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80代の医療保険の選び方

民間の医療保険を検討するときには、実際に入院した際にどれくらいの費用がかかるのかを知っておく必要があります。国の健康保険制度を理解したうえで、自分に合った医療保険を選びましょう。

執筆者:

橋本 優理

監修者:

橋本 優理

80代で医療保険はなぜ必要?

80代を迎え、現在加入中の保険の更新にともなう保険料の増加や、共済等の保障が終了してしまうことに悩んでいる人は少なくありません。

まずは、80代にとって民間の医療保険が必要とされる理由を見ていきましょう。

長期入院や入退院を繰り返すリスクが高いため

高齢になると免疫力や体力の低下により、一度病気やケガをすると回復に時間がかかり、入院期間が長期化する傾向にあります。

年齢が上がるにつれて平均在院日数は延びるため、長期入院による医療費負担の増加に注意が必要です。

また、長期入院だけでなく、退院後に再入院を繰り返すケースも珍しくありません。

入院が頻繁に起こると、差額ベッド代や食事代、日用品代など、公的医療保険の対象外となる自己負担額も増加します。

健康リスクが高い80代だからこそ、民間の医療保険で突発的な医療費負担に備えておく必要があるといえるでしょう。

関連記事:高齢者に医療保険は本当にいらない?2つの判断ポイントと保険を加入する際の注意点

医療費負担が年金生活を圧迫する恐れがあるため

80代は多くの場合、公的年金が主な収入源となります。

限られた年金収入の中で、高額な医療費が発生すると、家計の収支バランスが崩れ、生活を圧迫する恐れがあります。

後期高齢者医療制度や高額療養費制度といった公的保障があるため、1カ月あたりの医療費の自己負担上限額は定められています。

ただし、長期入院や入退院を繰り返した場合、累計での医療費負担が家計に影響を与える可能性もあるでしょう。

また、差額ベッド代や食事療養費などは全額自己負担となるため、医療費以外の出費も想定しておく必要があります。

特に高齢者の場合、大部屋での療養は精神的にも肉体的にも負担が大きく、個室入院を希望する人も珍しくありません。

ほけんのコスパの独自調査によると、「物価高(食費や光熱費)と相まって、医療費の負担が以前よりも重く感じるようになった」と回答した人が全体の33.4%でした。

また、「金額は小さいが、毎月必ず出ていくので精神的な負担になっている」「通院のための交通費(タクシー・バス代)が、医療費以上に負担となっている」と回答した人と合わせると、全体の約52%を占めています。

限られた年金収入でやりくりする中、突発的な医療費負担は家計に大きな影響を与えかねません。

今のうちから、最低限の医療保障を準備しておくことが大切です。

関連記事:「医療費負担増」を感じるシニアの52%が生活費を切り詰めている?インフレ時代の老後のリスク

80代から加入できる医療保険はある?

80代からでも新規加入できる医療保険は多数存在します。

中には、WEBで申込手続きを完結できるものもあり、おおむね85歳まで新規加入可能と定められています。

ただし、80代になると健康不安を抱えている人も多く、一般的な医療保険の加入審査に落ちてしまうケースも珍しくありません。

その場合、持病がある人でも加入しやすい「引受基準緩和型医療保険」が選択肢になります。

80代からの新規加入では保険料が高額になる可能性もあるため、毎月の予算と照らし合わせてプランを組み立てることが大切です。

関連記事:80歳からでも加入できる医療保険はある?シニアが備えたいリスクと生命保険の選び方をプロが解説

80代の医療保険選びのポイント

80代で医療保険を選ぶ際は、公的保障もふまえて無駄のない保障額を設定し、毎月の保険料をできるだけ抑えられるように工夫することが大切です。

ここからは、80代の医療保険選びのポイントをご紹介します。

入院給付金日額の決め方

医療保険は、入院1日ごとに受け取れる日額保障がメインになっていることが一般的です。

保障額は、入院時に発生する自己負担額と年金などの収入バランスを考慮して決めましょう。

一般的には、5000~1万円程度を目安に設定します。

個室療養を希望する場合、保障額を8000円程度に設定していれば、入院日数分の差額ベッド代をカバーできます。

80代以上の高齢者は長期入院のリスクも高いため、日額保障は入院費用をまかなうための大切な保障になります。

関連記事:入院日額はいくらにすれば安心?入院一時金はつけておくべき?

80代の平均在院日数は約36~42日

厚生労働省の患者調査によると、80代の平均在院日数は約36~42日です。

全体平均の28.4日と比べると大幅に長いことが分かります。

入院が2カ月以上に及ぶと、それぞれの月で高額療養費の上限額分の医療費がかかり、トータルでの負担も大きくなりがちです。

入院が長引くほど個室療養の際の差額ベッド代もかさむため、注意しましょう。

長期入院のリスクに備えるためには、医療保険の入院給付金日額をしっかり確保しておくことが大切です。

関連記事:高齢者の入院費は平均いくら?自己負担額の目安と負担を軽減する制度をプロが解説

(参考:令和5年(2023)患者調査|厚生労働省

後期高齢者医療保険制度と高額療養費制度も考慮する

75歳以上は後期高齢者医療制度が適用され、窓口負担は原則1〜3割となります。

また、高額療養費制度で1カ月の自己負担上限額が設定されているため、医療費が青天井になることはありません。

一般的な所得層であれば月額5万7600円が上限で、手術等で医療費が高額になった場合でも負担額は変わりません。

ただし、高額療養費は1カ月ごとに計算されるため、入院が複数月に及ぶとその分自己負担額も大きくなります。

また、差額ベッド代や食費は対象外のため別途全額自己負担が必要です。

医療費だけでなく、保険適用外の費用も想定して医療保険のプランを決めると良いでしょう。

関連記事:高額療養費制度が使えないケースとは?社労士が高額療養費制度の疑問をわかりやすく解説

持病がある場合の医療保険の選び方

80代になると、「全く健康で病院に行ったことがない」という人は少数派でしょう。

何らかの持病を抱えていたり、過去に入院歴があったりと、健康状態に不安がある人が多くなります。

持病の影響で通常の医療保険に加入できない場合、「引受基準緩和型医療保険」や「無選択型医療保険」が選択肢となります。

引受基準緩和型医療保険は、過去の入院歴や手術歴に関する告知項目が2〜3つ程度に限定されており、告知項目に当てはまらなければ持病があっても加入できます。

ただし、通常の医療保険に比べて保険料が割高に設定されているため、保険料と保障のバランスには注意が必要です。

無選択型医療保険は、健康状態の告知なしで加入できますが、保険料は緩和型医療保険よりもさらに割高に設定されています。

また、加入から一定期間は保障内容に制限が設けられていることが多く、緩和型にも加入できない場合の最終選択肢として検討する保険です。

現在の健康状態に合わせて、無理なく継続できる範囲で保険選びをすることが大切です。

関連記事:持病がある高齢者でも入れる保険はある?70代・80代に医療保険は必要?失敗しない保険選びのコツ

日型は60日型と120日型どちらがよい?

医療保険には、1入院あたりの支払限度日数が定められており、60日型と120日型が主流です。

80代の平均在院日数が約36〜42日であることをふまえると、基本的には60日型でも多くの入院をカバーできます。

しかし、脳血管疾患や認知症など、入院が長期化しやすい病気に備えておきたい場合、120日型でカバーしておくほうが安心です。

特に高齢者は入退院を頻繁に繰り返すこともあるため、60日型では保障しきれないケースも考えられます。

ただし、保険料は支払限度日数が長いほど高くなります。

予算と入院時のリスクのバランスを見極めて、プランを組み立てることが大切です。

関連記事:医療保険は60日型と120日型どっちがいい?迷ったときの判断基準と「特約」の賢い選び方

80代におすすめの特約

  • 入院一時金特約
  • 三大疾病保障特約
  • 終身保険特約(死亡保険特約)
  • 先進医療特約

基本保障に加えて、80代特有のリスクに備える特約を付加することで、保障を手厚くできます。

まずは、入院時の初期費用をまかなうための一時金特約を検討しましょう。

入院日数に関係なく一時金を受け取ることができるため、貯蓄に不安がありまとまったお金を受け取りたい人には特におすすめです。

また、高齢になるとがんや心疾患、脳血管疾患といった三大疾病の罹患リスクが高くなります。

介護や通院治療が必要になったときに備え、医療保険で手厚く備えておくと安心です。

葬儀費用への備えを検討している人は、医療保険に死亡保障の特約を付加する方法もあります。

加入している他の保険と保障が重複しないかを確認しながら、プランを組み立てましょう。

また、どの年代でも共通でおすすめの特約として、先進医療特約があります。

毎月の保険料は数十~100円程度で、公的医療保険が適用されない先進医療に備えておくことができます。

基本保障のひとつとして検討しましょう。

関連記事:医療保険の入院一時金はいらない?必要性と悩んだときの判断ポイントをプロが徹底解説
関連記事:【図でわかる】三大疾病特約と特定疾病特約の違いとは?範囲と必要性をプロが解説

80代で医療保険に死亡保障特約は必要?

80代になると、葬儀代や死後の整理資金の準備を本格的に考える人も多いでしょう。

100万~300万円程度の金額であれば、医療保険の特約として死亡保障を付加できます。

それぞれ別々で契約するよりもトータルの保険料を抑えられるケースもあるため、葬儀費用の準備ができていない人は特約の付加を検討しましょう。

反対に、既に終身保険などで死亡保障を確保している場合や、十分な貯蓄がある場合は、死亡保障特約を付ける必要性は低くなります。

関連記事:死亡保険は家族にいくら残す?必要な保障額と保険選びのポイントをプロが徹底解説

80代の医療保険は「掛け捨て型」「終身型」が基本

80代の医療保険選びでは、保険料が割安な「掛け捨て型」かつ、保障が一生涯続く「終身型(終身医療保険)」を選択することが基本です。

定期医療保険は一定期間で更新を迎えるため、更新時に保険料が大幅に上がったり、一定年齢に達すると更新できなくなったりと、複数のリスクがあります。

終身型であれば、加入時の保険料が変わらず、保障も継続します。

また、生存給付金や解約返戻金がある貯蓄型の医療保険は、保険料が高額になる傾向があるため、年金生活を送っている80代には掛け捨て型の終身医療保険がおすすめです。

関連記事:シニアこそ「掛け捨て保険」が正解?安さの理由と賢い選び方・おすすめ活用術をプロが解説

【ケース別】80代の医療保険の選び方

同じ80代でも、家族構成によって必要な医療保障は異なります。

独身・一人暮らしの場合と夫婦二人の場合に分けて、医療保険の適切な選び方を解説します。

独身・一人暮らしの場合

独身や一人暮らしの80代は、入院時や介護が必要になった際、身の回りの世話や金銭的なサポートを家族に頼ることが難しい可能性があります。

入院時の差額ベッド代、食事代、日用品代に加えて、退院後の生活支援や施設入居費用など、あらゆる費用がかかります。

単身生活のリスクに対応するため、入院給付金日額を高めに設定するか、一時金としてまとまった金額を受け取れる特約を付加することを検討しましょう。

関連記事:独身者なら本当に医療保険はいらない?プロが年代別に必要性と賢い選び方を徹底解説

夫婦二人の場合

配偶者がいる場合、一方が入院・介護状態になった際、生活費と医療費を同時に負担する必要があります。

夫婦それぞれが十分な医療保障を確保したうえで、保険料負担が世帯の年金収入を圧迫しないよう、家計全体の収支バランスを考慮することが大切です。

お互いの介護リスクに不安がある場合、医療保険に介護保障特約を付加できるものを選ぶのもおすすめです。

まずは、現在の収入と資産額を把握したうえで、どの程度保険で備えておくべきかを考えることが必要です。

80代で医療保険を見直すときのポイント

80代になると、加入している医療保険の更新ができず保障が終了してしまうことで、見直しを余儀なくされるケースも少なくありません。

また、共済に加入しており、熟年型に移行したことで保障が減少し、不安を感じる人もいます。

ここからは、80代が医療保険を見直す時に押さえておきたいポイントをご紹介します。

関連記事:医療保険の見直しで損しないための6つの注意点!ケース別のポイントをプロが徹底解説

加入している医療保険の保障内容を把握する

医療保険の見直しの第一歩は、現在加入している医療保険の保障内容を正確に把握することです。

保険証券を手元に用意し、入院給付金日額、1入院あたりの支払限度日数、保険期間、付加されている特約の種類、保険料の払込期間などを確認します。

古い医療保険は、現在の医療事情に適合していない場合があるため、保障の空白期間や過不足を洗い出しましょう。

定期型の医療保険に加入している場合、今後の更新時期と更新後の保険料額を確認し、継続が可能かどうかを判断します。

また、80代になると「更新限度年齢」を迎え、それ以上保険を継続できないケースもあります。

新しい保険の「日額保障」「付加する特約」を決める

加入している医療保険の保障内容について把握したら、新たに加入する医療保険の入院給付金日額と付加する特約を決めましょう。

高額療養費制度をふまえ、自己負担となる差額ベッド代や食事代をまかなえる金額を目安に日額保障を設定します。

特約については、三大疾病特約や、公的医療保険が適用されない先進医療の技術料をカバーする先進医療特約など、必要に応じて付加を検討しましょう。

発生確率や経済的ダメージを考慮して必要な保障を厳選することで、保険料が高額になることを避けられます。

現在の健康状態を確認する

新しい医療保険に申し込む際は、加入審査を受ける必要があります。

80代は過去の病歴や現在の持病、服薬状況など、健康告知に該当する項目が多くなる年代です。

健康診断の結果や通院履歴、現在服用している薬の種類を正確に整理し、告知書に正しく申告できるよう準備しましょう。

通常の医療保険への加入が難しい場合は、告知項目が緩やかな引受基準緩和型医療保険を検討します。

自身の健康状態に応じて、商品の絞り込みを行いましょう。

関連記事:告知義務違反はみんなやってる?生命保険で告知義務違反がバレたらどうなるのかプロが詳しく解説

複数社の保険で比較する

80代からでも新規加入できる医療保険や緩和型医療保険は複数あります。

同じような保障でも、保険料や細かい特約の保障内容は異なります。

1社の保険商品だけで決めるのではなく、必ず複数社で保険料の見積もりを取って比較してみましょう。

ひとりで複数の保険商品を比較するのが難しい場合は、保険比較サイトを利用するのがおすすめです。

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新しい保険が成立してから古い保険を解約する

医療保険の乗り換えを行う際、最も注意すべき点は解約と新規加入のタイミングです。

新しい医療保険の審査が完了し、契約が正式に成立したことを確認してから、今加入している古い保険の解約手続きを進めましょう。

新しい保険の契約が成立する前に古い保険を解約してしまうと、新しい保険の審査に落ちた場合、無保険状態になってしまいます。

無保険期間中に病気やケガで入院しても保障は受けられないため、注意が必要です。

関連記事:医療保険の解約タイミングはいつがベスト?損しないための乗り換え手順と注意点をプロが解説

まとめ

80代は長期入院のリスクが高く、医療費負担が年金生活に影響を及ぼす可能性があります。

民間の医療保険で最低限の保障を準備しておくことが大切です。

公的制度の保障内容や自身の貯蓄額を考慮し、必要な保障を決めましょう。

執筆・監修者 保険ライター/2級FP技能士

橋本 優理

大学卒業後、ほけんの窓口グループ株式会社へ入社。約300組のライフプランニングを行い、保険販売業務に従事。その後、異業種にて法人営業を経験し、株式会社エイチームフィナジーで保険EC事業の立ち上げに参画。インターネット上で保険の無料相談ができるサービスの責任者として、自身も多くの世帯のライフプランニングを行う。2023年に株式会社モニクルフィナンシャル入社。経済メディア「LIMO」で300記事以上を執筆。現在は、より多くの人に、より気軽に、自分に合った保険の選び方を知ってほしいとの思いでコンテンツ制作や執筆作業に従事。 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、生命保険募集人資格、損害保険募集人資格保有。

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※記載している保険料および保障内容などは2026年2月2日現在のものです。 ※表示された保険料は保険プランの一例です。年齢・性別・選択する条件等によって保険料は変わります。商品を選択される際には、保険料だけでなく、保障の内容等他の要素も含め総合的に比較・検討をしていただくようお願いいたします。 ※当サイトにおける表示順は各保険商品の優劣を意味するものではありません。特定の試算条件において保険料が安い順もしくは高い順、「人気ランキング」については2026年4月1日―2026年4月30日『ほけんのコスパ』サイト経由での契約件数およびサイトから各保険会社サイトへの遷移数をもとに算出したものです。 ※各口コミの評価点数や内容はあくまでユーザー個人の主観的な感想で、保険商品の保障内容や保険料を保証するものではありません。 ※口コミの投稿内容は、ユーザーの回答意図に反しない範囲で表現を整えています。 ※「良い点」「悪い点」には、ユーザーが保険商品を申し込んだ経路によって、対象商品を取り扱っている保険代理店の評価が含まれている場合があります。 ※アンケートは対象商品に加入中の方を対象にしており、「ほけんのコスパ」経由で加入した方に限りません。 ※改定前の商品も対象にアンケート対象にしています。 調査名:加入している保険に関するアンケート 調査企画:株式会社モニクルフィナンシャル 調査委託先:株式会社マクロミル 調査方法:インターネットリサーチ 調査対象保険会社:SBI生命保険株式会社/オリックス生命保険株式会社/チューリッヒ生命保険株式会社/東京海上日動あんしん生命保険株式会社/なないろ生命保険株式会社/第一ネオ生命保険株式会社/はなさく生命保険株式会社/メディケア生命保険株式会社 調査対象者:対象の保険に加入中で給付金請求の経験がある20歳から80歳の男女 調査除外対象:誹謗中傷を含む投稿。著しく客観性を欠くと判断される投稿。 有効回答数:233件

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