発達障害(ADHD、ASD、自閉症スペクトラムなど)の診断を受け、現在も治療や通院を継続している場合、残念ながら多くの保険会社で通常の生命保険や医療保険への加入は難しいのが現実です。
しかし、諦める必要はありません。
「告知で断られた」「自分はもう保険に入れない」と不安を抱えている方のために、本記事では発達障害を抱えていても検討できる可能性がある保険をご紹介します。
また、発達障害の方が利用できる公的保障や、医療費の負担を軽減する方法についても詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読んでわかること
発達障害で治療を受けている場合通常の生命保険は検討が難しい
引受基準緩和型保険や専門の共済を検討するのがおすすめ
民間の保険だけでなく、公的制度も上手に活用しましょう
目次
2-1.引受基準緩和型保険
2-2.がん保険・三大疾病保険
2-3.障害のある方向け共済保険
4-1.自立支援医療制度
4-2.高額療養費制度
4-3.障害年金
4-4.特別児童扶養手当・障害児福祉手当
4-5.障害者手帳
6.まとめ
発達障害で治療を受けている場合通常の保険には加入しづらい
結論として、発達障害の診断を受けて治療中の場合、一般的な生命保険や医療保険への加入は難しくなる傾向にあります。
ただし、「発達障害だから絶対に保険に入れない」というわけではありません。
保険種類や商品、個々の症状の程度によっても加入可否は異なります。
まずは、発達障害で保険に加入しづらくなる理由について見ていきましょう。
発達障害の人が保険に加入しづらい理由
発達障害の人が保険に入りづらい主な理由は、次の4点です。
- 精神疾患の併発リスクが高い
- 事故のリスクが懸念される
- 長期服薬が必要
- 発達障害に関する長期的なデータが不足している
【精神疾患の併発リスク】
発達障害の特性が原因で、うつ病や適応障害などの精神疾患を併発(二次障害)する可能性があります。
精神疾患は症状が悪化すると長期入院のリスクも高くなるため、保険会社の判断は厳しくなりがちです。
【事故のリスク】
注意欠如・多動症(ADHD)の特性である不注意や衝動性により、交通事故やケガのリスクが統計的に高いと見なされる場合があります。
【長期服薬】
長期で治療を続けている場合、薬の影響をリスクとして保険会社が判断する場合があります。
発達障害の治療は投薬を続ける必要があるため、通常の保険では加入が難しいケースが多くなります。
【発達障害に関するデータ不足】
発達障害の方が保険に加入した場合の長期的なデータが保険会社に十分に蓄積されておらず、リスク評価が難しいという側面もあり、一律で加入を断る保険会社もあります。
保険は、多くの人が保険料を出し合い、万が一のことが起きた人に保険金を支払う相互扶助の仕組みで成り立っています。
そのため、加入時点ですでに病気やケガのリスクが高いと判断される場合、他の加入者との公平性を保つのが難しくなります。
発達障害を抱えている場合も、上記のような理由からリスクが高いと判断され、一般的な保険への加入は断られる可能性があります。
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Q.発達障害で治療を受けていることを隠して保険に加入しても良い?
A.発達障害の診断や治療の事実を隠して保険に加入することは絶対にやめましょう。
保険に加入する際には、過去の病歴や現在の健康状態、職業などについて、事実をありのままに保険会社に伝える「告知義務」があります。
告知義務に違反して事実と異なる内容を伝えたり、重要な事実を隠したりした場合、「告知義務違反」とみなされ、大きなトラブルにつながる可能性があります。
告知義務が発覚した場合、いざというときに保険金や給付金が支払われなかったり、最悪の場合契約自体を解除されてしまうことも考えられます。
発達障害で治療を受けており告知項目に該当するのであれば、正直にありのままを申告する必要があります。
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発達障害でも加入しやすい保険
一般的な保険への加入が難しい場合でも、発達障害の方が加入を検討できる保険は存在します。
発達障害の治療をしていても加入しやすい保険と、それぞれのメリットとデメリットをお伝えします。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険は、持病や過去の病歴がある方でも加入しやすいように設計された保険です。
大きな特徴は、保険会社からの健康状態に関する質問(告知項目)が一般的な保険に比べて少なく、内容も簡素化されている点です。
告知項目が「はい/いいえ」で答えられる数個の質問に限定されており、すべてに「いいえ」と答えられれば申込が可能です。
主に、病気やケガによる入院・手術に備えられる「医療保険」や、万一のリスクに備える「死亡保険」で緩和型の商品が多く販売されています。
発達障害で治療をしていても加入しやすい一方、一般的な保険と比較して保険料が割高に設定されている点には注意が必要です。
緩和型の保険を検討する際は、保障と保険料のバランスを見ながら、今後継続できる範囲の保険料にとどめるよう意識しましょう。
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参考)引受基準緩和型保険の告知項目
引受基準緩和型保険の告知項目は保険会社や商品によって異なりますが、一般的には次のような内容が問われます。
発達障害で治療をしている場合、1~2年以内に入院歴がなく、その他の持病もなければ申込できる可能性があります。
告知項目は保険会社によっても少しずつ異なるため、複数の保険会社で比較しながらの検討がおすすめです。
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がん保険・三大疾病保険
がん保険や三大疾病保険は、発達障害の診断を受けている方でも比較的加入しやすい保険です。
がん保険の場合、告知項目はがんに関連する疾病や症状について問われることが一般的です。
発達障害はがんの発症に直接的な因果関係がないため、問題なく加入できるケースも多くなっています。
同様に、がん・心疾患・脳血管疾患を保障する三大疾病保険も、発達障害との直接的な関連性が低いことから、加入を検討できる可能性があります。
医療保険の代わりとして、まずはリスクの高いがんに備える考え方もあるでしょう。
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障害のある方向け共済保険
民間の保険会社が販売している保険のほかに、「共済」も有力な選択肢となります。
共済は、特定の地域や職域の組合員が協同で運営する非営利の保障制度です。
中には、知的障害や発達障害のある方を対象とした共済保険も存在します。
民間の保険で加入できるものが見つからなかった場合、専門の共済を検討してみるのもおすすめです。
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発達障害のある子どもが入れる保険
お子さんが発達障害と診断された場合、将来のためにどのような備えができるか心配になる人も多いでしょう。
前述した「引受基準緩和型保険」は、20歳以上しか加入できないことが多いため、成人までは共済等で加入できるものを探すのがおすすめです。
また、そもそも発達障害による治療を受けていなければ告知に該当しないケースもあります。
詳しくは加入を検討している保険会社に直接問い合わせて確認してみましょう。
その他、子どもの教育費に備える「学資保険」は、子どもに障害があっても比較的加入しやすい保険です。
子どものために親が加入しておくべき保険は?
発達障害のある子どもの将来に備えるために、検討しておきたいおすすめの保険は次のとおりです。
- 学資保険/貯蓄型保険
- 死亡保険
まずは、将来必要になる教育資金を準備するため、学資保険や貯蓄性のある保険を検討しましょう。
学資保険は契約者である親に万が一のことがあったとき、残りの保険料が免除され、満期保険金を予定通り受け取ることができる保険です。
親の万が一に備えることができる点は魅力ですが、長らく続く日本の低金利政策の影響で、学資保険の予定利率も低下傾向にあります。
より積極的な資産運用をしたい場合は、外貨建ての終身保険や変額保険なども選択肢のひとつになります。
また、親自身に万が一のことがあったとき、子どもの将来の生活費や教育費を確保するために、死亡保険の検討も必要です。
特に子どもが小さいうちの保障を手厚く用意したい場合は、定期保険や収入保障保険など、掛け捨て型の死亡保険がおすすめです。
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参考)障害者扶養共済制度(しょうがい共済)
障害のある子どもを扶養している保護者のための公的な制度として、障害者扶養共済制度(しょうがい共済)があります。
保護者が毎月一定の掛金を納めることで、保護者が亡くなったり、重度の障害状態になったりした場合に、のこされた障害のある子どもに一生涯、一定額の年金が支給されます。
しょうがい共済の大きなメリットは、いわゆる「親亡き後」の経済的な不安を軽減できる点です。
民間の生命保険ではカバーしきれない、長期的な生活資金を確保する手段として非常に有効といえるでしょう。
支給額は1口加入あたり月額2万円で、2口まで加入可能です。
年金は、子どもが生きている限り一生涯支給されます。
掛金は加入する保護者の年齢によって決まります。
制度の詳細は、窓口になっている各都道府県・指定都市のサイト等で確認できます。
将来、子どもが経済的に自立することが難しい可能性がある場合、親が元気なうちに加入を検討しておくべき制度の一つです。
(参考:障害者扶養共済制度(しょうがい共済)|厚生労働省)
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年2月1日―2026年2月28日)
発達障害を抱えている人が利用できる公的制度
民間の保険に加入することが難しい場合や、保険だけでは保障が不十分な場合に備えて、公的制度について知っておくことはとても大切です。
ここからは、発達障害を抱えている人が利用できる公的制度について、詳しくご紹介します。
自立支援医療制度
自立支援医療制度とは、精神疾患や発達障害の治療のために、継続して通院が必要な方の医療費負担を軽減する制度です。
自立支援医療制度を利用することで、指定した医療機関や薬局で支払う医療費の自己負担割合が、通常3割のところ原則1割まで軽減されます。
さらに、世帯の所得に応じて1カ月あたりの自己負担額に上限が設けられるため、長期的な通院が必要な場合でも経済的な負担を抑えることができます。
対象となるのは、精神科や心療内科での診察、デイケア、薬代などです。
申請はお住まいの市区町村の障害福祉担当窓口で行います。申請時には医師の診断書等が必要になるため、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。
(参考:自立支援医療制度の概要|厚生労働省)
高額療養費制度
高額療養費制度は、1カ月にかかった医療費の自己負担額が高額になった場合に、一定の上限額を超えた分があとから払い戻される制度です。
自己負担の上限額は、年齢や所得によって定められています。
例えば、急な入院や手術で医療費が数十万円になったとしても、この制度があることで家計への負担を軽減できる可能性があります。
事前に入院や手術の予定が分かっている場合、「限度額適用認定証」を健康保険組合や市区町村の窓口で申請し、医療機関に提示すれば、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることも可能です。
また、マイナ保険証で診療を受ければ、認定証を取得しなくても同様の扱いを受けることができます。
発達障害の治療だけでなく、すべての病気やケガの治療に適用される、公的医療保障の基本となる制度です。
(参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省)
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障害年金
障害年金とは、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることができる公的な年金です。
発達障害も対象疾患に含まれており、日常生活や就労にどの程度の支障があるかによって障害等級が認定されます。
1級から3級(3級は障害厚生年金の場合のみ)に認定された場合、障害年金を受給できます。
障害年金の受給には、次の3つの要件を満たす必要があります。
- 初診日要件: 障害の原因となった病気で初めて医師の診療を受けた日(初診日)に、国民年金または厚生年金に加入していること。
- 保険料納付要件: 初診日の前日までに、一定期間以上保険料を納めていること。
- 障害状態要件: 障害認定日に、法令で定められた障害等級に該当すること。
発達障害の場合、初診日が20歳前になることも多く、その場合は20歳から障害基礎年金を申請できる可能性があります。申請手続きは複雑なため、社会保険労務士などの専門家に相談することも検討しましょう。
(参考:障害年金|日本年金機構)
特別児童扶養手当・障害児福祉手当
20歳未満の子どもに障害がある場合、その保護者や本人に対して支給される手当があります。
【特別児童扶養手当】
精神または身体に障害を有する20歳未満の児童を家庭で監護、養育している父母等に支給されます。
障害の程度に応じて1級または2級に認定され、手当額が決定します。
令和7年度の1カ月あたりの支給額は、1級の場合で5万6800円、2級の場合で3万7830円です。
受給には所得制限があります。
【障害児福祉手当】
精神または身体に重度の障害があり、日常生活において常時介護を必要とする20歳未満の在宅の児童本人に支給されます。
令和7年度の支給額は、1カ月あたり1万6100円です。
こちらも所得制限があります。
上記の手当は、子どもの療育や生活にかかる経済的な負担を支える重要な制度です。申請はお住まいの市区町村の窓口で行います。
(参考:特別児童扶養手当について|厚生労働省)
(参考:障害児福祉手当について|厚生労働省)
障害者手帳
障害者手帳は、障害のある人がさまざまな福祉サービスを受けるために必要な証明書です。
発達障害の場合、主に「精神障害者保健福祉手帳」の対象となります。
障害者手帳を取得することで、次のような支援やサービスを受けることができます。
- 税金の優遇措置:所得税や住民税の障害者控除、相続税の控除などが受けられます。
- 公共料金の割引:JR運賃、バス・タクシー料金、公共施設の入場料などの割引が適用される場合があります。
- 福祉サービスの利用:障害者雇用枠での就労や、就労移行支援などの福祉サービスを利用しやすくなります。
- 自立支援医療制度の申請:診断書を提出する代わりに、手帳の写しで申請できる場合があります。
手帳の取得は任意ですが、経済的な負担軽減や社会参加の促進につながるため、主治医と相談の上、申請を検討してみましょう。
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発達障害と保険選びに関するよくある質問
ここからは、発達障害と保険選びに関するよくある質問に、保険のプロがわかりやすく回答します。
Q.発達障害で住宅ローン(団信)に入れますか?
A.発達障害の症状や治療状況によっては、通常の団信への加入は難しい場合があります。
団体信用生命保険(団信)も生命保険の一種のため、加入時には健康状態の告知が必要です。
治療状況によっては通常団信への加入を断られる可能性がありますが、それだけでローンを組むことを諦める必要はありません。
告知項目が少ない「ワイド団信(引受基準緩和型団信)」や、団信加入が任意のフラット35を利用する方法もあります。
金融機関によって取り扱う団信の種類や審査基準が異なるため、複数の金融機関に相談することをおすすめします。
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Q.知的障害や重度障害の場合はどうすれば良いですか?
A.障害のある方向けの共済を検討するか、公的支援制度である「障害者扶養共済制度」の活用が主な選択肢となります。
契約内容を理解する能力(意思能力)の観点から、ご本人が契約者となる一般的な保険への加入は難しいことがほとんどです。
専門の共済を検討するか、利用できる公的制度に頼りましょう。
Q.公的医療保険適用になる検査や治療はありますか?
A.はい、あります。
医師が発達障害の診断や治療に必要と判断した診察、心理検査(WISC-Ⅳなど)、薬物療法(抗精神病薬・中枢神経刺激薬・抗不安薬など)は、公的医療保険の適用対象となります。
ただし、医療機関によってはカウンセリングや一部の療育プログラムが保険適用外(自費診療)となる場合があるため、事前に確認することが大切です。
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まとめ
発達障害と診断されても、保険への加入を諦める必要はありません。
一般的な保険への加入は難しい場合が多いですが、引受基準緩和型保険や専門の共済など、検討できるものは複数あります。
また、民間の保険だけでなく公的制度を併せて活用することで、医療費や生活費の負担を総合的に軽減することも可能です。
自身の現状にあった保障や支援を受けられるよう、まずは情報収集からはじめましょう。
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