「老後資金2000万円問題」と聞き、将来の生活に漠然とした不安を感じていませんか?
公的年金だけでは足りないかもしれない、でも具体的にどう準備すれば良いのか分からない、という人も多いでしょう。
将来のために積立型の保険で資産形成に取り組む人も多いですが、それだけでは老後資金のすべてを賄えない可能性があります。
本記事では、保険を活用した老後資金の準備方法から、より効率的な資産形成を実現するNISA・iDeCoとの組み合わせ術まで、お金のプロであるFPが詳しく解説します。
自身のライフプランに合った無理のない老後資金計画を立てるために、ぜひ参考にしてください。
この記事を読んでわかること
インフレリスクを加味すると老後2000万円以上の資産が必要になる可能性も
老後のための資産形成には「個人年金保険」や「終身保険」がおすすめ
高い利回りを期待できる投資信託による運用も組み合わせてみましょう。ただし元本割れリスクには注意
目次
7.まとめ
そもそも「老後2000万円」は本当に必要なのか?
「老後2000万円問題」はあくまで特定のモデルケースに基づく試算です。
大切なのは、自身のライフプランに置き換えて本当に必要な金額を把握することです。
では、「2000万円」という金額の妥当性について見ていきましょう。
老後に2000万円不足するといわれている理由
老後資金として2000万円が必要とされる根拠は、2019年に金融庁が公表した報告書にあります。
この報告書では、「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯」をモデルケースとして、平均的な収入と支出を基に試算しています。
モデルケースでは、年金などの平均実収入が1カ月約20.9万円であるのに対し、平均的な消費支出が約26.4万円となり、毎月約5.5万円が不足するという計算結果となりました。
毎月5.5万円の赤字が30年間続くと仮定すると、総額で約2000万円(5.5万円 × 12カ月 × 30年)の資金を取り崩す必要があります。
ただし、これはあくまで2017年時点の平均値を用いた試算であり、すべての世帯に当てはまるわけではありません。
現役時代の収入によっては厚生年金の受給額が平均よりも多く、月の赤字はそこまで大きくならないケースもあるでしょう。
反対に、国民年金加入者など年金受給額が少ない人は、老後の生活でさらに多くの資金を取り崩す必要があるかもしれません。
個々の収入やライフスタイルによって必要な金額は大きく異なるため、「2000万円」という数字はひとつの目安として捉えることが大切です。
当サイト経由での契約件数および各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出(2026年2月1日―2026年2月28日)
インフレリスクを考慮すると2000万円でも足りない可能性
老後資金を考える上で見過ごせないのが、インフレ(物価上昇)のリスクです。
インフレとは、モノやサービスの価格が継続的に上昇し、相対的にお金の価値が下がることです。
現在2000万円で買えるものが、インフレが進むことで30年後には同じ金額では買えなくなる可能性があります。
さらに、高齢化に伴い介護関連の費用が増大することも予想されます。
老後は病気やケガのリスクが高くなるため、医療や介護にかかる費用も若い頃と比べて高くなる傾向にあります。
今後、国の財政によっては医療費の自己負担割合が増える可能性もあるため、生活費とは別に医療にかかる費用も加味しておく必要があるでしょう。
将来の物価上昇や介護費用の増加を考慮すると、現時点で試算されている「2000万円」という金額では、安心して生活するには不十分となる可能性も考えられます。
食料品やエネルギー価格の高騰で、インフレを肌で感じている人も多いでしょう。
今のうちから、インフレリスクも加味した資産形成に取り組んでおくことが大切です。
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老後資金作りで「保険」を選ぶ3つのメリット
老後資金の準備方法にはNISAやiDeCoなど様々な選択肢がありますが、「保険」には他の金融商品にはない独自のメリットがあります。
まずは、保険で資産形成するメリットを紹介します。
①【強制貯蓄】口座引き落としで「確実」に貯まる
保険を活用するメリットの1つとして、強制的に貯蓄を継続できる仕組みが挙げられます。
貯蓄型保険に加入すると、毎月決まった日に指定の口座から保険料が自動的に引き落とされます。
給料が入ったらまず貯蓄分を確保し、残ったお金で生活する「先取り貯蓄」を自動で実践できるのがメリットです。
また、お金を引き出すには保険を「解約」する必要があるため、安易な気持ちで貯まったお金を使うことがないのもポイントです。
「なかなかお金が溜まらない」「口座にお金があると使ってしまう」など、貯蓄が苦手な人には特に貯蓄型保険がおすすめです。
②【節税効果】生命保険料控除で今の税金が安くなる
貯蓄型保険の保険料は、「生命保険料控除」の対象になります。
年間の払込保険料に応じて一定額が所得から差し引かれ、税金の計算対象になる所得額が少なくなる仕組みです。
控除の対象となる保険は、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つの枠に分かれています。
終身保険や養老保険など死亡保障効果がある保険は「一般生命保険料控除」、個人年金保険は「個人年金保険料控除」の対象になります。
それぞれの枠で最高4万円まで所得控除が可能です。
3つの控除枠をすべて最大限活用すれば、年間12万円の所得控除効果が得られます。
老後に向けた資産形成をしながら、今の税負担も軽くできる点は、保険ならではの利点といえるでしょう。
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③【万が一の備え】死亡保障と資産形成を同時にカバー
終身保険や変額保険には、資産形成効果と同時に、契約期間中の万が一の事態に備える「死亡保障」の機能があります。
これは、銀行預金や投資信託にはない保険独自のメリットです。
もし保険料の払込期間中に被保険者が亡くなった場合、それまでに払い込んだ保険料の総額にかかわらず、契約時に定めた保険金が遺族に支払われます。
のこされた家族の生活費や子どもの教育費を確保しておきたい人にはぴったりの保険です。
反対に、死亡保障が一切不要の人や、資産形成効果を最優先する人には適さない可能性もあります。
どの金融商品で資産形成をしていくかは、ライフステージや個々の考え方に合わせて決める必要があるでしょう。
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老後資金作りにおすすめの保険種類と特徴
老後資金準備のために活用できる保険には、いくつかの種類があります。
それぞれの特徴と、メリットデメリットを紹介します。
個人年金保険:コツコツ堅実に増やしたい人向け
個人年金保険は、公的年金に上乗せする形で私的な年金を準備するための保険です。
契約時に定めた年齢まで保険料を払い込み、その後、一定期間または生涯にわたって年金形式でお金を受け取ることができます。
最大の特長は、将来受け取れる金額の見通しが立てやすい点です。
円建ての定額タイプであれば、契約時点で将来の受取額が確定するため、計画的に老後資金を準備したい方に向いています。
外貨建のタイプでも、最低基準利率が定められているものが多く、為替の影響は受けますがドル建てで最低限確保できる資産額は見通しやすいのがメリットです。
また、一定の要件を満たせば「個人年金保険料控除」の対象となり、所得税・住民税の負担を軽減できる税制上の利点もあります。
個人年金保険には死亡保障効果がほとんど無いため、純粋な積立貯蓄をしたい人や、保険料控除を活用して税負担を軽減したい人にはおすすめです。
また、外貨建の商品を選ぶことで将来の円の価値低下やインフレにも備えやすくなります。
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低解約返戻金型終身保険:長期で払い込み、老後に解約
低解約返戻金型終身保険とは、一生涯の死亡保障と貯蓄機能を併せ持つ保険です。
毎月支払う保険料が積み立てられていき、解約時には解約返戻金として受け取ることができます。
一生涯の死亡保障として保険を継続するか、解約して老後の生活資金として活用するかを選択できる柔軟性が、魅力のひとつです。
低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間中の解約返戻金が低く抑えられており、代わりに払込終了後に返戻率が大きく上昇する仕組みになっています。
そのため、保険料を払い込む期間を60歳・65歳より前に設定しておくことで、老後資金準備としても活用できます。
払込期間が満了する前に解約すると元本割れのリスクがありますが、長期間積立を継続できる人にとってはひとつの選択肢になります。
また、最近では円建だけでなく外貨建の終身保険も複数販売されています。
為替の影響を受けますが、日本円よりも高い金利でインフレリスクへの対応もしやすいことから人気を集めています。
外貨建保険・変額保険:リスクを取って大きく増やしたい人向け
より積極的な資産形成を目指す人向けの選択肢として、外貨建保険や変額保険があります。
保険の仕組みは前述した「個人年金保険」や「終身保険」ですが、米ドルなど外貨で運用することでより高い基準利率を実現できる商品です。
また変額保険は「投資信託」を使った保険で、死亡保障があるタイプと、個人年金保険と同様に保障効果がないタイプがあります。
いずれも円建の保険よりも高い収益を期待できる一方、為替や運用の成果によって元本割れするリスクも伴います。
インフレに負けない運用成果を期待する人にはおすすめですが、資産が減少する可能性についても理解しておく必要があります。円の資産と併せ持つ形で加入を検討しましょう。
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【シミュレーション】保険だけで2000万円貯めるには月いくら必要?
老後資金2000万円という目標を保険だけで達成しようとすると、毎月の保険料はどのくらいになるのでしょうか。
積立を開始する年齢別に、月々の負担額を見ていきましょう。
30歳・40歳・50歳からのスタート別積立額目安
老後資金の準備は、スタートする年齢が遅くなるほど、月々の負担が大きくなります。
例えば、資産運用で年利3%のリターンを想定した場合、毎月5万円を積み立てると30年後には約2894万円になりますが、同じ条件で積立期間が20年だと約1634万円、10年だと約697万円にしかなりません。
保険の積立に置き換えて考えてみましょう。
仮に65歳時点で2000万円を準備する目標を立てた場合、単純計算でも次のような負担の違いが生じます。
| 開始年齢 | 積立期間 | 毎月の積立額 |
| 30歳 | 35年(420カ月) | 4万7619円 |
| 40歳 | 25年(300カ月) | 6万6666円 |
| 50歳 | 15年(180カ月) | 11万1111円 |
※金融庁のつみたてシミュレーターを参考に作成
上記は運用リターンを考慮しない単純計算ですが、開始が10年遅れるごとに月々の負担が大きくなっていくことがわかります。
資産形成は早期に始めるほど複利効果を活かしやすく、月々の負担を抑えながら目標額達成を目指すことができます。
円建て保険だけで2000万円はハードルが高い
シミュレーションしたとおり、特に40代以降から円建の貯蓄型保険だけで2000万円を準備しようとすると、毎月の保険料負担は家計を圧迫する水準になりかねません。
円建の保険は元本割れのリスクが低い反面、現在の低金利環境下では大きなリターンは期待しにくいのが実情です。
さらに、将来のインフレによってお金の価値が目減りするリスクにも対応しづらいデメリットもあります。
そのため、老後資金の全額を円建て保険だけで準備するのは現実的でない可能性があります。
保険はあくまで資産形成の一つの手段と捉え、他の資産運用の方法と組み合わせることで、より効率的に資産を増やしていくことができます。
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「保険」×「NISA・iDeCo」のハイブリッド戦略
老後資金を効率的かつ安全に準備するためには、ひとつの金融商品に頼るのではなく、それぞれの長所を活かした「ハイブリッド戦略」が必要です。
「保険」で資産の安定性を確保し、「NISAやiDeco」を使った投資信託で収益性を追求する方法がおすすめです。
具体的に見ていきましょう。
保険で「最低限の生活費(ベース)」を確保する
老後資金形成における保険の役割は、生活の基盤となる「最低限の生活費(ベース)」を確実に確保することです。
個人年金保険や終身保険といった貯蓄型保険は、契約時に将来の受取額がある程度確定するため、市場の変動に左右されずに計画を立てやすいのが特長です。
保険は、資産形成における「守り」の役割を担います。
万が一、NISAやiDeCoの運用が想定通りに進まなかった場合でも、保険で準備した資金があることで、生活が破綻するリスクを回避できます。
また、保険特有の死亡保障機能により、資産形成の途中で不測の事態が起きても家族にお金をのこせる安心感も得られます。
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残りの不足分をNISA・iDeCoで効率よく狙う
ゆとりのある老後生活を送るための上乗せ部分(残りの不足分)を、NISAやiDeCoで効率的に準備します。
NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、国が設けた税制優遇制度です。
- NISA:年間投資枠内で得た利益(配当金・譲渡益)が非課税になる。
- iDeCo:掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税。受取時にも税制優遇がある。
仮に、NISAやiDecoを使った投資信託による運用で利益が出た場合のシミュレーションをしてみましょう。
【毎月5万円を積み立てた場合】※金融庁のつみたてシミュレーターを参考に作成
| 開始年齢 | 積立期間 | 元本合計 | 資産総額 想定利回り3% | 資産総額 想定利回り5% |
| 30歳 | 35年(420カ月) | 2100万円 | 3677万円 | 5542万円 |
| 40歳 | 25年(300カ月) | 1500万円 | 2217万円 | 2929万円 |
| 50歳 | 15年(180カ月) | 900万円 | 1131万円 | 1324万円 |
このように利回りが高いほど資産総額は大きくなり、利回り3%を確保できれば40歳からでも2000万円の老後資金を貯められる可能性があります。
一方で、投資信託には元本割れのリスクが伴います。
リーマンショックや新型コロナウイルスの流行などの大きな出来事の影響を受け、一時的に資産が大きく目減りしてしまうこともあります。
積立投資を行う際は、運用成果に一喜一憂せず、長期間保有することでリスクを低減することが大切です。
ライフステージ別のおすすめ配分例
保険とNISA・iDeCoの最適な配分は、年齢やライフステージによっても異なります。
【30代~40代前半】
運用期間を長く取れるため、NISA・iDeCoの比率を高めにし、複利効果を最大限に活かす戦略がおすすめです。
子育て世代の場合、万が一の死亡保障を重視した掛け捨ての定期保険などを活用し、保険料を抑えて運用に予算を回すと良いでしょう。
子どもの教育資金など使う時期が決まっている資金は、短期払いの低解約返戻金型終身保険で準備するのもひとつの方法です。
【40代後半~50代前半】
教育費や住宅ローンの負担がピークになる時期です。
リスクを取りすぎず、保険とNISA・iDeCoのバランスを見直しましょう。
例えば、死亡保障を見直して浮いた保険料を個人年金保険などの安定性の高い商品の積立に回したり、投資信託の一部を債券に置き換えるのもおすすめです。
突発的な医療費負担などのリスクにも備え、徐々に「守り」の資産の割合を増やしていくことを検討します。
【50代後半以降】
老後が目前に迫っているこの年代では、突然の市場環境の変化により資産が大きく減少しないよう、安定資産の割合を高める必要があります。
NISA・iDeCoで増やしてきた資産も徐々に安定的な商品にシフトさせましょう。
まとまった資金があれば、一時払終身保険などに加入しておくのもおすすめです。
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老後資金と保険に関するよくある質問
ここからは、ロゴ資金と保険に関するよくある質問に、FPの筆者がわかりやすく回答します。
Q. 新NISAと保険、老後資金作りにはどちらがおすすめですか?
A.一概にどちらが優れているとは言えず、目的によって使い分けるのが最適です。
積極的に資産を「増やす」ことを目指すなら、運用益が非課税になる新NISAが向いています。
一方、将来「決まった金額を確実に受け取る」安定性を重視し、万が一の保障も備えたいなら保険が適しています。
それぞれを組み合わせ、お互いの長所を活かすのが合理的です。
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Q. 途中で解約した場合、元本割れしますか?
A.貯蓄型保険、特に「低解約返戻金型」の商品は早期解約による元本割れの可能性があります。
保険の場合、加入から一定期間は保険料に占める「保険関係費用」の割合が高く、十分に積立額が増えていないことが多いです。
そのため、早期解約するほど元本割れのリスクが高くなります。
特に低解約返戻金型終身保険の場合、保険料払込期間中は解約返戻金が抑制されているため、支払った保険料の総額よりも少ない金額しか戻ってこない可能性があります。
Q. インフレ(物価上昇)が起きると、保険の積み立ては損になりますか?
A.円建で固定利率の商品の場合、将来受け取れる金額が契約時に固定されるため、インフレで物価が上昇すると実質的な資産価値が目減りするリスクがあります。
インフレリスクに対応するためには、運用実績によって受取額が増える可能性のある「変額保険」や、円より金利の高い通貨で運用する「外貨建保険」が有効です。
また、NISAやiDecoを使って投資信託の運用を取り入れるのも、インフレ対策のひとつです。
Q. 50代から個人年金保険に入っても間に合いますか?
A.50代からでも個人年金保険に加入することは可能です。
ただし、30代や40代から始める場合に比べて保険料の払込期間が短くなるため、同じ年金額を受け取るための月々の保険料は高くなります。
50代以降に加入を検討する場合、退職金などを活用して一時払で加入する方法もあります。
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まとめ
「老後2000万円問題」は、現役世代の私たちにとって身近な問題です。
ゆとりある老後のためには、公的年金に頼るのではなく、自助努力での資産形成が不可欠です。
今回、保険で資産形成をするメリットとデメリットを紹介してきました。
特に個人年金保険や終身保険は、安定的に資産形成ができるため、老後の生活基盤を作るのに適しています。
しかし、保険だけで2000万円という目標を達成するのは難しい可能性があります。
NISAやiDecoなどの制度を活用し、投資信託による積極的な運用も組み合わせる「ハイブリッド戦略」がおすすめです。
自身の年齢やリスク許容度に合せて、最適な資産配分を考えましょう。
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