親の通帳を確認して保険料の引き落としが止まっていたり、保険会社から督促状が届いたりしていませんか。
自分たちの生活も教育費や住宅ローンで余裕がない中で、親の保険料まで負担するのは難しいかもしれません。
しかし、放置すれば大切な保障がなくなってしまい、親の入院や万が一の際に自身に負担がかかる恐れがあります。
本記事では、無理なく保障を継続する方法や、保険料を肩代わりする際の税金の注意点を紹介します。
この記事を読んでわかること
公的保険の支払いが滞っている場合はすぐに市区町村の窓口へ徴収猶予や減免の相談を
民間保険の場合、保険料支払いが滞ると失効状態になり保障を失ってしまう
公的保険の範囲も確認しながら、本当に民間保険が必要かを親と話し合いましょう
目次
8.まとめ
まず確認!払えないのは「公的保険」か「民間の生命保険」か?
滞納している保険が公的なものか民間のものかによって、発生するリスクと対処法は大きく異なります。
まずは、滞納している保険料の種類を確認しましょう。
国民健康保険や介護保険(公的保険)の場合:放置は厳禁
国民健康保険や公的介護保険の保険料を滞納し続けると、督促状が届き延滞金が発生するだけでなく、最終的には財産の差し押さえが行われる可能性があります。
介護保険料を1年以上滞納した場合、介護サービス利用時の自己負担割合が1割から3割へ引き上げられるペナルティも存在します。
生活困窮により支払いが困難な状況であれば、早急に市区町村の窓口で「徴収猶予」や「減免」の相談を行う必要があります。
未払いのまま放置するのは絶対に避けましょう。
(参考:介護保険料を滞納した場合|厚生労働省)
生命保険や医療保険(民間保険)の場合:解約せずに残す救済措置がある
民間の生命保険や医療保険の保険料支払いが滞った際、すぐに全ての保障がなくなるわけではありません。
通常、1カ月分の保険料が引き落とせなかった場合は翌月に2カ月まとめての領収となります。
2カ月分の保険料も未納になると、「失効状態」になり保障が無効状態になってしまいます。
一定期間内であれば復活手続きを取れる場合もありますが、その際は健康状態の申告を改めてする必要があるため、被保険者である親の健康状態によっては復活を断られる可能性があります。
また、保険会社によってはそもそも復活の取り扱いがない場合もあるため注意が必要です。
民間保険はできる限り「失効」させないよう、2カ月以内に保険料を支払うのが最も良い方法です。
また、貯蓄性のある死亡保険の場合、解約せずに保障を継続する「払済保険」や「延長保険」の仕組みを利用することも可能です。
保険料の支払を止めて、保障だけ継続させることができるため、まずは保険会社に今後の進め方を相談するのがおすすめです。
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親の民間の保険料が払えない!放置するとどうなる?
先述した通り、保険料を滞納したまま一定期間が経過すると、保険契約は効力を失うか自動的に借金が生じる状態に陥ります。
詳しく見ていきましょう。
猶予期間(翌月末など)を過ぎると保険は「失効」する
保険料の引き落としができなかった場合でも、直ちに契約が解除されることはありません。
多くの生命保険契約では、払い込むべき月の翌月初めから翌月末日までを「払込猶予期間」として定めています。
払込猶予期間内に未納分を払い込めば、保障は継続されます。
猶予期間を過ぎても支払いがない状態になると、保険契約は「失効」します。
失効期間中に病気や死亡などの給付事由が発生しても、給付金を受け取ることは一切できません。
失効後一定期間であれば、復活手続きを取ることができますが、その際は健康状態の診査が再度必要になります。
一部の保険会社では復活手続き自体が設けられておらず、払込猶予期間が通常より長く設定されており、失効するとその時点で契約が消滅するケースもあります。
「自動振替貸付」で保険会社が勝手に立て替えているケースに注意
解約返戻金がある終身保険などでは、猶予期間を過ぎても失効しない場合があります。
保険会社が解約返戻金の範囲内で保険料を自動的に立て替える「自動振替貸付」が適用されるため、解約返戻金がなくなるまでは保障が継続されます。
自動振替貸付が適用されると失効はしませんが、立て替えられた金額には所定の利息がかかります。
立て替え金の元利合計額が解約返戻金を超えると、予告なしに契約が失効する点には注意が必要です。
解約返戻金はこれまで支払った保険料から積み立てられたものなので、純粋な「借金」とは異なりますが、立替分の利息が付くためできるだけ早く清算しておくのがよいでしょう。
親の知らない間に解約返戻金が保険料に充当されていないか、契約状況を確認することが大切です。
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解約はちょっと待って!親の保険を残す4つの救済措置(手続き)
保険料の支払いが難しい場合でも、全解約せずに保障を残す方法があります。
ここからは、親の保障を残す4つの救済措置を紹介します。
1. 以後の支払いをストップして保障を一生涯残す「払済(はらいずみ)保険」
終身保険などの貯蓄性がある生命保険に加入している場合、現在の保険契約を、解約返戻金をもとにした「一時払」の保険に変更できる可能性があります。
払済保険へ変更した後は、以後の保険料支払いが一切不要になります。
解約返戻金の額に応じて保障が決まるため、元の契約よりも保険金額が少なくなりますが、一生涯の死亡保障は維持できます。
原則として特約部分は消滅するため、入院保障やがん保障を付加している場合は注意が必要です。
保険料負担をなくしつつ、親の葬儀代など最低限を残したい場合には適した方法です。
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2. 保障額を減らして毎月の保険料を安くする「減額(一部解約)」
保険金額(保障額)を小さくすることを「減額(一部解約)」と呼びます。
減額した部分は解約したものとみなされるため、毎月の保険料はその分少なくなります。
減額部分に対応する解約返戻金がある場合は、契約者へ払い戻されます。
全くの無保険は不安だけど年金収入に見合った保険料にしたい人にはおすすめです。
また貯蓄型保険の場合、減額した分の解約返戻金を受け取れるため、まとまったお金が欲しい人にも適しています。
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3. 不要な特約(オプション)だけを解約してベースの保険料を下げる
主契約の死亡保障は残しつつ、特約部分のみを解約して全体の保険料を下げる方法もあります。
医療特約や災害特約など、現在の親の年齢や生活環境を考慮して必要性が低いと感じるオプションを削りましょう。
特約を整理するだけで、月々の保険料が数千円単位で安くなるケースもあります。
契約内容を整理し、本当に必要な保障だけに絞り込むことで、無理のない範囲で契約を継続できるかもしれません。

Q1
入院時の費用は?
4. 今の解約返戻金で同じ保障額の期間を変える「延長保険」
現在の解約返戻金をもとに、保障額は変えずに「定期保険」へ変更する手続きを延長保険と呼びます。
以後の保険料支払いは不要となりますが、保障される期間は元の契約より短くなります。
延長保険に変更すると、終身の保障が一定期間の保障へ切り替わるため、長生きした際の備えはなくなります。
当面の間だけ大きな保障を維持したいものの、現金での保険料支払いが難しい場合に適した方法です。
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【要注意】子どもが親の保険料を肩代わりする際の「税金」の落とし穴
親が保険料の支払いをできなくなった場合、子どもが肩代わりしようとするケースも少なくないでしょう。
しかし、親の代わりに子どもが保険料を支払うと、将来受け取る保険金に「贈与税」や「所得税」が課される可能性があります。
税金面での注意点について詳しくご紹介します。
子どもが払って親が受け取ると「贈与税」の対象になることも
保険料を負担した人と、保険金を受け取る人が異なる契約の場合、実質的な「財産の贈与」とみなされます。
たとえば子どもが保険料を支払い、親が満期保険金を受け取る場合は、親に対して贈与税が課税される仕組みです。
年間110万円の基礎控除を超える贈与が発生しないか、慎重な確認が必要です。
また、親が死亡した際の死亡保険金を子どもが受け取る場合も、保険料負担者が子どもであれば「一時所得」とみなされ所得税の課税対象になります。
契約者が親のままだと複雑な税務処理も発生するため、親の保険を肩代わりする際は注意が必要です。
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肩代わりするなら「契約者変更」の手続きが必須
子どもが親の保険料を継続的に肩代わりするのであれば、保険会社で「契約者変更」の手続きを行いましょう。
死亡保険の場合、「契約者=子ども、被保険者=親、受取人=子ども」に変更しておくことで、将来受け取る死亡保険金は「一時所得(所得税)」の扱いになります。
贈与税には年間110万円の基礎控除がありますが、死亡保険金のようなまとまったお金を受け取る場合は、一時所得の方が税負担を抑えやすくなります。
一時所得は「(受け取った金額-支払った保険料総額-特別控除50万円)× 1/2」が課税対象となるため、利益が半分として計算される大きなメリットがあるからです。
手続きを怠って将来トラブルにならないよう、早急に名義変更を行いましょう。
名義変更すれば「税金がゼロ」になるわけではない
ただし、名義変更をする際に1点だけ注意が必要です。解約返戻金がある貯蓄型の保険(終身保険など)の場合、契約者を親から子へ変更した時点では課税されませんが、将来保険金を受け取ったり解約したりした際に、「親が過去に支払っていた期間の解約返戻金相当額」が、親から子への「贈与」とみなされるケースがあります。
これまでの親の払込期間が長く、現在の解約返戻金が高額に積み上がっている場合は、将来思わぬ贈与税が発生する可能性があります。
契約者変更には現在の契約者である親の同意と署名が必須です。
手続きを急ぐ前に、まずは保険会社に「現在の解約返戻金がいくらあるか」を確認し、金額が大きい場合は税務署や税理士へ事前に相談しておくと安心です。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年4月1日―2026年4月30日)
親に今の保険は必要?自分で決めるための「2つの判断基準」
親が今加入している保険は本当に必要なのか、無理をして保険料を払い続ける価値があるのか、客観的な基準で判断する方法をご紹介します。
基準1:高額療養費制度でまかなえるなら、高い医療保険の必要性は低い
日本の公的医療保険制度には、1カ月の医療費負担に上限を設ける「高額療養費制度」が存在します。
70歳以上の一般所得者の場合、外来・入院を合わせた自己負担上限額は5万7600円程度に設定されています。
さらに住民税非課税世帯であれば、上限額はさらに低く抑えられます。
手元の貯蓄で毎月の限度額を支払える状態であれば、月額1万円を超えるような高い医療保険に加入し続ける必要性は低くなります。
ただし、貯蓄が少ない人や、公的制度でカバーできない差額ベッド代などに備えたい人は、最低限の医療保障を確保しておくようにしましょう。
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基準2:今後の支払保険料の総額と、受け取れる給付金のバランス
今後払い込む保険料の総額と、将来受け取れる可能性が高い給付金額を比較することも大切です。
たとえば、月額1万5000円の保険料を10年間支払うと、総額は180万円に達します。
一方で、入院給付金が日額5000円の契約であれば、360日の入院をしなければ元が取れない計算になります。
高齢者は長期入院のリスクが高いと言われていますが、それでも近年では短期入院の割合が増加傾向にあります。
支払った保険料以上の給付を受ける確率は決して高くないでしょう。
掛け捨ての保険料が家計を圧迫している場合、保険料を貯蓄に回す方が合理的な場合もあります。
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ガンコな親も納得!数値とデータを使った「保険見直し」の説得術
親が加入している保険に意見することで、衝突を招くのではないかと懸念する人もいるでしょう。
感情的な対立を避け、客観的な事実を使って親と話し合う方法をご紹介します。
「お金がないなら解約して」はNG。高額療養費制度を理由に使う
「保険料を払えないなら解約すべきだ」と伝えると、親は自分の生活水準の低下や将来への不安を感じて反発しがちです。
説得の際は「国が守ってくれる制度がこれだけ充実している」というポジティブな情報を中心に伝えましょう。
高額療養費制度の仕組みを一緒に確認しながら、もしものときにどれくらいの自己負担が発生するかをシミュレーションします。
公的制度が守ってくれているので、医療保険は最小限で良いことを伝えると、親も納得しやすくなります。
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葬儀代を心配しているなら実際にかかる費用と貯蓄額を冷静に判断する
「万一のときに子どもに迷惑をかけたくない」という思いから、死亡保障を無理に継続していることもあるでしょう。
保険料が無駄だと伝えてしまうと、親の気持ちを無視した形になり、傷つけてしまうかもしれません。
まずは、葬儀費用の平均を一緒に確認し、今の貯蓄額で準備できているかを確認してみましょう。
葬儀や遺品整理に十分な額の資産があるのであれば、無理に死亡保障を継続する必要はないかもしれません。
ただし、人が亡くなるとその人の口座は凍結されてしまい、すぐにお金を引き出すことができなくなってしまいます。
一定期間子どもが立て替えできるのであれば問題ありませんが、実際に万が一のことが起こった時、支払いに困らないかシミュレーションしておくことは大切です。
葬儀費用の平均
株式会社鎌倉新書が実施した「第6回お葬式に関する全国調査」によると、葬儀にかかる費用の平均総額は118.5万円となっています。
一般葬で161.3万円、家族葬で105.7万円、一日葬で87.5万円と、葬儀の規模によって費用は大きく異なることが分かります。
その他、お墓の購入費用や遺品整理にかかる費用など、万が一にかかるお金と併せて、死亡保障の必要性を判断しましょう。
(参考:【第6回】お葬式に関する全国調査(2024年)|株式会社鎌倉新書)
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シミュレーションツールで「具体的な金額」を親に見せる
「なんとなく損だ」と言うのではなく、具体的な金額をシミュレーションして、保険を継続するメリットとデメリットを整理することが大切です。
今後支払う保険料の総額と、解約した際に戻ってくる解約返戻金の金額を並べて見せてください。
「10年で180万円払うよりも、今解約して戻る50万円を医療費の備えとして持っておく方が安心ではないか」など具体的な提案ができるかもしれません。
数字という客観的な指標を共有することで、親も冷静に自分自身の将来を判断できるようになります。
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親の保険料が払えないときによくある質問
親の保険に関するよくある質問に、保険のプロがわかりやすく回答します。
Q. 親が認知症などで手続きできない場合、子どもが勝手に解約できますか?
A. 原則として子どもが勝手に解約することはできません。ただし、事前の備えがあれば代理手続きが可能です。
保険契約の解約は重要な法律行為であり、契約者本人の意思確認が必須です。
親の判断能力が低下している場合、保険会社は解約手続きを受け付けません。
この場合、「成年後見制度」を利用して家庭裁判所から選任された後見人が手続きを行う必要があります。
しかし、近年は成年後見制度を利用しなくても家族が手続きできるよう、各保険会社で代理制度が拡充されています。
それぞれの違いに注意しましょう。
指定代理請求特約: 入院給付金などの「請求」は代行できますが、保険の「解約」はできません。
家族登録制度: 契約内容の「確認」や書類の手配はできますが、「解約」はできません。
保険契約者代理特約(制度)
保険契約者代理特約(制度)とは、あらかじめ親が元気なうちに指定しておくことで、親が認知症になった際、指定された代理人(子どもなど)が「解約」や「減額」の手続きを代行できる制度のこと
もし親御さんにまだ判断能力がある(契約内容を理解できる)状態であれば、将来の万が一に備えて、早急に「保険契約者代理特約」を付加しておくことを強くおすすめします。
すでに認知症の症状が進んでしまっている場合は、ご自身の状況で特例的な対応ができないか、まずは保険会社のコールセンターへ相談しましょう。
(参考:家族による生命保険の代理手続き ~元気なうちに考えておきたいこと~|生命保険文化センター)
まとめ
親が保険料を払えない状況を放置してしまうと、保険が失効してしまったり自動振替貸付で利息が増えるなどの事態を招きます。
本当に保障が必要かどうかを親と判断し、必要な場合は子どもを契約者とする変更手続きを行いましょう。
大切なのは、親の尊厳と保険にかける思いを尊重しながら、客観的なデータに基づいて話し合いをすることです。
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