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50代の医療保険の選び方

民間の医療保険を検討するときには、実際に入院した際にどれくらいの費用がかかるのかを知っておく必要があります。国の健康保険制度を理解したうえで、自分に合った医療保険を選びましょう。

執筆者:

橋本 優理

監修者:

橋本 優理

50代で医療保険はなぜ必要?

50代は健康への不安が増す一方で、子どもの独立や定年などライフステージが大きく変わる時期でもあります。

病気やケガで入院が必要になった時、家計への影響を最小限にするためにも、医療保険で必要な保障を確保しておくことが大切です。

では、50代にとっての医療保険の必要性について具体的に見ていきましょう。

50代以降の生活習慣病リスクに備えるため

50代は、40代までと比較して健康上のリスクが大きく変化する年代です。

厚生労働省の調査によると、40代の入院率は10万人に対して約250~320人程度であるのに対し、50代の場合10万人に対して約440~610人ほどとおおよそ2倍まで増加しています。

50代が特に注意したいのが、生活習慣病のリスクです。

高血圧症や糖尿病などの生活習慣病は、がん・心疾患・脳血管疾患の三大疾病につながる可能性があります。

実際に50代後半になると、死因の上位3つを三大疾病が占めるようになります。

がんを含む三大疾病は、一度罹患するとすぐに完治させることが難しい病気です。

治療が長期化した結果、医療費負担が高額になるケースも少なくありません。

もしもに備えて、医療保険で入院時の費用に備えておくことが大切です。

関連記事:50代に医療保険は不要?50代からでも間に合う保険の選び方をプロが徹底解説

(参考:令和5年(2023)患者調査|厚生労働省
(参考:令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)|厚生労働省

老後に向けた保険の最適化をすすめるため

50代は、子どもの独立や住宅ローンの返済完了など、ライフステージが大きく変化する時期です。

これまで家族のために備えていた大きな死亡保障の必要性が低下する一方で、自身の老後に向けた医療や介護への備えが重要になります。

若い頃に加入した定期型の医療保険は、50代での更新時に保険料が大幅に上がることがあります。

定年後の収入が減少することも考慮すると、保険料が一生涯変わらない終身型の医療保険に見直しておくのも選択肢のひとつです。

また不要になった死亡保障を減額・解約し、その分の保険料を老後資金のために貯蓄しておくこともできるかもしれません。

このタイミングで保険全体を見直し、老後に向けて保険を最適化することが大切です。

関連記事:50代で保険に入っていない人の割合はどのくらい?あなたに本当に必要な保障を見つける方法をプロが解説

50代の医療保険選びのポイント

50代の医療保険選びでは、入院給付金や支払限度日数、特約、保険料の払込方法などを総合的に検討することが重要です。

老後のリスクも踏まえて、安心できるプランを選びましょう。

入院給付金日額の決め方

入院給付金日額は、入院1日あたりに受け取れる金額のことで、医療保険の基本となる保障です。

保障額は、入院時の自己負担費用や公的医療保険制度を考慮して設定しましょう。

たとえば、日額5000円タイプの保険に加入していて2週間入院した場合、受け取れる金額は7万円です。(5000円✕14日間)

医療費の最終負担額が7万円に収まれば良いですが、差額ベッド代や食費、日用品のレンタル費用などをふまえると赤字になる可能性もあります。

また、近年では短期入院が増えており、日額保障だけでは受け取れる給付金が不十分になることも考えられます。

入院が1週間で済めば、受け取れる給付金も半分の3万5000円まで減少してしまいます。

入院の短期化も考慮し、日数に関係なくまとまった一時金を受け取ることができる「入院一時金特約」との併用も検討しましょう。

関連記事:入院日額はいくらにすれば安心?入院一時金はつけておくべき?

50代の平均在院日数は【約21~23日】

厚生労働省の患者調査によると、50代の平均在院日数は約21~23日となっています。

平成初期には平均40日以上あった入院日数ですが、今では半分近くまで短くなっていることがわかります。

また、2025年の生命保険文化センターによる調査では、全体の74.5%が「14日以内」の退院となっています。

医療保険を選ぶ際は、入院日額だけでなく、日数に関係なく保障される一時金が重要であることがこの結果からもわかるでしょう。

一方で、年齢が高くなるにつれて入院日数が高くなる傾向にあることも事実です。

厚生労働省の患者調査では、70代の平均在院日数が28~29日、80代が36~42日と、徐々に長くなっています。

老後のリスクも考えるのであれば、短期入院と長期入院、どちらにもバランスよく備えておくことが大切です。

関連記事:1週間の入院費用はいくら?自己負担額の平均・相場と高額療養費制度をプロが解説

(参考:令和5年(2023)患者調査|厚生労働省
(参考:2025(令和7)年度 生活保障に関する調査|生命保険文化センター

高額療養費制度も考慮する

日本の公的医療保険には「高額療養費制度」があり、1カ月の医療費の自己負担額には上限が設けられています。

そのため、医療費が極端に高額になることはほとんどありません。

50代の場合、平均的な収入の人であれば1カ月の自己負担額は約8~9万円程度に収まります。

つまり、医療保険で9万円前後の給付金を受け取れていれば赤字を防ぐことができる計算です。

しかし、差額ベッド代や入院中の食事代の一部、先進医療にかかる技術料などは高額療養費制度の対象外です。

実際の自己負担は想定よりも大きくなる可能性があるため注意しましょう。

関連記事:高額療養費制度が使えないケースとは?社労士が高額療養費制度の疑問をわかりやすく解説

日型は60日型と120日型どちらがよい?

医療保険には、1回の入院で給付金が支払われる上限日数を示す「支払限度日数」が設定されています。

一般的には60日型が主流です。

近年の入院日数は短期化傾向にあるため、多くの場合は60日型で対応できます。

しかし、脳血管疾患後のリハビリや精神疾患など、病気の種類によっては入院が長期化するケースもあります。

保険料を抑えたい場合は60日型が基本となりますが、長期入院への不安が強い人は120日型を検討するのも選択肢です。

特に、老後の長期入院や入退院を繰り返すケースに備えたい場合は、120日型を選択しておくと安心でしょう。

関連記事:医療保険は60日型と120日型どっちがいい?迷ったときの判断基準と「特約」の賢い選び方

50代におすすめの特約

  • 入院一時金特約
  • 三大疾病保障特約
  • 女性特約(女性の場合)
  • 先進医療特約

50代以降は生活習慣病のリスクが高くなります。

がんを含む三大疾病は、退院後の治療が長引くケースも珍しくありません。

入院保障だけでは通院治療に対応できないため、三大疾病特約を付加した医療保険のプランがおすすめです。

また短期入院に備えるため、入院日数に関係なく一時金を受け取ることができる一時金特約も検討しましょう。

女性の場合、乳がんの罹患リスクが60代にピークを迎えるなど、注意が必要な年代に差し掛かります。

女性疾病に手厚く備えられる「女性向け医療保険」も検討してみましょう。

またどの年代でも共通でおすすめの特約として、先進医療特約があります。

毎月の保険料は数十~100円程度で、公的医療保険が適用されない先進医療に備えておくことができます。

基本保障のひとつとして検討しましょう。

関連記事:50代におすすめの医療保険とは?60歳で後悔しない選び方と見直し方法をプロが解説
関連記事:医療保険の入院一時金はいらない?必要性と悩んだときの判断ポイントをプロが徹底解説
関連記事:【図でわかる】三大疾病特約と特定疾病特約の違いとは?範囲と必要性をプロが解説

50代で医療保険に死亡保障特約は必要?

50代になると、子どもが独立するなどして、高額な死亡保障の必要性が低くなります。

これまで加入していた死亡保険を解約して、医療保険の特約として死亡保障を付加するのも選択肢のひとつです。

医療保険の死亡特約は、入院日額に連動して上限金額が決められています。

そのため、数千万円の大きな死亡保障を準備するには適していません。

反対に、子どもの独立を機に100~300万円程度の葬儀費用を用意しておきたいニーズであれば、医療保険に特約として付加することで別々に契約するよりも保険料を抑えられる可能性があります。

関連記事:死亡保険は家族にいくら残す?必要な保障額と保険選びのポイントをプロが徹底解説

「掛け捨て型」か「貯蓄型」か

医療保険には、「掛け捨て型」と「貯蓄型」の2種類があります。

【掛け捨て型】
解約返戻金や満期保険金がない代わりに、保険料が割安に設定されている医療保険。
さまざまな保険会社から販売されており選択肢が多い。


【貯蓄型】
一定期間ごとにお祝い金が受け取れたり、解約時に解約返戻金があったりするなど、貯蓄機能を兼ね備えた医療保険。
保険料は掛け捨て型に比べて割高。
取り扱っているのは一部の保険会社で、掛け捨て型と比べて選択肢は少ない。

50代の保険選びでは、保障内容を確保しつつ保険料負担を抑えることが大切です。

そのため、一般的には保障に特化した掛け捨て型がおすすめです。

ただし、貯蓄が苦手な人や完全な掛け捨て型に抵抗がある人は、3~5年に1度お祝い金を受け取れるタイプの医療保険も検討してみると良いでしょう。

「定期型」か「終身型」か

医療保険には、保障される期間によって「定期型」と「終身型」の2種類があります。

【定期型】
10年間や60歳までなど、保障期間が一定。
加入時の保険料は比較的割安だが、更新のたびに年齢に応じて保険料が高くなる。


【終身型】
保障が一生涯続く医療保険。
加入した時点の保険料が変わらないため、長期的な保険料の見通しが立てやすいのがメリット。

50代以降は病気のリスクが高まり、老後も見据えた保険選びをする必要があります。

そのため、保障が途切れる心配のない終身型を選ぶ人が多い傾向にあります。

現在定期型の医療保険に加入している人は、早い段階で終身型に見直しておくことで、保険料が上がり続けるのを防ぐことができます。

関連特集:医療保険の保険期間は「終身」と「定期」どっちが良い?必要な保険期間を見極めるポイントを解説

保険料を抑えたい場合は終身払がおすすめ

医療保険の保険料払込方法には、主に2つのタイプがあります。

保障を継続する限り保険料を支払い続ける「終身払」と、特定の年数や年齢までで払込を終える「有期払」です。

50代の場合、基本的には毎月の保険料を抑えやすい「終身払」にする人が多い傾向です。

老後に保険料の負担を残したくない人には「有期払」が適していますが、50代から定年退職までの間に保険料を払い終えるには10~15年しか確保できません。

短い期間で一生涯の保障に対する保険料を払込むことになるため、必然的に1カ月の保険料負担は大きくなります。

現在の家計事情や将来のライフプランに合わせて、保険料の払込方法を決めることが大切です。

関連記事:医療保険の払込期間はいつまでにすれば良い?決め方のポイントをプロが解説

【ケース別】50代の医療保険の選び方

必要な保障は家族構成やライフステージによって異なります。

ここからは、独身、共働き夫婦、子どもがいる家庭など、それぞれの状況に応じた50代の医療保険の選び方を解説します。

独身の場合

50代で独身の場合、病気やケガで働けなくなった際の収入減少が生活に直接影響します。

そのため、自分自身を守るための保障を優先することが重要です。

基本的な医療保障に加え、がんや三大疾病に備える特約を付加し、いざというときの治療費を確保できるようにしておきましょう。

三大疾病で一時金を受け取ることができる特約であれば、治療費だけでなく生活費もカバーできます。

また高額な死亡保障は不要ですが、葬儀費用や身辺整理資金として数百万円程度準備できていると、のこされる親族の負担を軽減できます。

必要に応じて死亡特約を付加した医療保険を検討すると良いでしょう。

関連記事:独身者なら本当に医療保険はいらない?プロが年代別に必要性と賢い選び方を徹底解説

共働き夫婦(DINKs)の場合

子どもがいない共働き夫婦(DINKs)の場合、一方が病気やケガで働けなくなっても、もう一方の収入があるため、家計への影響は比較的少ないと考えられます。

しかし、老後準備が本格的に必要になる50代でどちらかの収入が無くなると、ライフプランの設計が狂ってしまうかもしれません。

夫婦それぞれ、がんや三大疾病に備える特約を付加した医療保険を検討してみましょう。

また最近では介護特約を付加できる医療保険も増えています。

老々介護のリスクに備えたい場合は、特約の付加を検討しましょう。

また子どもがいないため高額な死亡保障は不要ですが、お互いの万が一に備えて医療保険に特約として100~300万円前後の死亡保障を付けておくと安心です。

関連記事:DINKsにはどんな保険がおすすめ?共働き世帯の賢い保険の選び方をFPが解説

成人前の子どもがいる場合

成人前の子どもがいる50代の家庭では、教育費や生活費の負担が大きくなりがちです。

家計の担い手の医療保障を中心に、いざというときに困らないよう準備しておきましょう。

死亡保障は、医療保険の特約ではなく別途定期保険や収入保障保険で備えておくのが合理的です。

子どもが独立した段階で、再度保障を見直しましょう。

医療保険は、基本的な入院保障にがんや三大疾病に備える特約を付加したプランがおすすめです。

また子どもがいる家庭の場合、病気になった後の保険料支払いに苦労するケースも珍しくありません。

がんや三大疾病で一時金を受け取れる特約に加えて、「三大疾病保険料払込免除特約」を付加しておくことでいざというときの保険料支払いが免除されます。

参考記事:50代が生命保険の見直しをするべき3つの理由とは?生命保険の加入率や注意点をプロが解説

子どもが成人している夫婦二人暮らしの場合

子どもが独立した後の50代夫婦は、自分たちの老後に向けた備えにシフトする必要があります。

高額な死亡保障を解約または減額し、その分の保険料を医療保険や将来のための貯蓄に回しましょう。

夫婦それぞれの老後の医療費に備えるため、一生涯保障が続く終身医療保険で、最低限の保障を確保しておきます。

特にリスクが高いがんや三大疾病の保障を手厚くしておくとさらに安心です。

また葬儀費用の準備に不安を感じている場合は、お互いのために最低限の死亡保障特約を付加しておきましょう。

関連記事:子育てを終えた50代の保険の見直しのコツと老後に備える保障の選び方をプロが解説

50代で医療保険を見直すときのポイント

50代では、すでに医療保険に加入していて見直しを検討している人も多いでしょう。

医療保険の見直しは、手順を踏んで慎重に進めることが大切です。

関連記事:50代夫婦が保険を見直す3つのタイミング|老後に向けた保障の減らし方と選び方をプロが解説

加入している医療保険の保障内容を把握する

見直しを始める前に、まずは現在加入している保険の内容を正確に把握する必要があります。

「保険証券」や契約者向けのウェブサイトなどで、次の点を確認しましょう。

  • 保険期間(更新で高くならないか)
  • 入院給付制限がないか
  • 手術保障に制限がないか
  • 付加されている特約は適切か

特に、古い保険は現在の医療事情に合っていない場合があります。

保障の過不足や重複がないかを確認することが、見直しの第一歩です。

関連記事:50代夫婦が保険を見直す3つのタイミング|老後に向けた保障の減らし方と選び方をプロが解説

新しい保険の「保険期間」「日額保障」「付加する特約」を決める

現在の保障内容を把握したら、次に新しい保険に求める条件を具体的に決めていきます。

これまでの解説を参考に、以下の項目を整理しましょう。

保険期間:老後も保障が必要なため、基本的には「終身型」を選択します。

入院給付金日額:公的制度でカバーできない費用(差額ベッド代など)を参考に、5000~1万円を目安に必要な金額を設定します。

付加する特約:先進医療特約や三大疾病保障特約など、自身の不安に合わせて必要な特約を絞り込みます。

条件を明確にすることで、保険商品を比較検討する際の軸が定まります。

複数社の保険で比較する

求める条件が決まったら、複数の保険会社の商品を比較検討します。

同じような保障内容でも、保険会社によって保険料や特約の細かな条件が異なります。

各社のウェブサイトでシミュレーションをしたり、資料請求をしたりして、少なくとも2〜3社の商品を比較しましょう。

ほけんのコスパの一括見積機能を使えば、複数の保険会社の保険料を横並びに比較できます。

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新しい保険が成立してから古い保険を解約する

医療保険を見直す際、最も注意すべき点の一つが切り替えのタイミングです。

必ず、新しい保険の契約が成立し、保障が開始されたことを確認してから、古い保険を解約してください。

先に古い保険を解約してしまうと、万が一、新しい保険の審査に通らなかった場合に、保障が全くない「無保険」の状態になってしまいます。

無保険の状態で病気やケガをすると保障が受けられないため、解約のタイミングは慎重に判断する必要があります。

関連記事:医療保険の解約タイミングはいつがベスト?損しないための乗り換え手順と注意点をプロが解説

まとめ

50代は、生活習慣病などの健康リスクが高まると同時に、子どもの独立や定年退職といったライフステージの変化を迎える年代です。

現在の自分と家族の状況に合った医療保険を選ぶことが、将来の安心につながります。

保険選びの際は1社だけでなく、いくつかの保険会社で比較しながら検討をすすめるのがおすすめです。

比較の際は、WEBで簡単に一括見積が取れる保険比較サイトを活用してみましょう。

執筆・監修者 保険ライター/2級FP技能士

橋本 優理

大学卒業後、ほけんの窓口グループ株式会社へ入社。約300組のライフプランニングを行い、保険販売業務に従事。その後、異業種にて法人営業を経験し、株式会社エイチームフィナジーで保険EC事業の立ち上げに参画。インターネット上で保険の無料相談ができるサービスの責任者として、自身も多くの世帯のライフプランニングを行う。2023年に株式会社モニクルフィナンシャル入社。経済メディア「LIMO」で300記事以上を執筆。現在は、より多くの人に、より気軽に、自分に合った保険の選び方を知ってほしいとの思いでコンテンツ制作や執筆作業に従事。 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、生命保険募集人資格、損害保険募集人資格保有。

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