「就業不能保険って必要?」「どのプランを選んだら良いかわからない」と就業不能保険の選び方で迷っている人もいるのではないでしょうか。
病気やケガで働けなくなったときのために備える就業不能保険ですが、実際にどんなときに受け取れるのか、保険会社ごとの違いはどうなっているのかがわかりづらくなっています。
本記事では、保険のプロが就業不能保険の仕組みや、選び方のポイントについてわかりやすく解説します。
ライフステージごとにおすすめの保険もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読んでわかること
就業不能保険の選び方は、働き方や年代によって異なる
特に働き盛りの40代で加入率が高い保険
傷病手当金などの公的保障をふまえて、適切な給付金額を設定しましょう
目次
就業不能保険とは?
まずは就業不能保険の仕組みや、どんなときに給付金が受け取れるのかを見ていきましょう。
給付金が支払われる期間
就業不能保険の給付金が支払われる期間は、保険商品や契約形態によって異なりますが、主な考え方は次のいずれかです。
- 就業不能状態に該当してから、回復するまでの期間支払われる
- 就業不能状態に一度でも該当すれば、回復したかどうかに限らず保険期間満了まで支払われる
就業不能保険の多くは、回復した時点で給付金支払いが終了する決まりとなっています。
回復後も保障自体は継続されているため、また新たに就業不能状態に該当した場合は、再度給付金が支払われます。
稀に、その後回復しても保険期間まで給付金支払いが保障されている商品もあるので、加入時には保障内容を確認しておきましょう。
ほとんどの就業不能保険では「免責期間」が定められており、実際に給付が開始されるのは就業不能状態に該当してから一定期間経過後となります。
給付金の受け取り方
給付金は、就業不能状態に該当している間、毎月指定口座に振り込まれることが一般的です。
毎月給与の補填のような形で給付金を受け取ることができるので、働けない間の収入減少をカバーするのに適しています。
給付金額は加入時に設定します。
商品によって、1年6カ月間は保障額が半分になるハーフプランを用意しているものもあります。
会社員や公務員の場合、働けなくなってから1年6カ月間は傷病手当金を受給できるため、就業不能保険のハーフプランをうまく活用するのも良いでしょう。
保障される病気・ケガの種類
就業不能保険では、特に指定がない限り、病気やケガ全般が保障対象となります。
例えば、がんや三大疾病などの病気で一定期間働けなくなったときはもちろん、骨折等のケガや難病による長期の療養も保障対象です。
ただし精神疾患の場合、入院時のみ保障対象となり在宅療養では給付金が支払われないことが一般的です。
「三大疾病保障型」など保障範囲があらかじめ限定されている就業不能保険では、それ以外の病気やケガで働けなくなったとしても給付金は支払われません。
参考)就業不能保険の加入率
2022年の生命保険文化センターによる調査では、就業不能保険の加入率は男性で6.4%、女性で4.4%となっています。
最も加入率が高いのは男性40代で12.5%、女性40代で7.9%です。
全体として、医療保険や死亡保険と比べると加入率は低いですが、働き盛りの40代ではおよそ10人に1人が就業不能保険に加入している事がわかります。
就業不能保険は比較的新しくできた保険で、他の保険種類に比べるとまだ知名度が低く、加入率もその分低い傾向にあります。
しかし近年、検査・治療技術の向上から、亡くなるリスクの前に働けなくなるリスクを検討する必要性が高まりつつあり、就業不能保険を検討するも増えています。
(参考:2022(令和4)年度 生活保障に関する調査|生命保険文化センター)
就業不能保険の選び方6つのポイント
就業不能保険は、自分のライフスタイルや経済状況にあったプランに設定することが大切です。
ここからは、就業不能保険を選ぶときに押さえておきたいポイント6つをご紹介します。
ポイント①給付金額の設定:月収の60〜70%を目安に
就業不能保険の給付金は、月収の60~70%を目安に決めると良いとされています。
生活費や住宅ローンの支払など、最低限必要な費用をまかなえる金額に設定しておきましょう。
会社員や公務員の場合、傷病手当金を受け取れる1年6カ月間は給付金額が半額となるハーフプランを選択するのもおすすめです。
反対に自営業者の場合は公的保障を受け取ることができないため、満額給付金を受け取れるプランで手厚く備えておくのが良いでしょう。
給付金額を高くすればするほど、毎月の保険料は高くなります。
不十分な保障額でもいざというときに困ってしまいますが、過剰な保障を設定しても保険継続が難しくなるリスクがあります。
自分の収入と生活費に照らし合わせながら、適切な給付金額を設定しましょう。
ポイント②免責期間の選択:30日・60日・180日から選ぶ
就業不能保険は働けなくなった時点ですぐに給付金を受け取れるわけではなく、「免責期間」が定められていることが一般的です。
免責期間は30日・60日・180日など保険商品によって選択できる場合があります。
免責期間が長いほど保険料を抑えることはできますが、療養を開始してから給付金を受け取れるまでにあまりにタイムラグがあると、家計のバランスが大きく崩れてしまうリスクがあります。
また、免責期間が長いと、免責期間中に回復して結局給付金を受け取ることができなかった、というケースも考えられます。
傷病手当金や貯蓄額などをふまえ、適切な免責期間を選ぶようにしましょう。
ポイント③保険期間を決める:何歳まで働くか
就業不能保険はあらかじめ保険期間を決めて加入する「定期型」の保険です。
何歳まで働くか、何歳から年金を受け取る予定かに合せて、保険期間を設定しましょう。
例えば定年退職が65歳で、老齢年金も同じ年齢から受け取る予定であれば、保険期間は65歳にしておくことが適切です。
保険期間は加入後長くすることはできませんが、保障が不要になった時点で解約をすることは可能です。
老後の予定が決まり切っていない場合、少し長めの保険期間を設定しておくと、より安心です。
また、自営業者やフリーランスの場合で定年が明確でない場合は、ライフプランや老後資金の準備状況を考慮して保険期間を決めることが大切です。
ポイント④精神疾患の保障範囲:うつ病・適応障害が保障されるか
就業不能保険を選ぶ際には、精神疾患が保障対象になっているかも重要なポイントです。
一般的に、うつ病や適応障害、統合失調症などの精神疾患は、入院時のみが保障対象となっています。
仮にうつ病と診断されて在宅療養が必要になっても、給付金が支払われないことが多いため注意してください。
保険商品によっては、精神疾患による入院後の通院期間も保障対象としているものもあります。
各商品によって細かく保障内容が異なるため、加入前に確認しておきましょう。
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参考)精神疾患の平均在院日数
2023年の厚生労働省による調査では、「精神および行動の障害」による入院の平均在院日数は290.4日です。
全体の平均在院日数が28.4日であるため、精神疾患による入院はおよそ10倍の長さになります。
精神疾患の中でも、統合失調症による入院は平均569.5日と特に長くなっています。
また、うつ病などの気分障害の場合でも平均118.2日と、その他の病気やケガに比べると入院が長期になるリスクが高いことがわかります。
(参考:令和5年(2023)患者調査の概況|厚生労働省)
ポイント⑤支払条件の確認:在宅療養・通院治療の対象範囲
就業不能保険では、保険会社ごとに給付金が支払われる条件が定められています。
一般的には、「入院時」「在宅療養時」が保障の対象となっています。
入院に関しては基準が明確ですが、在宅療養は具体的にどういった状況を指すのか分かりづらいかもしれません。
保険会社によっては、通院治療を続けていても職場復帰ができた時点で給付金の支払いが終了するものもあるため、必ず支払条件については確認しておきましょう。
参考)保険会社が定める「在宅療養」とは?
保険会社が定める在宅療養は、「医師の指示に基づき一定期間仕事を休み、自宅で療養を継続する状態」とされることが一般的です。
保険会社によっては、自宅で軽作業や座業ができる状態は保障対象外にする場合もあるため、加入前に約款等で確認しておくと安心です。
ポイント⑥保険料の比較:保険会社ごとの違いを確認
給付金額や免責期間、保険期間などが決まれば、最後に保険料の比較を行いましょう。
同じような保障内容でも、保険商品ごとに毎月の保険料は異なります。
複数の商品を比較することで、保険料を抑えられる商品が見つかる可能性があります。
また、保障範囲や支払条件についても保険会社ごと違いがあるため、再度確認しておきましょう。
あなたの年齢で就業不能保険の保険料はいくら?
職業・働き方別の就業不能保険の選び方
就業不能保険のベストな選び方は、職業によっても異なります。
働き方別に保険を選ぶ時のポイントを紹介します。
会社員の場合
会社員の場合、公的保障として受け取れる傷病手当金をふまえて就業不能保険を選ぶ必要があります。
傷病手当金は通算1年6カ月間、標準報酬月額の約3分の2が保障されます。
働けなくなった時の重要な収入源となりますが、それまでの給与が満額保障されるわけではないため、減少した収入を補える額を就業不能保険で設定しておくと安心です。
保険会社によっては、傷病手当金を受け取れる期間は保障を半額とするハーフタイプを選べる場合があります。
公的保障の不足分を効率よくカバーできるので、会社員にはおすすめのプランです。
また、会社員の場合、公的保障以外にも会社の福利厚生などで働けなくなった時への備えが用意されていないか確認しましょう。
特に大企業などでは、休業補償が別途用意されているケースもあります。
万が一の時にいくら受け取れるのか、毎月の生活でいくら不足するかを確認したうえで、保障額を決めることが大切です。
公務員の場合
公務員の場合、厚生労働省が定める休業保障給付や職場の福利厚生が比較的充実しています。
また、在職中の給与が一定期間支払われるケースもあり、収入の安定度は高い職種といえるでしょう。
そのため、公的保障と職場の制度でまかなえない部分を補う形で、就業不能保険を選ぶことがおすすめです。
保障額が過大になりすぎないよう、まずは公的保障と福利厚生の保障内容を把握したうえで、不足額のみを民間の就業不能保険でまかなうよう意識しましょう。
会社員同様、ハーフタイプで傷病手当金を受け取れる間の保障を減額することで、効率良くリスクに備えることも可能です。
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個人事業主・自営業の場合
個人事業主や自営業で働く人の場合は傷病手当金を受け取ることができないため、働けないリスクには就業不能保険で備えておく必要があります。
生活費や住宅ローンなど毎月の固定費を洗い出し、いざというとき支払いに困らない額を保障額として設定しましょう。
また、就業不能保険のハーフタイプは基本的に傷病手当を受け取れる人に適したプランのため、個人事業主や自営業の場合は満額受け取れるプランにしておくことをおすすめします。
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専業主婦(夫)の場合
専業主婦(夫)の場合、直接的な収入はありませんが、家事や育児を担当する役割が大きいため就業不能保険を検討する意義があるといえるでしょう。
長期間入院や療養が必要になったとき、パートナーが働きながら家事や育児をするのは大きな負担です。
家事代行サービスや保育サービスを利用する費用などを補うためにも、一定程度就業不能保険で備えておくと安心です。
選び方のポイントとして、保険金額は自分にもしものことがあったとき、どの程度の支出を補うべきかを基準に設定すると良いでしょう。
家事代行サービス等にかかる月額の費用など、事前に確認しておくと保障額を決めやすくなります。
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年代別の就業不能保険の選び方
年齢によっても、就業不能保険でカバーしておくべきリスクや選び方は異なります。
ここからは、年代別の就業不能保険の選び方について解説します。
【20代の選び方】保険料と将来の見直しやすさを重視
20代で就業不能保険を選ぶ際には、保険料の負担と将来の見直しやすさを重視することがポイントです。
20代では健康状態が良好な場合が多く、保険料も比較的安く設定されています。
そのため、早い段階で就業不能保険に加入しておけば、定年までの保障をお手頃な保険料で確保することができます。
また、結婚や出産などのライフイベントをまだ経験していない人は、自身の生活費のみをカバーできる最低限の保険金額を選ぶのがおすすめです。
そのうえで、今後家族が増えたときには、保障内容が適切かを都度見直すようにしましょう。
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【30代の選び方】住宅ローンや子育て費用を考慮した保障額
30代は結婚や子育て、住宅購入などで生活費の負担が増える時期です。
就業不能保険を選ぶ際には、自身だけでなく家族の生活費や住宅ローンの返済をカバーするための保障額を設定することが大切です。
特に住宅ローンを抱えている場合、団体信用生命保険(団信)に加入していれば死亡時のリスクはカバーできますが、病気やケガによる就業不能状態のリスクはカバーされません。
働けなくなって収入が減少してもローンの返済は続くため、家計に大きな影響を与える可能性があります。
団信では保障されないリスクを見越して、就業不能保険での備えを検討しましょう。
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Q.団信で働けなくなったときのリスクはカバーできますか?
A.団信は基本的に加入者が死亡した場合や高度障害になった場合、住宅ローンが完済される仕組みです。病気やケガで働けなくなってもローンの返済は免除されないことがほとんどです。
団信では死亡以外にも高度障害状態が保障対象となりますが、高度障害状態は両眼失明や寝たきり状態を指すことが一般的で、就業不能状態とは大きく異なります。
また、がん団信や生活習慣病団信の場合、保障対象の病気に罹患したらローンが完済されますが、その他の病気やケガが理由で働けなくなった場合は保障の対象外です。
団信ではカバーされない「働けなくなった状態」には、就業不能保険で備えておく必要があります。
【40代の選び方】生活習慣病リスクを踏まえた保障内容
40代は生活習慣病のリスクが高まる年代です。
特にがんや三大疾病などを起因とする就業不能状態は、長期間に及ぶ可能性があります。
給付金の支払条件や保障対象については、確認しておく必要があるでしょう。
また特定の病気への備えは、就業不能保険だけでなく「がん保険」「三大疾病保険」などが適していることもあります。
加入している保険の保障内容が、全体を通してバランスの取れたものになっているかも大切です。
また、40代は子育てや住宅ローンの負担が依然として大きい年代です。
もしものときに経済的な負担がかからないよう、適切な給付金額の設定を意識しましょう。
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【50代の選び方】定年までの期間と老後資金準備のバランス
50代で就業不能保険を検討する際には、定年までの働く期間と老後資金の準備状況を踏まえて選ぶことが大切です。
保険期間は定年退職の年齢までにするのが一般的です。
老後資金やいざというときの生活防衛資金が十分に確保できているのであれば、就業不能保険の保障額は最低限で良いでしょう。
一方で、貯蓄額に不安がある場合、就業不能状態に陥ると生活費の補填で貯蓄が枯渇したり、老後のための資金を取り崩さなければならなくなるリスクがあります。
就業不能保険の保障額は毎月の固定費をまかなえるだけの金額にしておくと安心です。
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本当に必要?就業不能保険が必要な人・必要ない人チェックリスト
「就業不能保険って本当に必要?」「貯蓄があればいらない?」と悩んでいる人もいるでしょう。
就業不能保険が必要な人・必要ない人の特徴を見ていきましょう。
十分な貯蓄がある
就業不能保険は、万が一働けなくなった場合の生活費や治療費を補うための保険です。
十分な貯蓄があって、長期の療養が必要になっても経済的な不安がない人の場合、就業不能保険の必要性は低いでしょう。
傷病手当金を受け取れる会社員や公務員の場合、1年6カ月間収入が3分の2になることを想定し、不足額をおぎなえるだけの貯蓄があるかをシミュレーションしてみましょう。
また療養中には、入院や手術、通院治療にかかる医療費も負担する必要があります。
もしものときに必要になる費用をすべて貯蓄でまかなえるのか、確認しておくことが大切です。
「子どもの教育費のため」「老後の生活のため」と目的を決めて貯めているお金を取り崩すことは避けなければなりません。
就業不能保険の必要性を判断するときには、「自由に使えるお金」が十分にあるかがポイントとなります。
勤務先の福利厚生が充実している
大企業に勤めている人や公務員の場合、公的保障だけでなく働けなくなった時の福利厚生が充実しているケースがあります。
健康保険組合独自の補助や長期休業時の収入保障がある場合、保障内容や受け取れる金額を確認したうえで、就業不能保険で備えておく必要があるかを判断しましょう。
勤め先の福利厚生が十分な場合、敢えて民間の就業不能保険に加入する必要性は低くなるかもしれません。
一方で、がんや三大疾病など大きな病気に罹患したとき、働きながら仕事を続ける場合の医療費負担のほうがリスクが大きい可能性もあります。
就業不能保険で備えておくべきなのか、それともがん保険や三大疾病保険などの特定の病気にかかる医療費をカバーする保険のほうが良いのか、自分にとって必要な保障を見極めて判断しましょう。
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保険料を支払う余裕がない
保険料を支払う余裕がない場合、無理をして就業不能保険に加入するべきではありません。
まずは公的保障である傷病手当金や障害年金などを最大限活用し、保険に頼らずに生活を維持できる方法を模索することが基本です。
自営業者やフリーランスの場合でも、必要以上に高額な保障を選ばず、最低限の保障範囲で保険料を抑える選択肢を検討してください。
あなたの年齢で就業不能保険の保険料はいくら?
就業不能保険とその他の保険の違い
保険は自分の目的に合ったものを選ぶことが大切です。
就業不能保険と類似する保険について、違いや特徴を解説します。
所得補償保険との違い
就業不能保険と所得補償保険は一見同じ保障内容に思えますが、保障期間と保障範囲が異なります。
就業不能保険が中長期間の働けない状態をカバーするのに対し、所得補償保険は免責期間が短く比較的短期の所得補償を目的としています。
また、就業不能保険は生命保険会社が取り扱う生命保険であるのに対し、所得補償保険は損害保険会社が取り扱う損害保険の一種という違いもあります。
その他、両者の違いは次のとおりです。
所得補償保険の中には、出産・妊娠に伴う異常で働けなくなった場合は保障対象外となったり、長期間の療養が保障されないケースもあります。
それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
収入保障保険との違い
就業不能保険と収入保障保険は名前が似ており、保障内容を混同しがちですが、基本的には加入目的が全く異なる保険です。
就業不能保険が働けなくなるリスクに備える生存保険であるのに対し、収入保障保険は死亡時に保険金が支払われる死亡保険です。
収入保障保険の中には就業不能特約を付加できる商品もあるため、死亡保障も希望する場合は選択肢のひとつとなるでしょう。
一方、就業不能保険には基本的に死亡保障はありません。
医療保険との違い
就業不能保険が中長期間の入院や在宅療養を保障するのに対し、医療保険は入院時のみが保障対象となります。
医療保険は入院中の医療費をカバーすることが目的であるため、病気やケガによって就業不能になった場合の収入減少までは保障されません。
例えば、医療保険(60日型)と就業不能保険(免責60日)に加入していた場合、入院60日までは医療保険で保障され、その後の入院や在宅療養は就業不能保険で保障される形になります。
医療保険と就業不能保険は保障範囲や保障される日数が異なるため、目的別に組み合わせて加入しておくことで治療開始から長期療養までをカバーできます。
働けなくなったときに利用できる公的保障
就業不能保険は、あくまでも公的保障で不足する部分をおぎなうためのものです。
病気やケガで働けなくなってしまったときに利用できる公的保障について、確認していきましょう。
傷病手当金
傷病手当金は、会社員・公務員など健康保険に加入している人が、業務外のケガや病気で働けなくなった時に支払われる給付金です。
連続する3日以上の休業があったとき、4日目以降から支払いが開始されます。
給付金の額は標準報酬月額の約3分の2で、支払限度は通算1年6カ月間です。
傷病手当金は働けなくなった時の主な収入源になりますが、給与が満額保障されるわけではない点と、社会保険料や前年の収入に対しての住民税の支払いも免除されない点には注意が必要です。
医療費の負担と重なり、家計に大きな影響を与える可能性があります。
毎月の生活費で不足する額は、民間の就業不能保険でカバーしておくと良いでしょう。
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休業保障給付
休業保障給付は、業務中や通勤中に発生した労災事故や病気を対象に、賃金の一部を補償する制度です。
受給には労働基準監督署から認定を受ける必要がありますが、労災が認められた場合原則として休業4日目以降から平均賃金の60%が支給されます。
また労災の場合、入院や通院治療にかかる医療費も全額労災保険でカバーされるため、経済的な負担は大幅に軽減できます。
療養を始めてから1年6カ月以上経過した場合は支給停止となりますが、ケガや病気の症状がまだ治っておらず、傷病等級に該当する障害が残っている場合は傷病保障年金が支給される場合もあります。
休業補償給付は労災認定が必要で、給与の満額が保障されるわけではないため、不足部分は就業不能保険でカバーすることも検討しましょう。
障害年金
障害年金は、病気やケガで生活や仕事に著しい支障をきたす障害を負った場合に受け取ることができる公的年金の一種です。
具体的な受給額は、加入している年金制度の種別(国民年金や厚生年金)や障害等級によって異なります。
障害年金を受給するためには障害認定を取得する必要があり、療養を開始してからすぐに受け取れるものではありません。
また年金額は通常、標準報酬額などを基に計算されるため、場合によっては十分な保障額とならない場合があります。
就業不能保険を組み合わせることで、中長期の療養を保障しておくことが大切です。
就業不能保険選びでよくある質問
ここからは、就業不能保険選びでよくある質問に、保険のプロが分かりやすく回答します。
Q.就業不能保険の保険金額(給付金額)はいくらに設定すべきですか?
A.働き方によっても異なりますが、会社員の場合は一般的に月収の60〜70%を目安に設定するのが理想とされています。
会社員や公務員の場合、傷病手当金を加味して就業不能保険の保障額を決めましょう。
毎月の生活費やローンの返済、治療費等をまかなうために、月収の60%~70%を保険で用意できていれば理想です。
一方、自営業やフリーランスで働く人の場合は傷病手当金を受け取れないため、毎月の固定費や生活にかかる費用を洗い出し、十分まかなえるだけの給付金額にしておく必要があります。
Q.免責期間は何日に設定するのがおすすめですか?
A.貯蓄額やライフスタイルに合わせて選ぶ必要があります。あまりに免責期間を長くすると給付金を受け取れないケースも出てくるため注意してください。
免責期間(保険金が支払われるまでの待機期間)は、30日・60日・180日などから選択できることが一般的です。
30日や60日の短い免責期間は、すぐに給付金を受け取りたい人に適しています。
貯蓄額に不安を感じる人やできるだけ早く給付金を受け取りたい人は、免責期間が短いプランを選ぶのが良いでしょう。
一方、180日など免責期間を比較的長く設定することで、毎月の保険料は抑えることができます。
ただし免責期間が長いプランは、貯蓄が十分にあっていざというときにある程度取り崩しても良い人向けです。
また、病気やケガで療養した場合180日以内に回復するケースも多く、そもそも給付金を受け取れない事態が発生する可能性にも注意が必要です。
自身の経済状況やライフスタイルに合せて、適切な免責期間を選択しましょう。
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Q.団信と就業不能保険は両方必要ですか?
A.団信と就業不能保険は保障範囲が異なるため、働けなくなるリスクに備えたい場合は就業不能保険の件とが必要です。
住宅ローンを組んでいる場合、団体信用生命保険(団信)による保障があります。
ただし、団信では死亡や高度障害に保障範囲が限られていることが一般的です。
病気やケガで一定期間働けなくなって療養を続けている状態では、ローン返済は免除されないことがほとんどでしょう。
働けなくなったときの収入減書を補いたい場合は、団信とは別に就業不能保険を検討することをおすすめします。
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Q.精神疾患で就業不能になった場合も保険金(給付金)は支払われますか?
A.精神疾患で入院を継続している場合は給付金が支払われますが、在宅療養は保障対象外となるのが一般的です。
保障範囲の限定が無い限り、精神疾患による入院が免責期間を超えて続いた場合、給付金の支払い対象となります。
ただし、給付金の支払月数に制限が設けられていることが多いので、加入前に確認しましょう。
また、精神疾患による在宅療養は基本的に就業不能保険の保障対象外となります。
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Q.就業不能保険は複数の保険会社で加入できますか?
A,加入自体は可能ですが、通算の保障額が大きくなりすぎると加入を断られるケースもあります。自分に適した保障を意識しましょう。
複数の保険会社で就業不能保険に加入すること自体は、特に問題ありません。
ただし、保険会社間で契約情報の共有がされているため、通算の保障額が規定を超えると新たな保険加入を断られる場合があります。
また保障額を大きくしすぎると、毎月の保険料負担もその分多くなっていきます。
加入中の就業不能保険の保障不足を補うためであれば別の保険会社で新たに検討するのも良いですが、保障が過剰になりすぎないよう注意しましょう。
あなたの年齢で就業不能保険の保険料はいくら?
Q.持病があっても就業不能保険に加入できますか?
A.持病の種類や治療経過によっては、就業不能保険に加入できる場合もあります。
保険会社によって診査基準は異なるため、一概に持病があっても加入できる・できないを明言することはできません。
持病がある場合、持病が原因での就業不能は保障対象外となったり、保険料が割増になることもあります。
持病があるからといって絶対に加入できないわけではないので、まずは健康状態を正直に申告し、診査の結果を待ちましょう。
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まとめ
就業不能保険は、病気やケガで働けなくなった際に、収入の減少を補うための重要な保険です。
働き方や家族構成、経済状況によって必要な保障額は異なるため、自分に合ったプランを選んでいざというときに困らないよう準備しておきましょう。
就業不能保険は、商品によって免責期間や支払条件に違いがあります。
ほけんのコスパでは、各商品の保障内容の比較や一括保険料見積もりも可能です。
保険選びに迷っている人は、ぜひ活用してください。
































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