実際の自己負担額は雑費を含めてもう少し高くなることが考えられるので注意しましょう。
医療保険で受け取れる給付金
民間の医療保険に加入していた場合、いざというときにどのような給付金を受け取ることができるのでしょうか。
具体的な金額を見ていきましょう。
入院・手術給付金
妊娠中に異常が見つかり入院した場合や、帝王切開等の異常分娩をしたときには、医療保険で「入院日額給付金」「手術給付金」を受け取ることができます。
仮に、入院日額5000円、手術給付金5万円の医療保険に加入していた場合、受け取れる金額は次の通りです。
上記はあくまでも一例です。
医療保険の保障額は、保険会社が定める範囲内で自由に設定することができます。
高額療養費制度を利用した場合の自己負担額をカバーできるよう、保障額を決めておくことが大切です。
特別条件が付いた契約で異常分娩・異常妊娠が保障対象外となっていると給付金を受け取れないので、注意しましょう。
先進医療給付金
不妊治療として、先進医療を受けるケースもあります。
その際は、医療保険で「先進医療給付金」を受け取れる可能性があります。
先進医療とは、厚生労働省が認める高度な治療方法・医療技術で、公的医療保険が適用されないため治療にかかる費用は全額自己負担となります。
令和4年4月から一定の条件下で不妊治療の保険適用が認められたものの、治療を続けていくには費用の不安が付き物です。
加入中の医療保険で先進医療特約を付加している場合、まずは検討している不妊治療の先進医療が給付金支払の対象となるか、保険会社に確認してみるのが良いでしょう。
(参考:不妊治療に関する取組|こども家庭庁)
参考)不妊治療で行う先進医療とは
近年では、不妊治療における新しい技術が次々と生まれています。
現在先進医療として厚生労働省に認められている治療には、次のようなものがあります。
(参考:厚生労働省|先進医療の各技術の概要)
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状況別の保険の選び方
不妊治療を検討している人、現在不妊治療のために通院している人、過去に不妊治療をしていた人、置かれている状況は人それぞれです。
妊娠や出産に備えて医療保険に加入しておきたい人に向けて、現在の状況別に保険選びのポイントをお伝えします。
妊活検討中~不妊治療通院前
妊活を検討しており、まだ病院での診察は受けていないようであれば、通常の医療保険への加入は問題ないでしょう。
妊娠・出産時の異常に備えておきたい場合は、不妊治療を受ける前に保険の検討をしておくと良いでしょう。妊娠・出産も含め女性特有の病気に手厚く備えたい場合、医療保険に「女性特約」を付加したプランもおすすめです。
その他の女性疾病などで通院していたり治療歴がある場合は、特別条件が付いてしまう可能性があるため注意しましょう。
不妊治療で通院中 、または5年以内に通院歴がある
不妊治療で通院していたり、過去5年以内に不妊治療をしていた経験がある場合、通常の医療保険では特別条件が付いてしまう可能性が高くなります。
保険加入から2~5年程度、妊娠・出産に関する異常は保障対象外となるケースが多いでしょう。
今後の妊娠・出産に備えたい場合、特別条件が付かない引受基準緩和型医療保険も視野に、保障の準備を検討するのもひとつの選択肢です。
妊娠・出産時にはどんなことが起こるかわかりません。
また、今後の長い人生、そのほかの病気やケガのリスクも年齢を重ねるごとに高くなっていきます。
長い目で考え、今後準備しておくべき保障を今から検討するのが良いでしょう。
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不妊治療中の人が医療保険を選ぶポイント
現在不妊治療中の人が医療保険を選ぶ際の注意点や押さえておくべきポイントについて、さらに詳しく解説していきます。
保険に加入する目的を整理する
まず、自分自身がどんな目的で保険に加入したいのかを整理することが大切です。
今後の妊娠・出産に備えたいのであれば、医療保険や引受基準緩和型医療保険を検討しましょう。
主な保険種類と加入目的は次の通りです。
備えておきたいリスクをカバーできる保険を選ぶ
現在不妊治療中で、いざというときの妊娠・出産に備えたい場合、通常の医療保険で特別条件が付いてしまうと、備えたかったリスクをカバーできていないことになります。
長い目で見てその他の病気やケガに備えたい場合は問題ないですが、特別条件を避けたいのであれば、引受基準緩和型医療保険も視野に入れて保険を検討していくのが良いでしょう。
子どもが誕生したあとの生活もふまえて、自身の入院のリスクに備えておきたい場合は、保障が一生涯続く「終身タイプ」の商品がおすすめです。
今後大きな病気に罹患してしまったり、不妊治療や妊娠中の検査で異常が見つかると、さらに保険加入へのハードルが高くなってしまいます。
保険加入を後回しせずに、今のうちから検討を進めていくようにしましょう。
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保障内容を決める
加入したい保険種類が決まったら、入院日額給付金の額や付加する特約を決めていきます。
この際、不妊治療中だと女性特約が付加できなかったり、特別条件が付く可能性がある点には注意しましょう。
入院日額給付金は、多くの人が5000円~1万円程度で選択しています。
帝王切開などは術後の入院が長引く傾向にあるため、ある程度日額保障を確保しておくと安心です。
また、近年では入院1回に対してまとまった一時金を受け取れる「入院一時金特約」を付加する人も増えています。
いざというときにどれくらいの給付金を受け取れるかをイメージしながら、保障内容を決めていきましょう。
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不妊治療にはどれくらいの費用がかかる?
2022年4月から、不妊治療の公的医療保険対象範囲が広がり、体外受精などの不妊治療も保険適用となりました。
ここからは、不妊治療にかかる費用について見ていきましょう。
不妊治療のステップと費用
不妊治療には、大きく分けて3つのステップがあります。
STEP1:タイミング療法
不妊治療の基本となる治療で、まずはタイミング療法から取り組む人が多いでしょう。
排卵日を予測してタイミング指導をする治療で、不妊の原因によっては薬剤を組み合わせて治療を進めていくケースもあります。
そのため、薬の種類等によっても費用は変動しますが、1周期あたりおおよそ8000円~2万円程度と考えられます。
(参考:タイミング法の費用相場|三軒茶屋ウィメンズクリニック)
(参考:タイミング法の治療スケジュールや費用などについて|浅田レディースクリニック)
(参考:不妊治療費の保険適用後の金額は?治療のステップとともに解説|にしたんARTクリニック)
STEP2:人工授精
排卵のタイミングに合わせて精子を子宮内に人工的に送り込む方法です。
タイミング療法と同じく公的医療保険が適用されます。
1周期あたりの費用は1万5001円~2万5000円程度が多くなっています。
検査や人工授精を行う回数によっても、トータルでの負担額は変わってきます。
STEP3:生殖補助医療(体外受精/顕微授精)
タイミング療法や人工授精でも妊娠しない場合に適用されます。
体外受精の費用は、検査や採卵、体外受精、胚培養、胚移植などのプロセスごとに必要となることが一般的です。
そのため、どのような治療を選ぶかによって費用は大きく異なってきます。
厚生労働省の2020年度調査によると、体外受精の平均負担費用は約50万円となっています。
保険適用で3割負担となった場合、15万円前後の自己負担が発生すると考えられます。
不妊治療を行っているクリニックの中には、目安となる負担額をサイトなどで開示していることもあるので、一度確認してみると良いでしょう。
公的医療保険適用になる不妊治療
現在、タイミング療法や人工授精などの一般不妊治療は公的医療保険の対象となっているため、年齢や回数制限等はなく3割負担で治療を受けることができます。
また、体外受精・顕微授精も保険適用となりましたが、年齢によって回数制限があります。
- 年齢制限
治療開始時において女性の年齢が43歳未満であること - 回数制限
初めての治療開始時点の女性の年齢が40歳未満の場合、通算6回まで(1子ごとに)
初めての治療開始時点の女性の年齢が40歳以上43歳未満の場合、通算3回まで(1子ごとに)
(参考:こども家庭庁|不妊治療に関する取組)
不妊治療で利用できる公的制度や助成制度
不妊治療をする際には、公的医療保険制度以外にも利用できる公的制度や助成制度があります。
詳しく見ていきましょう。
医療費控除
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が基準額を超えた場合、税務署に確定申告をすることで超過支払分の医療費が課税対象所得から控除される制度です。
不妊治療で医療機関に支払った医療費も、控除対象となります。
確定申告時には「医療費控除の明細書(集計表)」を提出する必要がありますが、健康保険組合等から「医療費通知(医療費のお知らせ)」が交付されていれば、それを利用して明細書を作成することができます。
従来のように領収書の提出は不要になりましたが、医療費の領収書は自宅で5年間は保管しておくことが求められていますので注意しましょう。
不妊治療助成制度
不妊治療にかかる費用を一部助成する制度を設けている自治体もあります。
助成内容や回数は自治体によって異なるので、まずはお住まいの地域にどのような制度があるかを確認しておくのが良いでしょう。
なお、不妊治療が公的医療保険制度の対象となったことをふまえ、助成制度を廃止している自治体もあります。
最新の情報は自治体へ問い合わせをするか、自治体サイトを確認するようにしましょう。
まとめ
今回は、不妊治療をしている女性が入りやすい保険や保険選びのポイントについてを解説してきました。
不妊治療をしているからといって医療保険に加入できないわけではありませんが、妊娠・出産が保障対象外となる特別条件が付く可能性が高くなります。
必要に応じて引受基準緩和型医療保険を検討するなどして、いざというときのために備えておくのが良いでしょう。
ほけんのコスパでは、さまざまな保険会社の医療保険を掲載しています。
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